キヤノンのMSX - V-10/V-20
MSXのハードウェアも、まだまだ取り上げきれていないのですが、実に多くのメーカーが参入しました。既に家庭向けパソコンを出していたものの、充分なシェアが取れずにMSXに参入した会社が多いようなのですが、ビジネス向けのパソコンを出していた会社が家庭向けを出すために参入したケースも見かけます(まったくパソコンを出していないのに参入した会社もありますが、そういう場合はOEMから始めたみたいです)。
キヤノンという会社も、既に本格的なビジネスパソコンを出しており、アップル社との関係も出来つつあったのですが、より低価格な家庭向けに参入する機会も伺っていたようです。
【キヤノン】キヤノンAS-100
最初に1984年に投入したのはV-10とV-20です。
V-10
V-20
V-10は最小構成でスロットは左と上のふたつあり、メモリは16K、価格は約5.5万円、V-20もスロットはふたつで、メモリは64Kも搭載していました。お値段は約6.5万円。メモリの量を考えるとこちらの方がお得感があり、実際、それなりに売れたようです(もっともMSX1の時代は、それだけのメモリを活かすのも難しかったかもしれないのですが)。
V-20 (V-10も書いてある)
“ハンサム”なMSXとして市場にデビューした「キヤノン V-20」
海外への展開にも熱心で、翌年にはヨーロッパ向けの機種とフランス対応の機種もリリースしています。基本的には一部のキーのレイアウトを変えただけのようです。
V-20 (EU)
V-20(FR)
この時点ではキャノンらしさはまだ見えていないのですが、カーソルキーや特殊キーが大きくて押しやすいというくらいでしょうか。翌々年(1986年)に高性能な一眼レフカメラを出した時に、このカメラと接続するためのオプションを出しています。当時は当然のようにフィルムカメラなんですが、撮影時の露出などのパラメタをメモリに保存しておいて、そのデータをパソコンに読み込むという使い方をするのだそうです。
フィルムカメラ T90 - CANON CAMERA MUSEUM
インターフェースユニット DMB
V-10の方は、他社との価格競争を考えると少しお高ったようで、翌年にはスロットを減らし電源もアダプタに追い出したV-8を出しています。
V-8
価格競争に巻き込まれると最安値のものしか出なくなるので、キヤノンでよく見かけるのはもっぱらV-20ですね。海外でもファンは多かったようで、フランス語だったりスペイン語の記事や動画も見かけます。
MSX Canon V-20 - Fully Functional He Said!
ちなみに公式の情報がどこかにまとまっていないのかも探したのですが、キヤノンはあまりに手広くいろいろなものを作っているので、パソコンに関してはあまり情報が見つかりません(パソコンは「撤退した事業」にあるきり)。いろいろ知りたい裏?話もあるんですけどね。まあプリンタの話とかで再登場願うことになるのでしょう。
キヤノン
ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Canon_V-20_MSX_computer.jpg
Paolo Tonon from Italy - MSX V-20, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2358085による
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