凄腕スカウトマンは人とは違う「何を」見ているのか。野球オタクしか見ないであろうスカウトドラマ。【WOWOWドラマ「ドラフトキング」】
4月からWOWOWにて漫画「ドラフトキング」が実写ドラマ化する。
プロ野球ドラフト会議が地上波中継されるようになって10年以上が経ち、野球ファンのみならず巷で「〇〇ドラフト」という言葉が当たり前に使われるほど、ドラフト会議は1年の大きなイベントとしても注目されるものとなった。
観ている一般の自分たちはアマチュアのスター選手がどこの球団に入団するのかとイベント感覚で観てしまいがちだが、当の指名される選手はこの日のために人生をかけ今後の道が大きく決まってしまう岐路となる。
そしてその岐路に立たせるのが裏にいる球団のスカウトマンであり、彼らが発掘し長期な視点で選手を見極め、他球団との指名戦略までを読みながら球団や監督にプレゼンし、指名に至るか至らないかが決まる。
ここ10年ドラフト会議と共に指名にまで至った選手の裏側のドキュメンタリーが増えた結果、スカウトマンという存在さえもファンの間では大きく定着する存在となった。
また近年下位指名や育成選手が1位指名の選手より活躍する例が相次ぎ、上位指名よりも下位にどこのどんな選手を指名されるか、そして誰がスカウトした選手なのかが当たり前のようにファンの間で注目され戦略を予想する人も急増するようになった。
「ドラフトキング」はそんな野球オタクが気になる、「あの下位で指名されて活躍した選手はスカウトマンにどのように発掘され、どこを見て指名に至るか」をよく描かれている。
1話の名門校のエースでなく2番手投手の桂木をドラフト6位で指名する話はいきなり面白かったので是非見てほしい。
スカウトマンは今の選手の活躍を見ているのではなく、プロに入った後の成長曲線を見ている。そこには技術力だけではなく野球観や人間的な能力や姿勢、雰囲気、オーラまでを見ているという話は実際のスカウトマンもインタビューで話している。
↓ ドラフト6位で中野と湯浅をスカウトした筒井スカウトのインタビュー。二人は今年のWBC代表にも選ばれた。
ファンの間では彼のスカウティングした選手は毎年注目されているスカウトの一人。
1話の話では筒井スカウトの言うような人間性を観察する話がよく詰め込まれていた。作者の方もかなり取材はされているのだろう。また主人公の郷原はその選手のキャリアや人生まで親身になってスカウト活動していてドラマになる。
原作でも野球の試合の描写はほとんどなくニッチな話なために一般層が期待する野球ドラマとは言い難い。プロ野球というビジネスを通じたおっさん向け人間ドラマではある。
視聴者層は男しか見ないだろうしWOWOWドラマでしかできない実写化だっただろう。
漫画も以前からなぜか書店で中々売っていないので、WOWOW見れる野球オタクの人たちは是非観てほしい。
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