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4.補助金申請のノウハウ


4-1.申請のプロセス

現在、ものづくり補助金をはじめとする経済産業省の予算での補助金は、Jグランツという電子申請システムを利用します。

いつでも応募できるわけではなく、公募期間が定められていて、公募から締め切りまでは約2ヵ月間です。

 

申請には以下のものを準備する必要があります。

●事業計画書

●3年または5年の損益計画

●「経営革新計画」や「事業継続力強化計画」

などの加点項目の認定証

「経営革新計画」は認定まで2か月~3か月必要で、面談やプレゼンもあります。

また、「事業継続力強化計画」では災害対策の手法を社内で打ち合わせし、審査期間は申請から45日間が標準処理期間です。(詳細は4-2.(4)に記載します)

事業計画の策定には最低でも1ヵ月から1.5か月必要ですが、これらの加点項目の準備まで含めるとさらに時間を要し、計画的に取り組む必要があります。

 

 

4-2.事業計画の作成のポイント

(1)公募要領

ものづくり補助金をはじめ、多くの補助金は、事業計画の事業内容や必要項目を採点し、採択事業者を選びます。

公募要領には審査項目に関する規定が書かれているので、審査項目で問われていることは確実に網羅しておく必要があります。

 

(2)申請企業の適格性

ものづくり補助金では、補助金に応募できる適格な事業者であるか、3年~5年の収支計画によって付加価値額の成長要件を満たしているかなどを審査します。

 

(3)事業計画の審査項目

提出する事業計画は10ページで構成され、次の項目を審査します。

 

①革新性

 ものづくり補助金で最も重要なキーワードが「革新性」です。

革新性の定義は「自社になく、他の企業でも一般的でない、新たな生産方式や新たなサービス、新商品の開発」のことです。「地域の先進事例」、「業界での先進事例」に該当するかがポイントとなり、革新性の高い事業であるほど採択されやすくなります。

 

②技術面

 技術面では以下の項目で審査されます。

●取り組む事業計画は革新的であるか

●自社の事業課題の抽出と補助事業が課題の解決策として妥当であるか

●他社と比較して優位であるか

●補助事業を遂行する技術力が担保されている

●「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」など国の指針に沿った取り組みであるか

 

③事業化面

補助事業の実現の可能性を審査します。

●補助金を活用して行う事業を適切に遂行できるか

●社内のリソース能力はあるか(人材、事務処理能力、専門的知見等)

●金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか

●業界全体の十分な市場分析を行っているか(マクロ視点の市場動向と自社周辺の市場動向)

●補助事業の成果が価格的・性能的に優位で収益性があるか

●事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か

④政策面
国が行う政策や求める指針に合致した事業であるかを審査します。

●先端的なデジタル技術の活用

●低炭素技術の活用

●環境に配慮した事業の実施

●経済社会にとって特に重要な技術の活用

●新しいビジネスモデルの構築等に繋がる取り組みとなっているか

 

(4)加点項目

 ものづくり補助金では事業計画の審査に加えて、定められた手続きや要件を満たすことで、加点を得ることができます。

ものづくり補助金総合サイトに採択率と加点項目の取得数の関係をまとめたデータが公表されています。

最大7項目ある加点項目の内、何個取る必要があるのか公表データで見ると、4個取得(採択率81・7%)、3個取得(採択率80・4%)、1個取得(採択率51・9%)、0個取得(採択率33・3%)となっています。

3個以上取得することで80%以上の採択率となっているため、3個以上を取得できれば採択の確立が加点なしと比較して大幅に高いと言えます。

募集の時期や年度に応じて加点手続きは変わっていきますが、本書では数年にわたり継続されている加点手続きを紹介します。

 

①    成長性加点:経営革新計画

経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書です。

国や都道府県に提出し、計画が承認されると様々な支援策の対象となります。

 

②災害等加点:事業継続力強化計画

 中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度です。

税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。

 

③賃上げ加点

 ものづくり補助金の公募条件には、補助事業終了後に賃上げに取り組む必要があります。公募の基本条件は給与支給総額の年率1・5%の向上、事業場内最低賃金の+30円の賃上げへの取り組みです。

基本条件よりさらに高い水準を計画している場合、従業員数の規模に応じた加点を受けることができます。

具体的には、

●給与支給総額の年率2・0%の向上、事業場内最低賃金の+60円の賃上げ

●給与支給総額の年率3・0%の向上、事業場内最低賃金の+90円の賃上げ

※なお、最新の内容についてはものづくり補助金の公式サイトで確認をお願い致します。



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