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何だか半端感がある12ビットのCPU - TLCS-12A

前回1ビットCPUを取り上げたのですが、その時の説明である「1ビット、4ビット、8ビット…という種類があって」の続きが16ビットではなくて12ビットだったんです。

たった1ビットしかないCPU - MC14500

それは東芝のTLCS-12Aという石で、どうやら自動車の排ガス制御のために作られたようです。

マイコンの歴史 (東芝)

1973年 エンジン制御用12ビットマイコン開発(東芝)

確かにアナログな値を制御するときに大体は3桁の精度が必要なので、ADコンバータのビット数は8ビットでは256段階なので、桁数としては10進で2.4桁程度にしかならないので、ちょっと足りません。かと言って16ビットを用意すると今度は4.8桁程度もあるので、少し過剰です。ということで、12ビットはちょうど3桁程度で実にちょうど良いビット数ではあるんですね。

TLCS-12A

国産初のMPUは東芝12ビット機 (国産初もいろいろあるようです)

どうして、こんな石を知っているのかというと、東芝はNECがTK-80/BSを販売したのを見てなのか、ほぼ同じような構成のEX-80/BSというボードを出して、それなりの人気もあったのですが、それに先立って、このTLCS-12Aを積んだ EX-0/5/10/12 というボードも出していて、秋葉原で見かけることもあったような気がします。EX-0やPANAのLkit16などは、CPUのアーキテクチャがミニコン的で、電卓出身と揶揄されていた8080に比べるとアセンブラでのプログラムが書きやすく、特に大型機の経験をもっているような人には人気がありました。

TOSHIBA 12bit ワンボードマイコン TLCS-12A EX-12/10 集積回路 資料付き セット
https://aucfree.com/items/s663197278

EX-80

そうそう、以下の記事で紹介されている「マイクロコンピュータの作り方」という本を貪るように読んだのを思い出しました。マイコンって当時もなかなかお高いので、現物を見たりいじるのは大変で、本を読んで妄想するのが日常でした。

フルフォーマット成功 秋葉原で部品調達 土曜日の教室 東芝TLCS-12Aの本 東芝EX-80

70年代はシステムの規模も大きくなく、汎用的なOSがあるわけでも無かったので、いろいろなCPUがあっても、ライブラリを移植することはあるにせよ、どうせ一からコードを書くのでそんなに困ることはありませんでした。半導体の性能もなかなかギリギリだったので、過去の資産を大事にするよりも、その時点で最新の技術を使う必要がありました。今から考えると実に多種多様なCPUが作られていたように思いますし、その度に新しいアセンブラを習得していたように思います。爆発的に普及した8080系のCPUが登場して多くのコードが蓄積され、ちょっとしたシステムでもOSが必要になると、新しいCPUはあまり登場しなくなっていくのですが、この頃はいつも基本的なルーチンを書いていたように思います。まだマイコンでは使えませんでしたが、C言語が開発されたこの時代は、いちいちアセンブラで書いていると大変だからといってC言語が使われるようになっていったようです。やはりC言語は高級言語の仲間とされていますが、そもそもが高級アセンブラだったんですよ。

ちょうど良いビット数というのは、なかなか悩み深いもので、グラフィックで使う色指定では、色はRGBなので9ビット欲しくなります。MSX2などでも苦しんでいてパレットは9ビットが使えるのですが、パレットを使わないSCREEN 8では青だけ2ビットしかない8ビットの指定です。同じような話は時代が進んでRGBそれぞれに8ビットを使うようになると、今度は24ビットなので、やはりあと8ビットが浮いてしまいます。どうも3という数字はデジタルな世界との相性は良くないようで、浮いた8ビットを透明度に使って重ね合わせができるようにしたり、他の制御用フラグで使ったりしています。ディスプレイも明るさの問題があるので、RGB以外の色を追加して4色で表示している例もありますね。

著作権的に大丈夫そうな画像を見つけられなかったので、Bing Image Creator でヘッダ画像を生成しました。

#CPU #12ビット #東芝 #TLCS12 #EX80 #EX12 #マイクロコンピュータの作り方 #RGB

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