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ボへミヤン・ラプソディとコプト教

   イギリスの伝説のロック・バンドのクイーンを扱った『ボヘミアン・ラプソディー』という映画が大ヒットしている。リード・ボーカルのフレディ・マーキュリーの人生に焦点を当てた映画である。このフレディ・マーキュリーを演じているのが、ラミー・マーレックである。名演である。今年のアカデミー主演男優賞の最有力候補だろう。

   本人はアメリカ生まれでアメリカ育ちであるが、両親はエジプトからの移民である。キリスト教徒である。エジプトのキリスト教徒はコプト教徒として知られる。エジプトの人口の1割弱は、このコプト教徒である。何となく日本人には、キリスト教がアメリカから来たとかローマから来たとか勘違いしているようなところがある。もちろん日本にはキリスト教は欧米経由で伝わった。

   だがキリスト教は中東で起こり中東で最初の信徒を獲得した。その一番古いキリスト教徒の子孫のコミュニティの一つがエジプトのコプト教徒である。もちろんエジプトはイスラム教徒が多数派の国だが、それなりの数のキリスト教徒も存在している。イスラム教は、その拡大期において支配地域内のキリスト教徒やユダヤ教徒を聖典の民として保護した。改宗を強制などしなかった。イスラム世界というのはユダヤ教やキリスト教を包含する世界システムである。そうした当たり前の事実を確認させてくれるラミー・マーレックの名演技である。

(写真は、ボヘミアン・ラプソディーの出演者、 ラミー・マーレックは中央の人物
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bohemian_Rhapsody_cast_on_MTV_Movies.jpg)

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