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支援会社で働くマーケターが事業会社へキャリアチェンジを成功させるための話

こんにちは。
上場事業会社でマーケティングの責任者をしている「かずたか」です。

先日、マーケティング組織を強化するために採用活動を行ったのですが、当社が事業会社ということもあり、

「支援会社で働いているが、限界を感じている。事業会社でプロダクトを成長させる経験をしたい。」

といった動機で志望してくる方が多かったです。

しかし、キャリアビジョンや将来の目標を聞くと、

  • これまで培ってきた広告運用のスキルを伸ばしたい

  • SNSマーケティングの専門性をさらに高めたい

  • 将来的にはメンバーのマネジメントに挑戦したい

など、なんとなく事業会社で働くイメージだったり、ビジョンが持てていない方が多いなぁと感じました。

今回は、現在支援会社で働いており、事業会社へのキャリアチェンジを考えているマーケターのために、事業会社のマーケティング責任者ならではの視点で私見を伝えたいと思います。

事業会社、支援会社で働くマーケティングの違い

まずは、事業会社、支援会社で働くマーケティングの何が違うのかを説明したいと思います。

はっきり言ってしまうと、全く別物です。

何が違うのか理解できていない方は、もちろんキャリアチェンジはできませんし、事業会社でも活躍できないので、まずはここを知っていただきたいと思います。

違い①:マーケティング活動のゴール

まず最も大きな違いが、ゴール地点です。

支援会社のプロジェクトでは、主にリード数やCPAの最適化がゴールになります。

もちろん、”お客様の事業の成長がゴールです”のようなことは言っていますが、実質的にはリード数やCPA以上の部分まで踏み込む支援会社は少ないと思います。

しかし、事業会社ではあくまでリード数やCPAは事業のゴールを実現するためのごく一部の要素でしかありません。

事業会社のゴールは事業目標の達成です。

具体的には、
定性面:その事業が目指しているビジョンやミッション
定量面:損益計算書(PL)の数値
となります。

なので、マーケティング戦略を考えたり、施策を考える際には、事業のミッション、ビジョンの把握はもちろん、マーケティングセクション以外の数値も踏まえた損益計算書(PL)の把握が必要です。

把握が必要というよりも、この2点を理解していない状態では、そもそもマーケティング担当者としてできることはないと言っても良いです。

支援会社で働いているときに相当な大クライアントでもない限り、いちいち依頼者の事業について、ミッションやビジョンを確認したり、損益計算書の内容まで確認する方はいませんよね。

しかし、事業会社からするとミッション、ビジョン、損益計算書の成績を実現するためにマーケティング活動を行いますので、必要な情報量や解像度は全くの別物です。

違い②:組織への関わり方

支援会社の場合、相対するのはクライアント企業のマーケティング担当者がメインで、時々、その上司が登場してくるくらいのケースが多いと思います。

しかし、事業会社の場合、自部門の営業組織はもちろん、開発組織、あとはバックオフィスなどの方とも密に連携し、マーケティング活動を進めていかなければいけません。

森岡 毅 さんの著書に「マーケティングとは組織革命である。」というタイトルがありますが、まさにその要素が多分にあります。

例えば、リード獲得施策を動かすにしても、獲得したリードを誰が、いつ、どういったフォローをするべきなのかをあらかじめ調整しなければいけません。

ただ連携するだけでなく、人的工数は大丈夫か?コストに見合う効果は見いだせるか?などを把握し関連部署に説明し、調整する必要があります。

また、マーケティング活動にはプロダクトの改善といった要素も含まれて来ます。

マーケティング活動によって、プロダクトの変更や改善などの必要性が出てきた場合には、データを揃えて、関連部署へ説明し、プロダクト改善に向けて調整を指定かなければいけません。

このように、同じような職業に見えても、組織への関わり方が大きく異なります。

違い③:必要なスキル

支援会社と事業会社では、必要なスキルは大きく異なります。

支援会社では、特定の戦術における専門性の高さを中心としたスキルセットになります。
もちろん、事業会社においても特定の戦術における専門性の高さは必要ですが、それと同じくらいビジネス全体の理解に関するスキルが必要になります。

以下では、ざっくりではありますが、必要なスキルセットについてまとめています。

▼支援会社で働くマーケターに必要なスキル

  1. 特定の分野に関する専門的なマーケティングスキル(狭義のマーケティング)

  2. クライアント対応力

  3. 効率性

  4. 主に戦術分野におけるトレンドのキャッチアップ

▼事業会社で働くマーケターに必要なスキル

  1. 特定の分野に関する専門的なマーケティングスキル(狭義のマーケティング)

  2. マーケティング活動全般に関する知見(広義のマーケティング)

  3. ビジネス全般に関する知見

  4. 社内関連部署の調整力

このように同じマーケターではありますが、必要なスキルセットは大きく異なります。

事業会社で上流のマーケティングに携わるための最適なキャリアプランは?

前提として、支援会社ではなく事業会社でマーケティングの上流工程(市場調査や分析、ターゲットの決定、ブランド戦略やマーケティング戦略の立案など)にたどり着くことを目的としたキャリアプランのことを想定しています。

ちなみに、戦略系のコンサルを経験するといったパターンも考えられますが、今回の内容はすでにマーケティング領域で働かれている方を対象にしていますので割愛しています。

では、事業会社で上流のマーケティングに携わるために、私が最適だと考えるキャリアプランについてアウトプットしたいと思います。

それは、

支援会社→支援会社→事業会社/必要なスキルを獲得してから事業会社に臨むパターン

です。

以前、「I型人材」や「π型人材」といった表現が流行しましたが、マーケティングの上流に携わるためには、単一の専門領域の経験では不十分であると感じます。つまり、π型人材になっておいたほうが良いということです。

例えば、SEO記事やSNSなどのコンテンツマーケティングに特化した経験しかない場合、リスティングやSNS広告などの運用型広告における戦略立案の精度がどうしても高まりません。

特に事業会社でマーケティングの上流を担当するには、手段にとらわれず、市場やターゲットを的確に捉えた上で、戦略的に考えることが求められます。

そのため、専門領域が一つしかないと、包括的なマーケティングが難しくなり、戦略的な思考が身につきにくいと感じます。

これらを踏まえた上で例えば、まずは運用型広告系の支援会社で3年間ほど経験を積み、その後、別の領域であるコンテンツマーケティング系の支援会社に転職して別の角度からの経験を追加することなどが効果的ではないかと考えています。

その後、事業会社に転職し、「運用型広告とコンテンツマーケティングの両方の経験があります。将来はより上流のマーケティングに携わりたく、事業会社に参りました」というメッセージを伝えれば、上流マーケティングに関わるチャンスが大きくなると思います。

もちろん、事業会社に入ってから新たな専門領域を身につけるということもできなくないわけではありませんが、そのキャリアが実現するかどうかは「運の良さ」が影響します。

というのも、事業会社では自分が身につけたい領域に携われるかも保証されていませんし、入社後の環境が自分自身のスキル習得に大きく影響してしまいます。やはり、特定の領域に特化したスキルは事業会社では、学びずらく、圧倒的に支援会社で経験を積むほうが効率的だからです。

もし、現在一つの領域しか経験がないのであれば、別の支援会社でもう一つ領域を経験してから、事業会社に行く道を検討されても良いと思います。

ということで、今回は、現在支援会社で働いており、事業会社へのキャリアチェンジを考えているマーケターのために、事業会社のマーケティング責任者ならではの視点で私見を伝えました。

よろしくどうぞ。

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