【詩のようなもの】姫百合
白を泥や血や膿が染めてゆく
耳に嗚咽や悲鳴や叫び声が
響く
目には ただ ただ 地獄が広がり
口にする物は水さえも無く
それでも献身を捨てず助けが来る事を信じ
彼女達は傷を縫い 包帯を巻き 励ました
やがて悪魔が天使を押し退け
絶望を抱えてやって来た
天使は真っ白な白衣の彼女達の手を取り
天へ昇って行く
悪魔は仕方なく数人を連れて消え去った
天使は一言だけ口にした
『もう我慢しなくて泣いて良いよ』
皆が皆 それぞれに別れの言葉を叫び泣いていた
1945年8月 日本降伏
沖縄上陸作戦から約3ヶ月後
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