PASOPIA7 - 東芝の悩み
1981年に東芝もパソコン市場に食い込もうとPASOPIAを出した話は以下に書きました。
PASOPIA - 東芝の参入
ビジネス向け、ホビー向けの全方位を目指したのですが、先行している機種の後追いとなり、スペック的に上回った部分があっても人気は出ず、あまり売れたとは言えませんでした。そこでホビー向けに絞り、グラフィックとサウンドを強化したPASOPIA7(PA7007)を1983年にリリースしました。
パソピア
Toshiba Pasopia 7
ただ強化されたグラフィックは、ややマニアックな仕様で、せっかくの強みを活用するのはハードルが高かったようです。この時代、広告にはイメージキャラクターが選ばれることが普通だったのですが、この機種はなんと横山やすし、木村一八親子と異色の抜擢でした。この後に出るPASOPIA IQの岡田有希子といい東芝の選択はなかなか辛い結果を招いているのが売れ行きと関係しているのかいないのか。
懐パソカタログ 東芝 PASOPIA7 (PA7007)
PASOPIAは初代から漢字ROMパックも用意して、グラフィック画面に漢字を出すことも出来たようですが、グラフィック画面の縦が200ドットしか無いので、あまり活用できていなかったように思います。スペックだけは負けないという東芝の意地があまり売れる方向に向かっていなかったのだけは確かでしょう。
東芝パソピア(PA7007)
キーボード一つ見ても、なかなか絶妙でファンクションキーは8つ、初代から7になる時に、矢印キーと機能キーの絶妙な再配列が行われています。キーボード周囲のパネルは赤、青、茶の3色が用意されていて交換することもできますが、広告などでは赤が多用されていました。
これで売れるだろうとは考えたのでしょうが、何かが足りなかったようです。考えてみれば東芝はやや後追いですが、他のメーカーを超えるような仕様を持つ製品をリリースしているのです。しかし世に出るタイミングと、その「超えるような」の部分がどうも響かなかったようです。きっと後追いには後追いなりの戦略が必要なんでしょう。
6オクターブ6重和音を実現するなど贅沢な仕様だった「PASOPIA7」
それでも一定のファンは残存しているようで、この機種にもエミュがあります。もっとも多くのエミュがWin32なので、そろそろ動作させるのが面倒になりつつある気がします。
EmuPIA / EmuPIA 7 謎WIPページ
探してみると、こんなデータも見つけました。確かにオリジナルのデータなんですが、ここから0と1のデータを作って、エミュなりに読み込ませるのかと思うと、ちょっと楽しいというか複雑な気分です(カセットをエミュしている部分が、どうなっているのか、よくわからない)。
PASOPIA7 プログラム (システムテープ) プログラム(システムテープ)
結局、東芝はホビー向けに関してはMSXに参入して、このシリーズは幕を下ろし、ビジネス向けは16ビット機で後追いを続けます。製品としては決して悪いものではなかったのですが、どうも広まらなくて、残っている情報も少なめです。
ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:VCFe_8.0_(478262641).jpg
Wolfgang Stief from Tittmoning, Germany - VCFe 8.0, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=114573200による
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