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MULTI8 - 何が取り柄なのかがわからなかった

三菱電機はもともと大型機のメーカーでしたから、小さなコンピュータの世界に手を出すのも恐る恐るというところもあって、最初にオフコンを出してからパソコンもまず1981年末に16ビットから参入しました。

MULTI16 - 遂に三菱電機もパソコンを出した

MULTI16は、さすがに価格が価格だったので、とても売れたとは言えませんでしたが、ターゲットを絞り、なかなかバランスの良い設計だったので、一定の地位を得られたように思います。それで気を良くしたのか2年ほど経った1983年9月に遂に8ビットPCをリリースしたのがMULTI8です、

MULTI8

ハードウェアの仕様としてはPC-8801とどっこいなので価格は控えめなのですが、何と言うか推すべき特徴がなにもありません。イメージキャラクターには何とその後いろいろあった女流棋士の林葉直子さんを起用しました。賢さをアピールしたかったのかもしれませんが、このパソコンに賢いところはどこにもありません。

三菱 : MULTI8

1983 三菱パソコン MULTI8

後発なので何らかの互換性があったほうが良いということで、PC-8001のN-BASICを読み込むことが出来たようですが、ハードウェアの互換性があったわけではないので、マシン語を呼び出すようなゲームが動くわけではありません。

NECパソコンで悩んでいた人にとってはある意味夢のようなハード「三菱電機 MULTI8」

ということで「売れない」「ソフトが無い」の悪循環にハマり、雑誌などでも日の目を見ることが殆どありませんでした。

MULTI8 DEMO (MULTI8.JPN.1983.09.開発 三菱.発売 三菱)

面白い周辺機器としてMOVE MASTERというロボットアームがあったようで、これが日本初の教育向けマイクロロボット何だそうです。5軸の多関節アームでセントロでパソコンと繋いで動かせたようです。当時、あまり見た覚えも無いので、特定の顧客がいて作ったのかもしれません。

いにしえのロボットアーム「MOVE MASTER RM101」を動かす(前編)

作りは素直なので、エミュもあるようですが、このPCで動かすようなソフトが残っているのかの方が心配なくらいです。

EmuLTI 8 謎WIPページ

三菱電機は1983年のうちにはMSXであるML-8000を出しているので、わざわざMULTI8をリリースしたのは、既に開発が進んでいたからなのか、MSXと天秤にかけたのかは今となってはわかりませんが、この後はMSXに力を注いでいくことになったようです。

コンピュータと家電のノウハウがあっても、家庭向けパソコンという商品の位置づけは難しいものがあったのでしょうね。当時は機種の間の互換性があまりなく、それぞれの機種に対応したソフトなりゲームが揃っていることが大切で、売れ筋が特定の機種に集まる傾向が強かったのは確かです。御三家と呼ばれるメーカー以外は、ここぞとばかりにMSXに群がった時代でした。まあ、そんな時代も長くは続かなかったのですが。

ヘッダ画像は、月刊アスキー1983年11月号に記載されていた広告より

#レトロPC #三菱電機 #MULTI8 #ロボットアーム #林葉直子  

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