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個人情報保護の功罪


個人情報を守るのは誰のため?

昭和の人間にはなかなか理解できません。
宣言!「我が社は法令遵守に努めます」。
えっ!「当たり前では?」
そうでなかったら「犯罪に手を染める会社」?
法令遵守し、個人情報保護方針を開示いたします。
個人情報保護方針。最初から最後まで読まれた方、おられます?
と言うか、法令遵守=個人情報保護?
よく分かりません。
まあ、噂ばなし好きなおばちゃんの無責任な井戸端会議は罰せられるのか?
程度の感覚でした。

何でも、誰でも「個人情報保護」を被せてくる世の中はウザイ・邪魔くさいと思っていましたが、本当にこれでいいのか?
と思う事態に遭遇しました。
「悪法もまた法なり」理解した上でのコラムです。
また聞き辛いワードも登場しますが、ご理解願います。

友人の覚悟

会社の3年後輩から昼飲みの誘いです。
最近、お酒は絶っていましたので、断ろうと思いましたが、異様な様子。
少し嫌な予感がしたので誘いに乗りました。
飲み進めると、最近の人間ドックで肺に変な影が見つかり、医者に「手の施しようがない」と言うことで余命宣告までされた。と言うことです。
先輩にはお世話になったので、今日はお別れを言いたくて。。。
〈重い話ですいません。〉
驚きました。また同時に返す言葉もありませんでした。
初めての経験でしたが、こう言う時、何も言葉にならないことがよく分かりました。60歳超えたら、こう言うQ&Aも用意しておくべきかも。です。

しかし、もっと驚いたのがその3日後です。
3日前には、そう言うものの元気に機嫌よく痛飲していました。
その朝、突然のメール。
『喀血しました。ほんとにほんとに最後までお世話になりました。』
ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。と言う感じです。
俺のせい?違うよね!
病院は私の住まいの近所の大学病院とのことで、駆けつけました。
間髪を入れずにと言う感じではなく、半日くらいタイムラグがあったので
少し心配でした。
「面会謝絶」で会えないのでは。
奴は最近離婚しており、子供もいないはず。親族と連絡はついているのか。
3日前に会っていたので、余計に心配でした。
しかも覚悟のメール!!!

ICU

やっとのことで駆けつけ、探し当てたのが「呼吸器外科」。
ナースステーションで事情を話すと。。。怖そうなベテラン看護師。
面会謝絶どころか、救急搬送のままICUに担ぎ込まれたらしいです。
「容態はどうでしょうか。」
「ICUに収容されていますので、お元気ではありません。
 ご家族も面談できないので、お帰りいただきました。」
「ご家族がおられたのですね。よかった。」
「おられたのですね?あなたはどちら様ですか?」
「友人です。」
「友人?詳細はお伝えできません。
 当院では、個人情報保護方針に基づいた対応をしており、ご親族と確認で 
 きる方以外の方への情報提供は一切控えさせていただいております。」
「輸血とかしてるんですか?意識は?」
「お答えしかねます。当院では個人情報保護方針に基づいた対応。。。。」
「ではどうすればいいんですか?」
「お答えするかどうか、ご本人への確認が必要です。」
「えっ、確認?と言うことは意識があると言うことですね。」
「それはお答えできません!」
「では、私の携帯番号をお伝えいたしますので、何かあれば連絡いただけ
 ますか?」
「それもお断りいたします。興味本位で仰る方もおられますので。」
「興味本位?!」
「当院では。。。。。」
「もう分かりました!!!」
と言う塩梅。まるで禅問答です。
結局、後輩の容態がどうなのか。
意識があるのかないのか。
もしもの場合の親族への連絡は可能なのかどうか。
何も分かりません、と言うか教えてもらえません。

私の思いはおかしいでしょうか。

個人情報保護の壁?
それ以降、奴がどうなったのか全く知る術がありません。
世知辛く、虚しく、悲しく、寂しいです。
これが外国人を「お・も・て・な・し」をする優しい日本人?
自国民にはあまり優しくないようです。

個人情報保護を徹底しなければ、別の犯罪に結びつく可能性があることは
十分理解します。「個人情報保護法」の法思想も理解できます。
特に医療現場では機微情報が多く、神経質になることもよく分かります。
ただ結果として、人生の最終盤に彼を「不幸にしている」のではないでしょうか。
その瞬間に家族も友人も誰もいない。。。
私は我慢できません!
みなさんはどうでしょうか?

もう少し弾力的な考え方はできないのでしょうか。
昭和が懐かしいですね。


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