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作る

『おじいちゃんの封筒・限定百冊展』に行った。

元大工の棟梁だった、おじいちゃんが80歳くらいから95歳まで、朝から晩まで”只”作り続けた封筒があった。
手入れされた道具を使って、紙にやすりをかけたり、厚い紙を裂いたり。

”紙の仕事”とおじいちゃんは呼んでいた。

その封筒は誰に見せるわけでもあげるわけでもなく、只作られていた。


近くでおじいちゃんの紙の仕事を見ていたお孫さん
「繰り返された毎日から生まれた封筒に、大きな力を感じています。」



ずっとなにかを作りたいと思い続けてきた。
ただただ作りたい。
そこにある型をなぞりたい。
手を動かしたい。
生活の中で色々なものを作っている時間がとても幸せで、もっと作りたい。
生活とは関係ないものも作りたい。
作ることがただ好きだから。

でもなにかを作ったら、作った物をどうすればいいか分からない。
誰かにあげるのはおこがましい、捨てるのは気が引ける、売ることには責任を持てない。
ただ作りたいだけ。

なにか目的のあるもの、需要のあるもの以外を作ってはいけないような気がしていた。

作ることを生業としていない私には、作ることに嫉妬に近いあこがれをずっと持っていた。

でもおじいちゃんの封筒を見て、なんだかとてもすっきりした。

自分が望むものを作っていいんじゃないかと思えた。

おじいちゃんみたいに職人の技はないけれど。

作りたいものを作る。

その先はその時に考えればいい。


”作ること”をそこまで特別にしないで、もっと身近にできそうな気がした。

仕事ではなく、人に見せるでもなく、只々作る。

作る≒書く≒描く

世界が広がった気がする。