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JR西日本の戦略

なんて、カッコいい話ではないけど。


小学6年の時に学校のクラブ活動で鉄道クラブに入ってしまい「良い???」友達に恵まれたこともあり、コッソリとずっと「鉄」を続けております。

ところで「鉄」というのは何だか細分化されていて、私の場合は4年の頃から始めたカメラ趣味の延長で「撮り鉄」から入ったのですが、このクラブで触発され、これも当時ようやく手に入る用になったラジカセを担いでの「音鉄」、週末にツルんで日帰り旅行に出かける「乗り鉄」、各自勝手な鉄道会社を作って路線を引きダイヤを組む「架空鉄道」とか、いろいろ始めたのを記憶しています。

私の担当と言うかスキだったのは「新幹線」と「地下鉄」。これは今でも変わっていません(おまけとして貨物というのもありますけど)。当時から廃止されつつあったSLを追っかけている人は多かったのですが、どちらかというと新しいもの、できればまだ出来ていないものが好みです。

オトナになって、もうアチラコチラに出かけるのも大変なのと、仕事でもあるIT技術が発達したこともあり始めたのが「運行管理鉄」なんですが、仕事がだんだん管理職になってくるに従い今度は「決算鉄」というのをやっています。これは本当に仲間が居ないカテゴリなんですが鉄道各社のIR情報を紐解き、鉄道と社会との関わりや今後の方向性を読み取るわけです。

鉄道会社というのはインフラ事業であり公共機関であることもありますし、民間企業ではあっても地方自治体であるとかの行政府との関わりが深いです。出資が公である場合は分かりやすいのですが、運行に供する不動産を公が負担していたり極めて安く借りていたり、所有はしていても税負担を免除または負担の肩代わりがあったりが読み取れたりするわけです。それから支援が資本金か借金などかの意味が大きく、見た目の収益が大きく左右されるので騙されてはいけません。こういうのは一般の企業にもありますけどね。

収入の内訳も面白く、鉄道事業よりも不動産事業などの非鉄道事業のほうが多い会社もそれなりに多くあります。運賃収入も定期券売上の割合に特色があり、最も売上があるのが通学定期だったりすると、本来であればこれは文科省配下の会社ではないんじゃないの?とか思いながら楽しめるわけです。

さて前置きが長くなりましたが、JR西日本のIR情報から読み取れるのは投資の不足です。なぜ西日本かというと完全な民営化を果たしたJRの中で最も深刻な状況に陥っているのではないかと思われるからです。

あまり細かく項目を追っているわけではないのですが、設備投資に関して減価償却分の投資が行われておらず、このまま行けば橋脚やトンネルなどの維持が難しくなるだろうというのが想像でき、これは路線を減らしていくつもりということかなと読めます。また車両は新規製造が足りないので、今のペースでは平均的な車両の寿命が40年を超えることになる計算で、もちろん更新をしたり譲渡を受けるなどはするのでしょうが、長い目で見れば車両を減らしていくという判断が既になされているのではないかということになります。

コロナの影響もあるにはあるのでしょうが、最近になってJR西日本を始めいくつかの鉄道会社が採算性という数字を持ち出して主に地方自治体とのやりとりを始めているようです。これは既に各社の経営が今の資産では持続可能ではないという判断がなされており、不良資産の処分や収益構造を見直さない限り事業の継続が困難であると言っているわけです。この判断は最終的には株主が行うのであり、それが自治体とは限りません。いくら地域住民がお願いしても始まらないのです。

いずれのせよ長い目で見れば、人口が減るだけではなくそれ以上の速度で通勤や通学といった移動する人数が減るわけで、今の形態の鉄道事業のみでは収益が得られるのは都市部だけでしょう。地方自治体が補填を行うにしても収益構造が変わるわけではなく、そもそも地方自治体の収入にはかなりの国からの補填が入っているわけで、都市部がどこまで地方の負担をするべきかといえば限度があると思います。

むしろ鉄道ではなく移動人口に見合った自動運転交通システムであるとか、幸い土地がつながっているので送電にも困らない不動産を活用した発電事業を始めるとか、持続可能な事業への転換が株主にもきちんと説明ができて結果的に地域への負担がもっとも小さい結果になるのではないかと思うのですよね。

2022/6/27追記

一応、考えてはいるみたいですが、主体が政府ではうまく進むかなぁ?


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