MZ-80B - それはビッグなのかビジネスなのか
1981年に入ると和製御三家であるNECのPC-8001、日立のベーシックマスターL3、そしてシャープのMK-80Kがマイコンショップの店頭やマイコン雑誌の記事を賑わせていたところに、富士通のFM-8、東芝のPASOPIA、そしてナショナルからはJR-100(これは売れなかったなぁ)が参入し、先発機種も安泰というわけにはいかなくなりました。
先発機種はメーカーにとっても最初のパソコンであったこともあり、製品を出すというところで精いっぱいで、製造や流通の面での反省点もあったでしょうし、ユーザからの反応もしっかり聞いていたんだと思います。そろそろ新しい機種を出さないと後発メーカーに追いつかれてしまいます。
この間にメモリ価格も下がりCPUも高性能のものを選ぶことも出来るようになりました。これを反映させるには、同じ性能で価格を下げるか、同じ価格で性能を上げるかの選択を迫られることになりました。その答えとして日立はレベル3はそのままとし低価格なレベル2の後継機種としてベーシックマスターJrをリリースし、NECは高性能化を図ったPC-8801をリリースすると同時に、家庭向けとしてPC-6001という低価格な機種も用意しました。シャープもこれに倣ったのか、高性能化したMZ-80Bをリリースするとともに、MZ-80KをK2Eと衣替えした低価格帯の機種を残すことにしました。
この後、パソコンは高性能なビジネス向けと低価格なホビー用に分かれていくことになるのですが、日立はレベル3を引っ張ったことが祟って御三家が富士通と入れ替わることになったのです。
家庭用パソコンの歴史~1981年発売~
パソコンの歴史1980年
ここで登場したMZ-80Bですが、筐体はMZ-80Kのイメージを残し、クリーンコンピュータというコンセプトも引き継いだもので、やはりBASICなども含むシステムをカセットから読み込むスタイルは変わらないものの、カセット操作をソフトウェアで行うことも出来るようになり、起動時のカセットの読み込みが自動的にできるようになりました。ディスプレイは内蔵されていてモノクロではありましたが、80桁のテキストが表示できるようになり、オプションのグラフィックRAMを追加することで、320✕200のグラフィック表示も可能となっていました。もちろんCPUも4MHzに倍速化されRAMも64Kフルに使えます。
MZ-80
懐パソカタログ シャープ MZ-80B
価格は28万円弱と決して安くはなかったのですが、モノクロしか使えないとはいえ、別にディスプレイを用意する必要が無いので、トータルで考えればそこそこリーズナブルにも見えました。PC-8801のカラーディスプレイは決して安くはありませんでしたし、640✕400の高精度を使うには本体価格と比べられるほどの高価格なディスプレイが必要でした。その上、その場合はモノクロでしたしね。
ビジネス用途も想定されていたので、周辺機器も豊富なラインナップが用意され、まだかなり高価であったものの5インチFDDもありました。クリーンコンピュータなので何をするにもテープからプログラムを読み込む必要があるので、もっとFDDが使われるのかとも思いましたが、むしろPC-8801のFDDの方が使われているところを良く見たような気がします。実際にはあまりソフトが流通しなかったこともあり、ホビー用途で使われていたことが多かったように思います。
MZ-80B
新次元のMZと謳われた名機種『MZ-80B』
思い出すと、自分でいろいろと作って楽しむような人に刺さったようです。まあ流通しているソフトも少なめでしたしね。
MZ-80B (Sharp) 1981年
MZ-80Bの動くところが見たい。ということで別の筐体で動かしました。
この時代はパソコンというカテゴリの上位として、オフコンというカテゴリが登場し、沖電気がif800をリリースし、NECも16ビットCPUを搭載したN5200を出しています。そしてIBMからはTHE PCと呼ばれていたIBM-PCが登場します。ゲームのようなグラフィックを画面に出すことに四苦八苦していた間にディスクを前提としたOSを備えたパソコンに移っていく時代でした。日本では漢字を容易に扱うことが出来るまでに、もう少し時間がかかったので、その空白期間にホビーパソコンの文化が花開いたわけです。
そういえば、この当時の有名人物である高橋名人は、このMZ-80Bがキッカケで業界に進んだようです。MZあってのハドソンですよね。
高橋名人
ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sharp_MZ-80B.jpg
https://www.flickr.com/photos/teclasorg/ - https://www.flickr.com/photos/teclasorg/82481454/sizes/o/, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5511969による
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?