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私の学校の働き方改革

教育現場はブラックだ。
世間では、それが定説となりつつあります。
しかし、私の職場はホワイトです。
いや、ホワイトを通り越してクリスタルとさえ思う程。

私の勤める学校は、山間の消滅可能性都市リストに名前が挙げられる、けれど、あたたかい人々に囲まれた、生徒100名程、職員25名程の中学校です。

この山間の私の学校を、なぜ働きやすいと感じているのか…その働き方改革について、お伝えしようと思います。

(1)スライド勤務制
私の学校の生徒達は、早い子は朝7時半にスクールバスでやってきます。
バスの配車の都合で、それを遅くすることはできません。
生徒がやってくる、ということは、学校に職員がいなくてはいけない訳で、
これまでは、勤務時間8時10分だった所を、何となく周りの空気を読んで、朝型の職員が7時半には学校で仕事をしていました。

その時間は、「サービス勤務」です。
公立の教員の給料には「教職調整額」という手当が給与の4%が付けられているけれど、例えば25万の給与ならその4%、1万円が、民間企業で言う1カ月の残業代なのです。どれだけ残業しても、1万円。

定額働かせ放題、とはよく言ったもの。

そこで、今年度から私の学校は、ライフスタイルに合わせて、
A 7時半から16時勤務
B 8時から16時半勤務
C 8時半から17時勤務
となりました。

早く帰って小さな子どもの世話をしたい育メンはA勤務、子どもにご飯を食べさせて、学校に送り出してから出勤したい子育てママはC勤務…それぞれのライフスタイルに合わせて勤務時間を選択しています。

(2)チーム担任制
本校でも、全国に少しずつ増えているであろう、学年チーム担任制を取り入れ、3人の職員で1学年の生徒達を担任しています。

チーム担任制は、生徒にとっては、多様な教員に受け持ってもらうことで、場合によって相談相手を自由に選ぶことができます。そして、一人の担任の価値観だけでなく、多様な価値観に触れて、より創造的で主体的な学校生活を送ることに繋がると思っています。

教師にとっては、自分の考えだけで猛進してしまったり、一人で抱え込んでしまったりせず、心理的負担感を軽減することに繋がる。私にも「あの生徒を自分の方に振り向かせたい、しっかりと繋がらないと学級がバラバラになってしまうのではないか…」「自分がちゃんと導かないと。」と悩み苦しんだ時期がありました。

誰もが強みをもっていて、適材適所で力を発揮することがウェルビーイングな社会を創り出す。それは、学校だって同じです。

(3)会議は授業の空きコマで
私の学校の教務主任は、働き方改革の申し子のような人で、頭脳明晰。そんな彼が、企画委員会、運営委員会、指導部会など、様々な会議を、出席者の授業の空きコマを揃えて実施することで、放課後の会議を無くすことができるよう工夫してくれています。

生徒が帰ってからの会議…4時からの会議なんてやってたら、会議に仕事の片づけや次の日の準備で…結局帰るのは、19時や20時になってしまう。疲れた脳味噌で会議をやっても、クリエイティブな意見は出ないし、帰るのが遅くなれば、次の日のパフォーマンスも下がる。ストレスも溜まる…負のループ。

週に1回の打ち合わせは行わず、データで入力して皆がそれをチェックしています。

(4)コミュニケーションは多様な方法で
とはいえ、情報交流はとても大切です。
現に、行き違いが問題になったり、コミュニケーション不足を危惧したことも…。私達が大切にしているのは、多様なコミュニケーション方法を工夫すること。

まずは、仲良きことは美しき哉。お互いに仲良くなるために、取り合えず擦れ違い様にでも冗談を言ったり話しかけたり。どうでもいいことでも。

飲み会も少なくなった昨今、お互いのパーソナリティを知る機会も少ない。でも、オフの顔を知ることが、人と人の「糊しろ」となり、仕事の潤滑油になることがありますよね。オフの顔を知ることで、誤解を生みそうな場面でも「もうちょっと話を聞けば彼の主張にも納得いくのでないかな?」と相手を信じる気持ちをもつことができたりも。

そこで、職員室内にコミュニケーションボードで好きな本を聞いたり、好きなラーメンの味とお薦めの店を紹介したりするコーナーも作りました。自己開示できる人ばかりではないので、強制的でなく、それでもオープンにできる人はオープンにすることで、お互いを尊重しあう風土も生まれるのではないかなと考えています。

(5)校長先生が怒らない ←これは今年に限ったことではないけれど
校長先生のご機嫌と働き方改革がどう関係あるの?と思われるでしょうか?
これが、実は、働き方改革で最も大切なのではないかと思います。
校長先生が穏やかであれば、教頭先生も穏やかでいられる。
教頭先生が穏やかならば、他の先生達も穏やかでいられる。
先生達が穏やかならば、子ども達も穏やかでいられる。

私の学校の校長先生は、私達職員にも子ども達にも、怒らないし、責めない、叱りつけない。その安心の下で、みんなが暮らしている学校。

ただし、怒らないだけでなく、明確なビジョンをもち、正しい時は正しい、間違いは間違いと、毅然と伝えてくれるリーダーです。しかし、偉ぶることなく謙虚で、学び続ける人。そんなリーダーの元だからこそ、働き方改革のアイデアも言い合うことができ、「やってみよう!」と言ってくれるリーダーだからこそ、チャレンジすることができます。

これは、大切な「働き方改革の条件」だと思います。
個性は様々なので、様々な校長先生がいらしゃるでしょうが、学校の心理的安全性の根っこを支えるのは、やはり、校長先生の人間性だと思います。

以上、これが私の学校の働き方改革です。
決して完成型ではないし、完璧でもありません。
試行錯誤の段階ですが、みんなで仲良く「ああでもない、こうでもない」と言い合えることこそが、働き方改革の成果でもあるような気がしています。

どうぞ、小さな学校だからできること、と思うのではなく、自分の学校に当てはめて考えてみて、どんどんチャレンジして欲しいなと思います。それを、全国で交流できたらいいですね。

学校は、クリスタルです。
そう信じて、楽しい職場を創っていきましょう。

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