ピースオブケイク

note編集部で3ヶ月働いた今、思っていること。

大学を卒業してすぐに、ぼくはnoteを運営するピースオブケイク社(ピ社)でアルバイトをはじめました。
そして今、入社から、はや3ヶ月が経ちます。
社員の方々がつぎつぎと「入社して○ヶ月」のすてきなnoteを上げているなか(※)、「アルバイトだって書いてやろう!」という気もちで、ぼくの現状やお仕事について書いてみます。

(※社員の方々のnoteは下のマガジンからどうぞ!)

小説家をめざしています

まずは、ぼくの現状について。
ぼくはこの3月まで慶應SFCに在学していましたが、ITやテクノロジー、バイオがさかんなそのキャンパスの隅にある文芸の研究会に所属して、小説をずっと書いていました。

そして、書けば書くほどに素直に成長してくれる小説がだいすきで、その腕を磨き続ける人生に憧れて、「小説家をめざす」とうそぶきながら、社会に飛び出してみました。

noteでアルバイトをしています

そんなぼくは大学を卒業してから、文章に関われて、かつ時間に融通がきくアルバイト先を探していました。
そして出会ったのがこのピースオブケイク社。
いまは平日にフルタイムで出社をして、note編集部としてはたらいています。

社員を含むnote編集部での主なお仕事は、noteを大量に読んでいい記事をおすすめしたり、外部に配信すること。
noteサービスが掲げる「つくる、つながる、とどける。」のミッションのうちの、“とどける。”の部分に関するお仕事です。

……これ、冷静に考えてみると、めちゃくちゃ大切なお仕事です。

ぼくのように小説を書いている身からすると、自分の作品を他人に評価されることが、すごく切実な願いだと分かってしまうんですよね。

本気でつくる作品って、自分のアイデンティティや心といったものをさらけ出さなければできません。
それらが評価されたり多くの人に読んでもらうことは、自分のありのままが世界中から肯定されたような気分になりますし、たとえばそれがぞんざいに扱われたり無視されれば、身を切られるようなさびしい気もちになります。

実際に、クリエイターのみなさんの「編集部おすすめ」に関する想いがこめられたnoteはたくさん書かれていて、それらはぼくまできちんととどいています。

たとえばこんなnoteや、

こんなnoteも。

こんなふうに、「編集部のおすすめ」は、クリエイターのみなさんの思いが直接ぶつかる仕事です。
だから、みなさんの渾身のnoteを絶対に読み抜かさない。有名無名、フォロワーの多寡にかかわらず、いい創作がこのnoteに生まれたら必ずそれを見つけ出す。

そんな思いで、真剣に取り組んでいます。

この仕事、ぼくに向いてます

そんな真剣な想いを吐きだしてみたところで、ぼくがこの仕事をどんなふうに思っているかというと、正直めちゃくちゃ向いていると思ってます。

まずなによりも、もう一生それを受け取っていられるくらい、ぼくは創作やコンテンツがだいすきです。小説、映画、音楽、絵画、アニメ、演劇、お笑い芸人さんのネタ、ラジオ番組やバラエティ番組、すぐれたデザインのテレビゲーム。広義のコンテンツとしては歴史や科学、あなたの身の上話。ぜんぶすきです。

それらだいすきなものにずっと関わっていられること。
そして、重要なことは、クリエイターやコンテンツを愛してやまない人たちのなかで過ごせること。
それが仕事になるのだったら、こんなに幸せなことはありません。

アルバイトならではのいいこともあります

これはアルバイト特有の役得だと思うのですが、社員の方々よりひとつひとつのnoteに深く関われている気がします。

これは言い換えれば、「世界をよくする」ためのアプローチが、社員の方々とアルバイトですこし違うということでしょう。

「世界をよくする」例として「教室のいじめ解決」を挙げると、社員の方々は学級会を開いたり、道徳の授業をしたり、先生として教室の仕組みづくりをすることで「いじめ」を解決しています。
同じ問題に対して、ぼくたちアルバイトは、生徒として、隣に座っている元気のなさそうな子に話しかけるようなアプローチをしています。

そしてその役回りなら、ぼくはけっこう向いています。
自分で言うのもなんですが、ぼくには 、目の前のことや人に対して一生懸命になれる能力があります。
そんな自分がすきだし、その能力を育てたいと思っているので、こつこつとnoteを読んで、こつこつと紹介文を書いていく作業にうまくマッチしているのだと思います。

そして、そうして思いやりを持って丁寧にした仕事は、どこかで誰かが見てくれているものなのです。

noteのこれからと、ぼくにできること

noteはいま、成長と変化のフェーズにあります。
サービスを都市国家の成立過程として例えれば、大きな建物が立ちはじめて、都市の中のインフラや経済圏が整備されつつあるような段階でしょう。

その段階では、noteで成功する人が次々とあらわれはじめ、成功者たちは私有財産(それはフォロワー数であったり、スキ数であったり、そしてやっかいなことに、いいnoteを書く技術や人間としての魅力も含まれます)を持ち、貯蓄をはじめます。

すると、あたらしいクリエイターは成功の象徴を前に、たじろいでしまいます。
繊細な人は「どうせ私なんか……」と、憂鬱な気もちになってしまうかもしれません。
そしてついには、クリエイターとしてnoteを書くことをやめてしまいます。

これでは「誰もが創作をはじめ、続けられるようにする」というピースオブケイク社のミッションが達成できません。

だから、ぼくはnoteを読みまくります。

読んで読んで、なんとかクリエイターのみなさんの隣人になれるように、努力します。
都市としてある一定の格差が生まれた世界に必要なのは、思いやりや、あなたをきちんと見ています、と伝えあうことだと思うからです。

これは、じつはnoteのためだけにやっているわけでもありません。
そういう世界になればいいなあ、とぼくが個人として、そして小説家としても願っているからです。

手作業でnoteを読み集め、それをとどける。
一見効率のわるいこの作業が仕事として存在するのは、noteの「やさしいインターネット」への思想が、ぼくのアルバイト業務まで一貫して降りてきているからです。

ぼくは社会では新米で、まだ人に多くうつくしさを届けられるような小説家にもなれていませんが、自分のいましていることが、やさしい世界につながる一助になれているならとてもうれしいです。

そんな気もちで、ぼくはnoteでアルバイトをしています。

いただいたお金は、編集と創作のために使わせていただきます。