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黄金旅程 馳星周

みなさん、おつかれさまです。

久々の投稿になってしまいましたが、本日は競馬好きなら読んだことがあるかもしれません。

黄金旅程という本を読んだので少し書きたいと思います。

以前の投稿でも香港の広東語での競走馬明記について少し書きましたが、なかなか面白い表し方ですね。

❝黄金旅程❞すなわちステイゴールドです。

かなりの人気のあった馬ですから覚えている方も多いのではないでしょうか。
G1レースでも善戦するもなかなか勝ちきれず、引退レースの香港ヴァーズ(芝2400m)で悲願のG1初勝利にて勲章も持って種牡馬入りを果たす。
しかも日本馬にて初めて海外の国際競争のG1を勝利となりました。

この本のサマリとしては以下の様な感じですが、、、

装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。敬が注目するのは栗木牧場生産の尾花栗毛馬・エゴンウレア。以前装蹄したことがあり、その筋肉に触れた瞬間、超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。だが気性が荒く、プライドも高い馬で調教に手を焼いていて、今まで勝ち鞍がない。その馬主と競馬場で会った際、レースで突然馬が興奮するという不自然な現象に遭遇する。また、敬は出所して無職だった亮介に、本来の力を取り戻すべくエゴンの乗り役になるよう勧める。その後、レースでの不自然な現象は厩務員の一人が犬笛を使って八百長に加担していたことが判明。敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが気付かれ、拉致され殺されそうになるも、一命を取り留める。様々なトラブルが起こる中、エゴンが出馬するレースの日も近づき、亮介による最後の調教も終わった。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのか――。


個人的なこの本への評価としては、かなり面白く読めた内容でした。

しかし、純粋な競馬関連とは少し離れた部分は要らないのでは?
色々なものを盛りすぎて回収できていないのでは?とも思ってしまいました。

獣医師との恋愛の部分と終盤の濡れ場は、このストーリーには不要なのでは?
また、ヤクザとのくだりで、探偵小説が始まりましたが、どのように解決させるのか?
難しいだろうなと読んでました。
なんと主人公のピンチを救ったのが大地震でした!
タイミングよすぎだろ!と突っ込んでしまいましたが。

それ以外では、競馬界の光と闇の部分を素人でもわかりやすく解説してくれていますし、競馬関係者の愛や熱量を感じました。

特に養老牧場の存在と日高地方の馬産業関しては、興味深いものでした。

養老牧場

特に、養老牧場の経営という旨味がないものに対しても、主人公が競走馬に対してせめてもの罪滅ぼし、恩返しをしたいとの想いを感じました。

今でこそ引退馬の養老牧場は全国に数多く存在しますが、「役に立たなくなった馬を長生きさせてどうするの?」と冷ややかな視線で見られる時代もあったようです。

「人にたくさんの喜びを与えてくれる馬たちへ恩返しをしたい」
「この牧場で馬たちと触れ合い、馬のことをもっと深く知って欲しい」

という願いもあるのかもしれません。

余談になりますが、私たちは競走馬が引退後にどうなるか?ほぼ目にすることがありません。

多くの馬が、殺されて馬肉となってしまいます。

乗馬になれる馬は一握り。

更には種牡馬になれる馬は年に数えるほどでしょうか。

余談ですが、何年か前に岐阜県の牧歌の里に遊びに行った際に、なんとシャコーグレイドに遭遇しました。

思い出すのが1991年の皐月賞。
断然人気のトウカイテイオーが完勝した際に、内枠から2着に差してきたのがこの馬でした。
現役時代は、入着馬として大きいタイトルは取れませんでしたが、引退後に乗馬として繋養されており、偶然に会えたのは嬉しかったのを記憶しています。

日高地方での馬産

日高地方において本格的な馬の生産が行われたのは江戸時代とのことで、長い歴史があるようです。多くは家族経営であり、なかなか厳しい環境のことでしょう。

門別競馬場も近くにあり、地方競馬ではかなりの高レベルの馬を輩出しているが、当然のことながら冬場は開催が出来ないので、良い馬は南関東などに転厩してしまう。地元では、なかなか良い馬が育たないなど日高エリアの発展にはどうも上手くいかない循環となっている。

本の中でもノーザンファームとの話がでてくるが、大手資本相手には常識的には勝てるわけがないが、各生産者、関係者は夢を見て仕事を続けている模様も描かれています。

過去には日高の生産者団体が、「神の馬」とも呼ばれたラムタラを約33億円で購入したことがありました。

しかし、ラムタラは約10年間の種牡馬生活で、産駒のJRA平地重賞勝利は1勝のみと、期待に応えるような活躍ができませんでした。

これは日高の生産者にとって苦い記憶になっています。

社台ファーム相手に起死回生といきたいが、代償は大きかったですよね。

当然、当たり外れあるので、競走馬とはホントに走ってみるまで分からないものですね。

関係者の方々の努力は私の様なサラリーマンと違って、死活問題であり大変なんでしょうね。

そんな魂の結晶がG1を勝とうものなら嬉しさもひとしおなんでしょう。

最後に、この本を読んだらステイゴールドのレースが見たくなるのではないでしょうか?

BOM CRYZYさんのYouTubeチャンネルから引用

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