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衝撃の VisiCalc - 表計算ソフトの始まり

Apple][を手に入れてから、最初はBASICを覚えてプログラムを書いたり、市販品のゲームで遊んでいたりしたのですが、プリンタを買ったあたりからもう少し何か実用的なものとして使いたいと思うようになりました。

最初はカセットテープのラベルを作ったり(印刷した後、カセットケースに入るサイズにハサミで切って使います)、データを入力してグラフを描かせたり、持っているレコードの曲名リスト一覧を作ったりなどです。もちろん、そのたびに自分でBASICを使ってプログラムを書くのです。それに英語しか使えないので、日本語のデータはすべてローマ字です。

Apple][とbitQueenというプリンタの組み合わせが良かったところは、グラフを出力したい時には画面に出してからハードコピーをプリンタで取るという技が使えたことです(他の機種では図形文字による疑似グラフィックスだったので、ここが結構難しい)。

プリンタのむかしむかし

テキストを入力したり、印刷したりするテキストエディタとして何を使っていたかは、どうしても思い出せないのですが、いわゆるWYSIWYGなフルスクリーンエディタがあって、コントロールコードで行のセンタリングをしたり改ページをしていたのを覚えているのですが、プログラムを書くのに使うと、余計な制御コードが含まれているので、これをスキップするプログラムを書いて使っていたのは覚えています。

WYSIWYG

これで、それなりに実用的な用途にもパソコンが使えるようになったなと思っていたところですが、何やら凄いソフトが出たと言われて使わせてもらったのが、VisiCalcというソフトでした。

VisiCalc

表計算というのが何のことかもわかりませんでしたが、いわゆる集計用紙と呼ばれていた紙のような見た目をしていて使い方としても、紙でやっていたのと同じように、マス目に数字を入れていって、電卓で集計結果を記入する部分をコンピュータが自動的に計算してくれるのだとは理解できました。

集計用紙の例

https://www.amazon.co.jp/%E9%9B%86%E8%A8%88%E7%94%A8%E7%B4%99/s?k=%E9%9B%86%E8%A8%88%E7%94%A8%E7%B4%99

確かに多くの数値の合計を求めるときなど、ひとつひとつの数値が正しく入力されているかは、電卓で計算すると結果しか残らないので、2度計算して同じ値になるかくらいしか確認方法がありませんでした。そこでレシートのような紙が出るプリンタ付き電卓を業務で使う場合には使っていたりしました。表計算であれば入力した数値を画面で確認できるわけですから、計算が正しいことは文字通り見ればわかるわけです。パソコンで表計算をやれるようになったことのメリットは、これだけの話ではなくて、数値を変更すれば、その場ですぐに変えた数値で計算結果が得られるわけですから、数値を変えたら結果はどうなるかを試行錯誤することも出来るわけです。

それまでは大型機はいざ知らず、パソコンなんて理系オタクのオモチャとしか見ていなかったビジネスな人たちが、突然パソコンの可能性に気がついたのです。大事なことはその場で思いついたことを、自分ですぐに試して結果が即座に出ることです。これは大型機には真似が出来ません。このようなソフトが登場したことで、パソコンはビジネス用途としての道が開かれ、多少値段が張るものではあったものの、それでも急速に売れ始めたのです。

業界に痕跡を残して消えたメーカー 表計算ソフト「VisiCalc」で世界を震撼させたVisiCorp

VisiCalcは表計算の基本的な機能しか持っていなかったのですが、非常に使いやすいものでした。表計算というのはアイデアなので、同じようなソフトが次々と作られました。SuperCalcというのが有名だったようですが、私はMagiCalcというのに割りとすぐに乗り換えました。このソフトに言及しているものがぜんぜん見つからないのですが、VisiCalcがセルの幅(行は必ず1行分のみ)が全部同じ設定にしか出来ないのが、意外と不便だったのですがMagiCalcは列ごとに幅を設定することが出来たのが非常に便利でした。

この後にはマイクロソフトもMultiPlanを出してきて、Lotus1-2-3と覇権を争いました。この時代になるともうApple][の時代ではなくなっていてMS-DOSの世界になっていました。

表計算も進歩して、セル参照の相対指定ができるようになったり、シートという概念が出来て、ひとつのファイルで複数の表が扱えるように進化していきました。また印刷に関する機能が充実したり、グラフを描く機能も追加されました。こうしてOfficeソフトの三種の神器であるワープロ、表計算、データベースがパソコンの代名詞のように使われるようになりました。

マイクロソフトのOffice製品は、(マクロではなくて)プログラムを書くこともできるのですが、言語はマイクロソフトの十八番である(VisualBASIC系の)BASICだったりします。ここにウイルスが仕込まれる事故が多くて、今となってはあまり使われていませんが、Office製品がどのような機能を持っているか知るのに、なかなか良い教材だとは思っています。


ヘッダ画像は以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Visicalc.png


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