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もしVRゲームの世界が西暦2100年の現実だったら【ペリフェラル~接続された未来~】アマプラオリジナルドラマ

アマプラもオリジナル作品掘ってみると面白い設定のSFも出てくる。予算のかけ方は流石だったが話の展開は難解だった。

あらすじ
「ペリフェラル ~接続された未来~」の主要舞台は未来のアメリカの田舎町。ボロボロになった家族を何とか立ち直らせようとする女性、フリン・フィッシャーを中心とした物語である。フリンは賢く、野心的だが、未来が見えない毎日に希望を失っている。そんな彼女にある日、未来からの接触がある。人類の運命、そしてその先に何が待ち受けるのか。「ペリフェラル」で、稀代のストーリーテラー、ウィリアム・ギブスンが、目のくらむような幻惑的な世界を垣間見せる。

設定は面白かったが話が進むほど時間軸が複数になっていくのでかなり難解なドラマ。視聴者側にあんまり親切な演出ではなかった。

話はゲーム会社に勤めるバートンが何者かによって手渡された実験段階のVRゲーム「ペリフェラル」をゲーマーであるフリンに代行でプレイさせたことによって始まる。

ペリフェラルは70年後の未来、西暦2100年の現実に繋がっておりフリンはプレイ中その未来を脅かす重要なものを目にしてしまいフリンの2032年の現実世界からも家族共に刺客から命を狙われる事態となる。

フリンは未来で出会ったネザートンを介しクレプトという資本家の組織に転送されながらペリフェラルの謎を探索していく。

2100年の未来はジャックポットと呼ばれる3つの現象によって莫大な人口減に陥ったユートピア世界になっている。世界的な大規模停電、ウィルスによるパンデミック、気候変動による農業破壊が積み重なり、とどめは核戦争により人口は激減する。街や人は壊滅的であるがAIとVR技術を屈指した仮初の世界でどうにか成り立たせている。

そんな世界で警視庁、クレプト、リサーチ研究所の三大権威によって世界が構成されておりフリンはそれらを利用しながら自らが狙われる世界の謎と行く末を決めていく。

このドラマの世界観として難解にさせている主な原因はこの組織の複雑すぎる関係性ももちろんあるが、時間軸と世界線の変更が表裏一帯ではないということである。

つまり2100年の幹にとって2032年は枝であり、繋がった過去ではないということ。彼らは2032年をスタブ(枝)と呼びリサーチ研究所がハプティック技術という新たな実験によって作り出した独立した世界だった。

そしてハプティック技術は幹の世界に存在していない。そのために実験対象に利用されたバートンとコナーの生死の逆転は未来の幹の世界では引き換えになったのである。この辺でもおそらく理解している人少なかったと思う。

そしてフリンが狙われた理由もリサーチ研究所のハプティック技術やスタブの生成技術の全てのデータが細菌に埋め込まれていからと最終的にはなる。

クレプトはアリータを雇いリサーチ研究所のデータを盗もうとしていたがバレたためにフリンに隠したことだったと明かされる。唯一スタブと幹の現実を左右する要素はフリンの存在自身だったために最後はあの決断を選んだということである。

アリータ自身も最後はクレプトが支配する世界を転覆させる革命軍を率いていたのも元々クレプトとデータを利用して裏切るつもりだったのだろう。


この作品の独特で良かったのは時間軸で繋がっていないために、互いの世界の現実については無関心だったことだろう。そこはVRのゲーム感覚であるのと同じに感じる。

フリンにとっては身体も街も人間も全て仮初であるために基本的には現実と違いエゴや行動力も強くなる。

究極的に言えばペリフェラルは自分らには関係ない現実でありその先の社会がどうなろうと先は見据えていない。逆の未来にいるネザートンらもフリンの扱いには同様である。この辺は今のメタバース論にも繋がる話だった。

またジャックポットの話もかなり良い所ついてて未来の最悪を想定するのは流石上手いなと思う。原作はサイバーパンクを描いた人だったとか。

ただそこに暗躍してたクレプトとリサーチ研究所の過去を掘りさげてから描いたら面白かったが、核心が分からずなんとなくいがみ合っているままの群像劇で流石に全体を理解するには分かりづらい。

映像の作りもよかったからレビューも高評価多いが途中で離脱した人多いんだろう。

シーズン2はストライキで打ち切りになったらしいがあれで終わりで綺麗だったと思う。続けてもスタブをリセットしてまた新たに生成してやり直す話だろうし、説明不足のままネザートンとのVR愛の倫理的な話になりそうで蛇足になるだけに感じた。

これから見る人はセリフがほぼ説明口調なので吹き替えの言い回しより字幕で観ることを薦める。

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