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《水より上がる馬》 坂本繁二郎

風景の生きざま
 
 
 
坂本繁二郎の「水より上がる馬」は、
青木繁と坂本繁二郎の二人を取り上げた展覧会で初めてみました。

青木繁はモチーフの選び方からして、
評価されたいという意識が色濃いように見えました。
もちろん描いて評価されたいのは当然だし、
若い時にその意識が強く滲むのも当たり前だし、
そして実際に評価されているから凄い画家だと思います。

坂本繁二郎は若いうちから
とりたてて目立つ素材を選ぶ訳でもなく、
ただ目の前の画題と向き合い続けているように思えました。
名声の獲得よりも
職人のように自分を磨き続ける姿勢に思えました。
そして至った「水より上がる馬」の境地に
めまいすら覚えるぐらい感動しました。
この絵で馬は中央に大きく描かれていますが、
馬そのものを描いたというよりも、
風景としての馬を描いている気がします。
坂本繁二郎にとって、
生きているものを描くのが風景画なんだろうなと感じました。
動物や草木はもちろん、
月のような命に見立てられるものなど、
風景画とは命の有り様を描くものなんだ、と教えられました。

【美術詞】短い言葉でアートを表現

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