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世界からサラダスピナーが消えた日。


東京の小さな部屋に引っ越してから、料理をするという行為を日常生活から除外した。

そもそも僕は料理が好きであって、なんだったらパンやタルトタタンまで焼いてしまう男なのだ。(タルトタタンは難しいですよ)

料理をしないと決めた理由は、料理をするに伴う設備(含む食品や食器の収納)のスペースが不十分であるからだ。

その上、僕の住むあの港区麻布十番には、信じられない程の様々な居酒屋やレストランがあり、コンビニに至っては徒歩10歩のところにある。

料理をする必要などない。
なんだったら冷蔵庫さえ要らない。

と前置きが長くなってしまったが、サラダスピナーの話だ。

料理をしないと決めた僕なのだが、インスタントラーメン(袋タイプ)とサラダは僕の中で料理というカテゴリに属していない、最もお手軽な食料摂取手段なので、鍋とラーメン丼は購入した。

ところがどこを探してもサラダスピナーが無いのだ。

サラダスピナーのことは皆さんご存知でしょうが、僕はあれは有史以来の大発明だと思っている。革命と言っても良い。

しかも、お安い。

ところが、気が付いたらぼくの周りからサラダスピナーがごっそり消えていたのだ。

ダイソー、キャンドゥ、スタンダードプロダクト、スリーコイン、IKEA、どこを回ってもただの一つのサラダスピナーも無いのだ。
これは誰かの陰謀なのか、あるいは半導体のように原材料、人手不足による枯渇なのか…どこにもない。

しかなくネットを調べた。

ネット上には溢れんばかりにサラダスピナーはあった。

し、しかしだ。
500円のサラダスピナーに500円の送料をかけるほど、僕はセレブリティではない。

というか、根本的に何かがおかしい。
一万円の経費節減のための会議の席に二万円のお弁当を注文してしまうぐらいおかしい。


一週間ほど悩んだ。
サラダスピナーでだ。

で、出した結論は、高級サラダスピナーを買おう、というものだった。

送料無料(と言う名の送料も価格に含まれている)高額なサラダスピナーを買おう。

水を切るだけでなく、耐熱性もあり、そのままサラダボールとしても使え、何だったらザルにもなり、見た目もオシャな奴。

ズバリ4950円。

一生物なのだ。ケチっては行けない。

そう決断して、サラダスピナー(セレブリティバージョン)を注文した。

到着が楽しみである。
楽しみすぎて眠れない。

例え明日、どこかの百均でサラダスピナーを見かけても後悔はしまい。むしろグレードアップした僕のサラダスピナーを誇りに思うだろう。

それほどサラダスピナー界は、混沌として戦々恐々としているのだ。



先日お亡くなりになられたコラムニストの小田嶋隆さんのご冥福をお祈りします。
文書のみならず、いろんな考え方を学びました。

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