変わらない事

「何もかもが巡り、変わりゆく中で、唯一、誰にも曲げられず、何にも奪われないもの。それは、その人自身が築き上げた歴史と、そこから手に入れた技術だ。その人が築いた歴史がその人に宿す技師は、誰にも奪われず何にも削られず、どこまでも伸び、どこにでも届く。文化も国境も時代も社会も、誰も何も操ることができない弾道で。」

『どうしても生きてる』浅井リョウ  p.72