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バイデン前副大統領のよろめき

 2020年の大統領選挙に向けて民主党の指名を求める候補者の間でのテレビ討論会が、先月から始まっている。候補者が20 名を越えているので、1度に10名ずつのテレビ討論会が二夜にかけて行われる。テレビ討論も第2ラウンドに入っている。一人一人に割り振られている時間が短いので、見ていても、なかなか議論が深まらない。この制限の中で視聴者に強い印象を与えるのは難しそうである。

 そうした中でも最も成功したのは第1ラウンドの2日目の討論会でのコマラ・ハリス上院議員だろう。6月 27日にマイアミで開催された討論会での同議員の発言が注目された。

 さて民主党の候補者「群」の中でトップ を走っているのが、抜群の知名度を誇るジョー・バイデンであった。バイデンは、オバマ期の副大統領だった。ところが人種問題に関する過去の言動をハリス上院議員に叩かれた。1960年代からアメリカでは貧しい地区と豊かな地区の子供たちを同じ学校で学ばせるための努力が行われてきた。バスで双方の一部の生徒を他の地域の学校に通学させるのである。早い話が黒人の子供を白人の学校に送り込んだ。バイデンは、これに反対した過去があった。ハリスは、それを批判した。そして自分もバス通学を経験していると自らの体験にひきつけた発言をした。父親がジャマイカ系で母親がインド系なので、ハリスは自らをアフリカ系とは呼ばない。黒人と呼んでいる。ジャマイカ系というのは厳密にはアフリカ系という分類には、含まれないのだろうか。微妙な区別である。

 そのハリスの批判に、バイデンは十分な反論ができなかった。つまづいた。これで、バイデンの指名獲得が当然視されていた雰囲気が 一変した。民主党の候補者選びは、ますます混沌としてきた。バイデンのよろめきが、先行きを不透明にした。今日、バイデンとハリスが討論会で再対決する。バイデンは、よろめき続けるのか、立ち直りを見せるのか。見どころである。

写真はジョー・バイデンhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Official_portrait_of_Vice_President_Joe_Biden.jpg


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