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オタクとアルバイト

時を遡ること2年。1年の浪人の後、無事(?)に大学へ入学した俺はアルバイトを始めることにした。高校ではバイトをしてこなかったので、これが人生初の労働経験である。

アルバイトを始めれば、今まで買えなくて使えなかったあんなデッキやこんなカードが使えるようになるな…!とかウキウキで考えていた。
何を隠そうこの男、オタクである。

このnoteはそんなTCGオタクのバイト遍歴である________。


オタクと初めてのアルバイト

バイトを始めるにあたって、最初は何となく家庭教師や塾講師がいいなと考えていた。

中高一貫の男子校で青春6年間を過ごした俺にとって、キラキラしてまぶしい他の大学生たちと一緒に居酒屋バイトなんかをすることはとても勇気の要ることであり、初のアルバイトというそれだけで勇気の要る選択に居酒屋などの飲食が選ばれることは当然なかった。これ理解してくれるオタク多いとは思ってるんやけどどうでしょう。

そこで白羽の矢が立ったのが塾講師/家庭教師であった。ちなみに理由は

・時給高そう
・上司ポジの人にやんや言われることが少なそう
・(肉体労働がないので)楽そう

が主である。楽して稼ぎたいという欲望にあまりにも忠実である。

余談だが、塾講/家庭教師は、勉強が人並みにできるオタクが最初に選ぶアルバイトランキングぶっちぎり1位だと思う。統計取ったわけじゃないけど。

オタクと面接

塾講師は、結果から言うと面接で落ちた()

採用試験はテストと面接の2本立てだったのだがテストはパスしている自信があったので、おそらく面接がまずかったんだと思う。オタクワイの社会性のなさが早くも露呈。

大学生になりたての俺は、勉強だけできるコミュ障の若者にありがちな(偏見)全能感を持っており、(俺の1時間を900円とかで切り売りするなんてコスパ悪くないか??)みたいなベロリンガもびっくりの世の中を舐めに舐め腐った思想を持っていた。そりゃ面接で落ちるだろ。

家庭教師の方は人が足りなかったのか、大した面接もなく働けることに。

オタクと家庭教師

家庭教師を始めて俺はあることに気が付いた。
「生徒とのサシのコミュニケーション、むずくね?」
授業中はまだいい。生徒が集中していれば無言で見守っていればいいし、悩んでいたり、質問してきたりすればその解説の話をすればいい。

しかし、休み時間はそうはいかないのである。
部屋には生徒と俺の2人だけ。つまり休み時間のコミュニケーションは強制イベントなのである。こんなん負けイベやん。

10分の休み時間、それは生徒にとってつかの間の休息であり、前半と後半の間のオアシスなのだ。その希望の10分を、俺なんかが満たせるのか…?

さっきまでやっていた勉強の話をするなんてのは多分論外なので、世間話をすることになるわけだが、これがマジで難しい。
7個くらい下のあんまり仲良くない子と何話すんだよマジで。頑張って最近は何のゲーム流行ってるんー?とか聞いてみたりするが、まあすぐに話題の底が見えてしまう。

かくしてオタクワイ、引き出しの少なさにより完敗。

2家庭を担当していたものの、半年ほどで1家庭は「スポーツに専念したい」ということで契約終了。
ご家庭の優しい噓の可能性もあるだろうけど、でもせっかくの優しい嘘だったとしたらそれは真に受けるのがまあ正しいプレイングでしょう。スポーツ、応援しております。

あと家庭教師って時給は多分他のバイトより強いけど、長時間入れないから結局月収で見たら一杯稼ぎたいならベストアンサーではないなと言うこともわかった。わかって…うれしい。(綾波レイ)

オタクと塾講師

家庭教師の担当が減り、そして家庭教師の実入りの少なさに気が付いた俺はバイトを増やすことに。

そして塾講師に再挑戦。この頃には心の中のベロリンガもいなくなっており、なんやかんやで採用されるわけだが、塾講師は予想していたそれとはなかなかに異なっていた。

まず給料は高くない。これはどの塾かにもよるだろうが、自分の働いていたところでは少なくとも高いと思える時給ではなかった。さらに残業が多い。
基本的に給料は授業中しか発生せず、それ以外の時間は無給である。にもかかわらず、質問対応、事務処理、ゴミ捨てに生徒の見送りなど、サビ残のオンパレードである。

なかでも事務処理がめんどすぎた。しかも事務処理で提出しなければならない書類は一定のクオリティを要求され、それ未満であれば再提出になるのである。無給で。

社会人は日々こんな不合理に耐えているのだろうな、と思うと社会人への畏敬の念は深まるばかりである。

そして一度不満を持つとといろいろなことが気になってくるようになる。坊主が憎けりゃ袈裟まで憎いのだ。

さらにこのバイトで気が付いたことが、教えるの、難くね?、ということ。働き始めてからこれに気付くの致命的すぎるだろ…。

高校の数学とか教えてるとたまに普通に分からん問題が出てくる。

「先生これどうやって解くんですか?」

俺「これはねェ…えーと、その、あれやな、ちょっと待ってな、(解説ぺらぺら)」

「……」

視線が痛い…。沈黙が辛い…。

塾の月謝払ってんのにこんな先生に教えてもらうの嫌すぎだろ。さすがに申し訳なさ過ぎた。

かくして4ヶ月くらいで退職。

ちなみにこのバイトで初めてバイト仲間という存在が発生するわけだが、皆いい人たちだった。(大体先輩やけど)
バイト仲間は皆いい人たちだったけど、所詮俺はコミュ障オタク。
バイトの休憩時間とかに少しはしゃべるようになったものの、めっちゃ仲良くなれたわけでもなく、校長も入ってるLINEで飲み会やる!ってなった時は気付いたら不参加に票を投じていた。
(いやでも校長の来るバイトの飲み会、さすがにちょっとビビらんか…?)

かくして気が付けば俺は一つのバイトが長続きしないタイプの社会不適合オタクとなっていた。

オタクと遊園地クルー

塾講師で数学とか教えるんは無理やなと悟ったため、塾以外のバイトをチョイス。
タウンワークで募集してたのがパチ屋 パン屋 遊園地 で受かったのは遊園地だけだった。
パチ屋面接で落ちたってマジ…?
ひとまずバイト先は決まったのでがんばって労働しようと決心。
しかし、バイト仲間が眩しい大学生ばかり…(それはそう)
勤務中のコミュニケーションは業務内容のことを質問していたりとかでいいけれどやはり問題は休み時間。

全コミュ障オタクを代表して言いたい。休み時間ほんまにきつい。

休憩の取り方は日によってまちまちで複数人で同時に休憩したりもするのだが、そうすると発生するのである。自分以外が談笑してたりするアレが…。
バイト新人の自分は絶妙に輪に入れず、周りもそれをなんとなく察して談笑しつつも気を遣ってるような微妙な雰囲気になるアレである。
しかし天才ワイ、ここで逆転の策を講じることに成功する。

休み時間に勉強してしまえばいいのである!

周りは勉強している自分には気を遣うことはない。なぜなら勉強しているのだから。
会話に入れずすみっこでスマホをいじっている寂しい奴ではなく、休憩中も勉強しててえらい奴になれるのである。勉強しているため、会話に加われないだけなのだ!(ほんまに周りからそう見えてるかはわからん…)

休憩終わりにシフトに戻れば、2人で担当するポジションだったとしても試験近いん?みたいなこと聞かれたりして業務中のコミュニケーションまでやり過ごせるまさしく神の一手。

これを習得してからは、バイトない日よりバイトある日の方が勉強が進む謎現象が発生したりした(?)。休憩時間勉強システム最高!!!

かくして順風満帆バイトライフを送ることになった(?)。

オタクとバイトで得たもの

3回生になりいろいろ忙しくなってきたため、現在は遊園地も退職している。
しかし今までのバイトで色々と得るものは合ったのでバイトは社会経験という言説はマジだなあと思う。
これからは塾でバイトするのはやめとこうと思ったし、社会人になって、休憩時間で気まずくなった時には適当な資格試験の勉強をすることでケアしていこうと思う。

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