ダンゲロスSSマフィア 振り返り③

前回の続きです。

決勝戦:フランチェスコ・"フランキー"・モスカ

当然対面はくうねるさんだと分かっているのですが、いつもの様に人対で作品を作る事は不可能だなと思いました。

本人曰く『自分の触れない世界観で殴られると対応出来なくて死ぬ』『手堅く創作をするから格上には勝てない』と言う弱点があるみたいなのですが、ほぼバトル無しでムスクを破壊したり間違いなくキャンペーン最強格だったジョルモ・ジャックマリヤを破壊してたりと、なんか『心臓を貫けば死ぬ』みたいな弱点だったので何の参考にもなりませんでした。

相手の負けパターンを付いて倒すと言う方法が取れないので自分の出せる物で勝負するしか無いのですが、能力バトル最強格のジャックマリヤと瞬間風速最強男であるジョルモを撃破しているフランキーに能力バトルと瞬間風速で勝負して勝てるのか?と言う恐怖は滅茶苦茶ありました。

パーフェクト陣営の情報処理を強制させるデバフは正直くうねるさんに関しては思考負荷としては機能しても出力された作品にはそこまで影響しないだろうなと予想していたのもあり、執筆期間中自分を慰める要素が兎に角何も無かったですね。

くうねるさんがSSマフィア参加者の中でズバ抜けてるなと思う点がどんな切り口でもフランキーの物語として滅茶苦茶ハマっていて違和感が全く無いことで、面白さを出力する手口が変わっていても出力される面白さのベクトルが全部同じ方向を向いているので飽きないし求めている面白さが読めると言うか、世界観のぶれなさが滅茶苦茶良い方向に働いてるなと思いました。同じキャラで面白いバトル5回も書いて全く飽きさせない能力、欲しすぎる。

フランキーの物語的に最後はビターな話になると言うか、読者にとっては少し悲しいけどフランキーにとっては納得の行く結末になると思っていたのでこちらはとことんハッピーエンドを書いて読後感のスッキリさで勝つ戦法を取る事にします。

キャンペーン期間3ヶ月と言う長い闘いの〆として気持ちいいラストにしたいなとは思っていたので、逆転裁判っぽいエンディングを最初はやるつもりでした。生き残った名前有りキャラ全員の現状とこれからの話を少しづつ描写しながら最後に主人公陣営のエンディングを書き、パーフェクトの決め台詞(「意義あり!」程の物は無かったので「完璧に~」とかになるのかな)と共に終わらせる、みたいな感じです。

或いは読者を驚かせる為にかぐやを生き返らせて〆と言うのも考えていました。島の色々を見回った後島の外に出るかぐや→「この島の行く末はどうなると思う?」→かぐや「そんなもの、上手く行く訳ねえだろ」で終われば色々と問題を抱えている島の未来もかぐやの能力によって上手くいくので強制ハッピーエンド!良かったね!と言う終わりですね。

ただ超越者の言葉一つで成功を約束してしまうのはパーフェクトのSSで書いてきた生き方が大切だよみたいな感じの世界観を馬鹿にするエンドなので物語として無理矢理ハッピーになっただけで読者は嬉しくないな……と思い、かぐやの最後の台詞はあえてどうなるかについて触れず、島に残こった者達に未来を委ねるエンドにすることに。

でもなんかしっくりこないな~~と結末をどうするか悩んでいた時、しばのさんのギャンを読んでいたら「1回戦の第1試合で先行を取ればこのキャンペーンで一番最初に読まれるSSになる」と言う文が目に入り『じゃあ決勝戦で後攻を取ればこのキャンペーンで一番最後に読まれるSSになるでは?』と言う発想が浮かび上がってきました。物語を〆るエンドではなく、ダンゲロスSSマフィアを〆るエンドにすればSS一本分の読後感に3ヶ月のキャンペーンが終わった時の感情も乗せられて爆アドやん!

ダレン・シャンみたいな今回の出来事を物語として伝える話にすればメタっぽい話を描きつつ終わらせられるし、ダンゲロスSSで皆がよくやってる物語が佳境に達した時の『この先ダンゲロス、命の保証なし!』って奴ずっとしたかったので丁度良いじゃん!しかも物語として伝えられる能力者、生きてるじゃん!と最後の展開が決まってからはパズルの様にぽんぽこやる事が決まって行きましたね。かぐや〆だと驚いたけどまあ、かぐや何でも出来るキャラだしな……になる可能性が有ったのですが、ローリィなら確かにローリィなら出来るな~~!!って思って貰えるのも丁度良かったですね。俺がローリィ滅茶苦茶好きだったので使えるのも嬉しい。

終わりが決まったのでローリィに物語を書かせる理由とタイトルをSSマフィアにする妥当性を探します。

ローリィが物語を書く理由は簡単に付けられるなと思っていて、
①ハニーVSローリィの描写を見る限りローリィはまだ抗争から手を引いていない可能性が高い(大きな逆転の一手を探している)
②これまでの立ち回り(幽霊を使った情報戦や魔石の偽物を拡散させる一手)を見る限り参加キャラの中で最も島を俯瞰して見る事が出来ている(ので今回の抗争が決着した後を誰よりも早く見据える事が出来る)
③ローリィ自身がロリータ雑誌に救われた過去を持つ(雑誌(情報)が持つ影響力を信じている)
辺りの要素から能力だけでなくキャラクター的にもかなり適任だと思いましたね。

ローリィが協会に落ちたロリータアクセを見て物語を書く事を思い付いたのは、③の要素から自分がロリータにハマったルーツを思い出して自分も本を書こうと思い付いたみたいな描写です。因みに冒頭で賭け事をやっていた幽霊は二室とバルロです。バンブー陣営はかぐや(ボス)が居る所に集まってきており、一緒にローリィを茶化しながら死後を楽しんでいました。元々知り合いだった幽霊sじゃないのでローリィも酒瓶投げてキレてます。

アルフォートについて。
SSマフィアのキャンペーン概要的には決勝はアルフォートを交えた三つ巴になるのが正道かなと思うんですが、俺の中のアルフォートと言うキャラの格、かなり下限まで下がっているのでとことん格の低い描写をさせました。

何故格が低いのかと言うと概要公開時点で示されていたアルフォートの目論見を見透かした前提で動くプロローグがやたら多かったからですね。なんか滅茶苦茶アルフォート迂闊になってるし、島中で目論見バレてるのがむしろ当然みたいな勢いだったのでここから格を取り戻すには相当アルフォート頑張らないといけないんですよ。魔石をプロローグ時点で失ってるのも格を下げる後押しになったと思います。

アルフォートを強く描写出来るリンツ・クロゴ・ココアノが全員初戦で敗退してしまったので、勝ち残ったSSで加わったアルフォートの要素も足を引っ張る形でリンツの負け筋になった(ハニー1回戦SS)と魔石を失っているのに抗争中に高級ディナー食べてる(パーフェクト1回戦SS)の2つです。流石にもう強キャラとして振る舞う事は無理そう。

目的がばれる事はアルフォートにとってそこまで利にならないので最低でもその点の補強はしておかないとアルフォートの格を高く描写するの無理だろと言う認識もあり、準決勝タイミングで決勝戦でアルフォートを完全に蚊帳の外に置く為の前フリを行っていました。(準決勝時点で樫木ファームがアルフォートを保護している(身柄を抑えている)為、決勝戦開始時アルフォートは既にクリプトメリアによって捕らえている描写をしても問題無い)

ク=ロゴの予知があるので抗争中どこかのタイミングでクリプトメリアがアルフォートの位置を見付ける事はそう難しく無いでしょうし、一度見付かったら監視は付けられていると思うのでクロゴの制約によって突撃しなかっただけで抗争中ペルフェクティと樫木ファームは位置を把握してたと思います。ハニー戦で樫木ファームがアルフォートの確保に振り分けられたのは桜華ちゃんが守れるからは割と建前で下位組織にアルフォートの居場所をバラすタイミングではないとかその辺りの理由が大きいです。あそこは魔石を手に入れられそうな目途が立ったのでそっちでアルフォートの確保よろしくね、と言う感じのやりとりでした。

と言う訳で決勝SS開始時点でアルフォートを詰んでる状態に出来たのですが、だからと言ってアルフォートが何も出来ないままと言うのもそれはそれで面白く無いので何らかの足掻きをさせます。盤面的に既にクリプトメリアの勝利濃厚と言う描写をしても問題無さそうだったので、クリプトメリアVS残った魔石を狙っている人々と言う構図にしつつそれを引き起こしたのがアルフォートと言う感じになりました。

あと実はアルフォートはクロゴの存在を認知していない(パーフェクト1回戦SSでアルフォートが魔石を失っている為、アルフォートを守りつつそれが魔石によって引き起こされていないと言うカバーストーリーが必要みたいな描写をした)という体で話を書く予定でしたが、割と伝わって無かったのでアルフォートがクロゴを知らない前提の展開を書くのは止めました。

導入とエンディングが決まったのでやっとフランキーとの話を書けます。
VSフランキーの方向性は最初からふわっと決まっていて、それは『ただパーフェクトとフランキーが殺し合うだけのバトルを書く』です。

この抗争におけるパーフェクトの物語としてのラスボスはデンロック戦で、ペルフェクティファミリーとしての物語のラスボスはハニー戦のラオなんですよ。勿論目的はまだ達成はしていませんが、パーフェクトとク=ロゴのストーリーとしてはそれぞれの試合で一度終わらせたつもりで書いていました。なのでVSフランキーはラスボス戦が終わった後のエクストラバトルに近い形にするつもりでした。

フランキー戦でストーリーを何故描写しなかったかの理由の1つが上記です。フランキーのストーリーを書かなかった理由は他にも幾つかあります。

①かなりの文字数を割かないといけない上に、絶対にフランキーSSの方が効果的な描写になる
②ルカに裏切られていると言う状況でそれでも死ぬまで忠誠を誓い続けるフランキーと言う構図は結構嬉しい
③フランキーと言うキャラは結末が不明になる様に出来ている
④フランキーがそれを知れる理由が無い

の4つです。

①ハニー戦でも語った『描写するべき情報量に対して圧倒的に文字数が足りない問題とどう向き合うか?』と言う課題に対するアプローチとして『描写するべき情報を切り捨てる狂人になる』を選んだ場合、捨てる描情報の基準はそれの描写に必要な文字数に対してパフォーマンスがどれだけ発揮できるかどうかです。

フランキーのストーリー処理は勿論SSのメインディッシュになりうる要素ですが、パンチラインとして扱えば扱う程文字数を必要とする所でもあり、ここの料理はフランキーの方が100%美味しい物が出て来る事は分かり切っているので、コスパの面で見た場合優先的に切り捨てて最低限の描写だけをするのがパーフェクトSSでのベターな選択かなと思いました。

②一応パーフェクトSSでもルカの裏切りに気付いているかもしれないと言う匂わせだけはしていました。(フランキーはルカ達の行先を知っている筈なのに島外に行くファミリーと言う認識になっている)これについてはフランキーはルカの裏切りに気付いてるよと思いたい人がそう受け取れるレベルで流すぐらいのつもりでやりました。

後は芸術方面として裏切られた事に気付かないまま死ぬまでファミリーの為に命を燃やし続けるフランキー、結構嬉しいんじゃない?と思ったのでフランキーがルカの裏切りに気付いているかどうかと言う描写は一切書かない事にしました。なので決着手前でルカとの出会いを回想してルカの為に闘っている事を強調させます。フランキーのストーリーをマジで何も書かなかったのはこの点が一番大きいと思います。

③フランキー、絶対最後が描写されないキャラだと思ったんですよね。これに関しては言語化出来る程ハッキリとした理由は無くて、そう感じただけです。フランキーの物語を決着させないまま色々匂わせて彼の行方を知る者は誰も居ないで終わらせる事にしました。

④これは単純にフランキーがルカの裏切りに気付ける要素が無くない?と言う話です。ローリィからのリークが一番納得できる気はしますが、ローリィがそれをする理由もほぼ無いので俺は思い付きませんでした。くうねるさんは綺麗にやってのけてたので本当にビビった。

フランキーの物語を99%書かなかったのは上記理由ですかね。

バトル内容に関してはフランキーを動かすのが楽しかったので特に構成を作る事も無くただ俺が嬉しいバトルを書きました。お互い武器が武器っぽくないので金とベアリングボールを投げあうシーン面白いよなとか、同時にワイヤー展開したら嬉しいよなとか、銃を空中にトスして設置技として扱いながら近接戦したらカッコ良く無い?とか、パーフェクトの能力が『金』でフランキーの能力が『銀』だったのでそこを関連付ける遊びもしたいなとか。

概ね7割あのバトルは楽しんで書けたと思いますね。残りの悩んだ3割はムスクの毒の扱いです。俺はフランキーが♡喘ぎをしている所は絶対見たくないし、フランキーが毒の症状で隙を晒して負けるのも見たくないので逆に毒が限界まで回って死にかけているのを利用する事でムスクの毒と向き合ってますよと言う描写をすることにしました。最後の技が血のスプリンクラーならムスクの最期にもかかってグッド、能力応用描写にもなるので一石二鳥ですね。

決勝戦SSで拾おうと思った所で一番困ったのは間違いなくムスクの毒の扱いでした。くうねるさんもク=ロゴ周りが一番苦しんだって言っていて、お互い初戦の敵の要素が決勝で対面を一番苦しめてたのちょっと面白かったです。

フランキー戦は大体こんな感じですかね。
エンディングはパーフェクト、クロゴ、樫木それぞれの目的をさっくりと回収しつつ、最終回っぽい雰囲気で描写しました。

樫木エンディング
終わりを気持ち良くするならアルフォートも生かすでしょ!と思ったので彼女をエンディングの導入にしつつギャグ要素になって貰いました。
実際アルフォート、魔石の無い単体だとかなり弱いキャラになったと思っているので脅威無しと判断されて生かされる可能性もあるんじゃないかなあ。
樫木がアルフォートを殺す理由9割位面子の為だと思っているので(父の直接の敵はプロローグ時点でぶっ殺してるし)面子保ちまくった大勝利陣営となった状態なら生かす事で懐の深さを示すとかうんたらかんたらで生かす事にします。

奴隷身分に落ちたとは言ってますが復興が終わるまでだし、アルフォートが令嬢だった事は樫木も把握してるので滅茶苦茶気を使った裁定になってると思います。アルフォートは地獄だと感じていますが、多分週5日6時間労働3色昼寝付きお小遣い有り位の環境です。

ペルフェクティエンディング
弟がどこに居たかとかそういう要素は全部切り捨てて出合いのシーンだけ書きました。弟がどこに居たとかは全く考えてません。アンジンが一回戦勝ってたらジャックマリヤが送られた場所で一緒に保護されてたよみたいな話書いたかも。パーフェクトのブラコン要素もずっと書いてなかったのでムスクの♡喘ぎ要素をここで回収する事にします。後はクロゴのエンディングである魔石要素を回収し、手の甲に口付けしてエンド。そう言えば決勝ジョジョネタ擦って無いなと思ったのでジョジョ5部のエンディングをパロりました。5部ゲーのエンディングみながらSS書いてたらささらいさんに一発でバれたので笑った。

フランキーエンディング
全てが謎のまま終わらせるつもりだったので死後彼がどうするかについては全く考えて無いです。ビーチで待ってる人とどんな話をするのかとかルカの裏切りに気付くのかとか、ふわっと思い付くシーンは有りますがやっぱ全てが謎で終わった方が嬉しいキャラだと思うので何も書かない事にしました。

そうするとフランキーの書ける事があまりにも無いのでローリィのエンディング導入としても使う事にします。

ローリィエンディング
島の物語はまだまだ続くよと言う話はどこかでしたかったのでローリィエンドで次の抗争があるよねって話とか島外とどう付き合ってくか考えないといけないよねとか兎に角未来への布石をローリィに打ってもらいます。ここ書いてたらローリィどうやって島の外に本売るつもりやねんって問題が浮上したので丁度島外の有名人であるビリー北側を利用する事にしました。

Scramble Storyは完全に造語です。Sから始まる単語を探してたら丁度良さげなScrambleと言う群像劇を連想させる様な言葉が見付かったのでSSマフィアのSSはScramble Storyだと言う事にしました。

ローリィが群像劇だと思ってScramble Storyって付けるのは嫌だったのでScrambleの争奪、奪い合い、混戦と言う意味合いを取って奪い合う物語でScramble Storyです。でも群像劇と言う認識は持ってもらいたいのでタイトルもScramble Storyにして(なんかよく分からんけど群像劇みたいな意味か?)位に思わせておく想定でした。

終わりに

長々とお付き合いありがとうございました。
能力バトルの面白さでポイントを稼いで勝ちたい!!と言うスタンスでダンゲロスに参加した筈なのにずっと能力バトル以外の所でどう面白いと思わせるかと言う点で悩み続けた3ヶ月間でした。
自信となって得た物も自分に無い物もかなり学べたのでどこかで上手くアウトプットしたいですね。

あまりにも精神と肉体と家の中が破壊されたのでしばらくはやらねえ……と思っていたらダンゲロスSS1023/EXTRA Stardustに参加することになりました。最初はタッグなら出ても良いか……と思ってHyogaさんと組む予定だったんですが話が進むにつれ4人トナメになりパージした結果1人で闘う事になりました。なんで?

と言う事で参加者全員がタイトルホルダーであるダンゲロスS1023/EXTRA Stardust、こっちも優勝目指して頑張るので応援よろしくお願いします。

後はダンゲロスが落ち着いたら論外博戯とかも更新したいですね。投げては無いので先は長いですがちょこちょこ進めたいです。能力バトル+ギャンブルの話なのでSSマフィアで能力バトルが面白いと思って貰えたら読んでもらえると幸いです。では。


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