PC-6001 - パピコンって覚えています?
NECはTK-80BSを発展させてPC-8001というパソコンをヒットさせましたが、NECというのは大きな会社なので、別の部署でもPCの開発をしていたようです。社内政治もあったのでしょうが、同じようなパソコンをいくつも出しても仕方がありません。PC-8001は正統派のPCで、機器の制御にも使いたいですし、ビジネスソフトも走らせたいです。またNECは大型機も作っていますから、その端末としての利用も想定しています。そうなるとPC-8001ではパワー不足が目立ち、PC-8801という新機種を作ることになりました。
PC-8801 - 8ビットの頂点
さて、こうして高級路線が決まると、あらためて低価格帯のホームPCの需要にも目を向けるようになり、その別の部署で開発していたPCは、ホームPCとして衣替えをしてPC-6001という新たなシリーズとして1981年1月にようやく日の目を見ることとなりました。
PC-6000シリーズ
このハイローミックスは別にNECの専売特許でもなんでも無くコモドールなどでもPET/CBMとVICシリーズを展開していたので、マーケットは2つあるという認識があったのは確かなんでしょう。
CM NEC パピコン PC-6000シリーズ 1982年
PC-8001との差別化のために価格も9万円弱に抑え、パソコンではないよということで、パピコンという愛称をつけ家庭向けであることをアピールしました。画面は主にテレビをディスプレイとして使うことを想定していたので、32文字✕16行のテキスト画面と256✕192✕2色、または128✕192✕4色のグラフィック画面を備えていました。これらの画面は切り替えて使うものでスーパーインポーズ機能はなくグラフィック画面で文字を使うには、文字を描画することで表現していました。
PC-6001 (NEC)
“こんにちはマイコン”を読んで憧れの機種になった「NEC PC-6001」
これだけのスペックで10万円を切ったインパクトは大きく、今までパソコンに手が出なかった人たちが飛びついたのは無理もありません。
搭載しているBASICはN60-BASICで、PC-8001系列との互換性はありません。専用のVRAMを持つのではなく、通常のRAMの一部を使うので設定によって複数の画面を持つことが出来、ページを切り替えながら描画を行うことによりスムーズな画面の動きを実現していました。このあたりはその後のホームPCの標準になった感があります。
N6x BASIC リファレンス-コマンド一覧
ただキーボードがボタンのようになったのも、低価格パソコンらしいのですが、PC-6001のキーはキーの隙間も大きいこともあり見た目よりも使いやすくテンキーこそなかったものの独立したカーソル移動キーもあり、よく出来たものでした。サウンドもビープ音ではなくサウンドチップを持っていてゲームにはなくてはならないものでした。
PC-6001
NEC PC-6001 レトロパソコン カセットテープでのプログラムロード、実行
最終的に15万台ほど売れたようで、この時代の普及率を考えるとそこそこの人気ではあったのでしょう。その後、マイナーな調整をしてPC-6001Aとして輸出もされていたようです。
NEC PC-6001
この機種の情報を調べると、プログラミングの話よりもゲームの話題が多いです。プログラム学習用というよりも売られているソフトを楽しむという使い方が主流だったようです。その為か懐かしいゲームをプレイしたいという需要も高くエミュレータを動かして楽しむ人もチラホラいるようです。
PC6001V
M5Stack:PC-6001 エミュレータの使い方
その後、1983年7月にはマイナーチェンジした上位互換の後継機種であるPC-6001mkIIが発売され、同年11月にはFDDを内蔵したPC-6601が発売されました。FDDを内蔵するとコストも上がりますし、そもそものPC-8001/8801と差別化していた10万円を超えることもあり、あえて別系列にしたのかもしれません。とはいえFDD付きで15万円は切っていたのと、ゲーム以外のソフトも登場してきたので、ホームPCとしては徐々にこちらの人気が高まっていったような気がします。
PC-6000シリーズ
PC-6001 WORLD
PC-6000ファミリー仕様
ヘッダ画像は、以下のものを使わせて頂きました。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:PC-6001_withBrownsheet.png
Morianu - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79547564による
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