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乾電池で動かせたCPU - COSMAC(RCA 1802)

トランジスタにPNPとNPNがあるようにLSIで使われるMOSFETにもp-MOSやn-MOSがあります(そしてC-MOSも)。

MOSFET

最初のマイコンである4004は p-MOSで作られていたのですが、8080の時代にはn-MOSになっています。

Intel 4004

Intel 8085 - ここに8080の製造プロセスも書いてあった

しばらくn-MOSの時代が続き、C-MOSが使われるようになったのは、8086の途中からだったと思います。その後はずっとC-MOSの時代が続いているのですが、これは省電力というよりも発熱を抑えるのが主目的です。

espyの日記: ハードウェア考現学 : PMOS → NMOS → CMOS の謎


そんなn-MOSな時代にCOSMACと呼ばれていたC-MOSで作られたCPUがありました。

RCA 1802

マイコン回路を組むには、安定した電源が大切でした。8080は5Vのほかに12Vと-5Vも必要で、マイコンの回路を組む前にどうやって電源を用意するかが最初のハードルでした。もちろん素敵な安定化電源装置を買ってくるのが一番なのですが、下手をすると本体よりもお高いのが普通です。この時代はスイッチング電源も高価だったので、古典的な回路で一生懸命に電源を設計するのです。

こんな時代に乾電池でも動かせるCPUがあると聞けば、夢のような話に聞こえます。もちろんメモリまですべて電池で動かすのは難しいのですが、しょぼい電源で動かせるには違いありません。このCPUが特別なのはそれだけではありません。いくらでもユックリ動かすことが出来るのです。ハードウェアも含めたCPUの動作を、それこそ目に見える速度で動かすことで、回路の理解をするには便利でしたし、デバッグをするにも使えました。

もちろんパフォーマンスは褒められたものではないのですが、そもそもそれが目的ではありません。アーキテクチャとしては16ビットの汎用レジスタを16個持つ、ミニコンのような素直なもので、スタックこそありませんが多彩なアドレッシングモードを使うことでサブルーチンを呼ぶにも困ることはありません。むしろI/Oを扱う特別なハードウェアと命令が実に便利で、比較的簡易な回路でいろいろな装置を接続できる魅力がありました。

COSMACでサブルーチン

とはいえ、雑誌の記事に製作例があったので、自分でも回路図を作るまではしたのですが、なかなか実物を手に入れることが出来ず、とりあえず人が作ったボードで遊ばせてもらっていました。そうこうするうちにパソコン(APPLE][)を買ってしまったので、もう自作する時間がなくなってしまったのが残念でした。

しかし、このCPUは特殊な用途に向いていただけではなく、熱烈なファンも多くいたようです。

COSMAC

COSMAC VIP

最近でもCOSMAC研究会という形で活動が続いているようで、そういえばMakerFaireTokyoでもお見かけした覚えがあります。

COSMAC研究会

70年代のCOSMACマイコンでビデオゲームを作ってみよう

COSMAC Toy Computer

まだまだ現役で活動は続いているようです。

実はCOSMACやってます

昔、COSMAC 1802というマイコンがありました。懐かしい。

これはハードウェア弄りのリハビリのためにも、挑戦したくなってきますね。

ヘッダ画像は、以下のものを使いました。https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KL_RCA_1802.jpg
By Konstantin Lanzet (with permission) - CPU collection Konstantin Lanzet, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4774289

#CPU #COSMAC #RCA #1802 #CMOS #8bit


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