新年の挨拶 2018.1.1

1.はじめに  先ずは「医機連ジャーナル」第100号・発刊にあたり心からお祝い申し上げます。 1992年に、広報誌「日医機協ニュース」として第1号が発刊されて以来、25年の間に100回、 即ち年平均4回、発刊されてきたことになり、その間の編集・発刊に代々携わってこられた 人々の隠れた努力は大変なものであったと推察します。  勿論その間にあって、1987年、現・医機連の前身にあたる日医機協創立以来の歴代の正副 会長以下、役員、会員団体・企業の方々、又、それを支えた事務局の人々の尽力も高く評価さ れるべきものと思います。  一方、本稿の主たる目的として、(1)33年前、日医機協創設時のよって立つ諸事情(2)以来、 時を経て当時の医療機器産業界と今日のそれとの彼我を数字も交えて比較してみる事(3)それ らも踏まえて、今後あるべき姿を考えてみる事の3つを挙げたいと思います。 2.申し上げたき事 (1)日医機協創設時のよって立つ諸事情  思い返せば、日医機協設立時の初代会長に就任された故 岩井喜典氏や当時の日本医科器 械商工団体連合会会長の故 永島二郎氏等と共に議員会館や行政機関等をしばしば訪れ、苦 労を共にした事はつい昨日の出来事の様に鮮明に思い出します。偶々、手許にあった厚生省 薬務局医療機器開発課・監修による「医療機器ハンドブック‘93」によっても、この頃から厚 生省薬務局の組織変更もあり、本格的な医療機器行政がスタートし、各種協議におけるハー モナイゼーションの必要性から、グローバル医療会議の相次ぐ開催や、筆者も一員となった 医療機器政策検討会では「医療機器の研究開発に関する中間報告」や「医療機器の流通に関す る中間報告」等が次々と出され、特に後者では早くも「バーコードの利用を含むコンピュー ターを用いた流通管理システム」に迄、言及されています。一方で、医療機器の品目・種類 はますます増加の一途を辿り、行政も各団体とのコミュニケーションを円滑に図る意味でも 医療機器団体の一本化を望まれ、業界側もそれに応じたことかと思います。 (2)医療機器産業界の動向(過去から現在の数字を交えた比較)  薬事工業生産動態統計によると、1991年の医療用具の国内生産金額は「1兆2976億円(前 年比1.8%増)」。輸出金額は「3176億円(前年比9.6%増)」。輸入金額は「3315億円(前年比 14.8%増)」です。参考迄に、2015年の国内生産金額は「1兆9455億円(前年比439億円減)」。 輸出金額は「6226億円(前年比% 503億円増)」。輸入金額は「1兆4249億円(前年比563億円増)」。この4半世紀の数字の対比を如何に考えるかは諸兄姉にお任せするとしても、時を経 て増々続く大幅な入超1つにせよ、あたら医療規制、相互認証等、外的要因のみならず、行 政当局も厚労省も「再生医療等製品や医療機器の先駆け審査管理制度」やPMDAの「アジア研 修センター」設置等、手をうたれていることからも、業界側としても更なるハード・ソフト 面の研究開発促進や、UDI・SUDへの更なる踏み込みも望まれるし、流通の合理化、海外 展開の一助となる個々・団体としてのメンテナンス体制の充実等々、やるべき事、解決すべ き事は枚挙にいとまがありません。 (3)医療機器産業界の今後あるべき姿  昨今「イノベーション」と言えば、業種・分野を問わず「IoT、AI、Big data、Robotics」等々、 次々と挙げられます。医療分野では更に、かてて加えて「再生医療」等、技術面の他に倫理面 の課題もあり、又、研究開発面では「臨床研究法」など、企業コンプライアンスの課題にも直 面します。  更に今後は、日本では世界各国以上に人口動態統計上からも「少子高齢化」が進み「介護」対 応が求められ、社会保障費、国民皆保険制度の見直し等、社会的変化にも対応していかなけ ればなりません。 3.結 び  以上を踏まえて、「医機連ジャーナル」が、折々の情報を的確に伝え、会員にとっても明るい 道標となる事を祈念して筆を置きます。

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