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バスラに行って死ね!

フセイン政権の没落後に成立したイラクは、アメリカとイランという二つの大国の間で苦労している。フセインを倒したアメリカの影響力の強さは説明を要しない。隣国のイランも、大きな影響力を有している。イランとイラクの経済は深く結びついている。たとえばイラクはイランからの電力の輸入なしには、経済が回らない。

そのイランとアメリカの関係が悪いと、その間でイラクは苦悩する。特に最近のようにアメリカがイランを経済制裁で締め付けようとすると、イラクは辛い。イラクは対イラン経済制裁には付き合えない。イランとの経済関係が切れてしまうと電力が足りなくなる。夏のイラクで電気が足りなくて冷房が使えないと、本当に厳しい。暴動を呼びかけているようなものである。事実、昨年の夏は南部の港湾都市バスラで暴動が起きた。停電が、その背景にあった。

現地では「ナポリを見て死ね!」に似た言葉があるという。「バスラに行って死ね!」だそうだ。前者の場合は美しいナポリの風景を一生のうちに一度は見るようにとの推薦の言葉だが、後者は「お前のような馬鹿は、バスラに行って暑さで死んでしまえ!」という呪いだそうである。

バスラの人たちは、イランからの電気が止まれば、死ぬ前に騒ぐに違いない。イラク政府には暑い夏になりそうである。

写真はバスラ港のオイル・ターミナル

By U.S. Navy photo by Photographer's Mate 2nd Class Samuel W. Shavers - http://www.navy.mil; exact Source, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4320552

 

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