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レコメンドウィジェット広告業界への悪口 #教養悪口本 出版に寄せて

堀元見氏が初の著書を出した。「教養悪口本」である。

私は彼に感謝している。私が今年いちばん力を入れた寄稿記事へ、彼の校正を入れてもらったからだ。その記事は下記だ。

この記事では、インターネット広告の形態のひとつである「レコメンドウィジェット広告」に違法広告が蔓延していることを指摘した。インターネット広告業界の心ある方々から、一定の評価を頂いた。

その評価は嬉しかったが、少し、むず痒かった。すべて私の文章だ、とは言い切れなかったからだ。

上記の文章を書いたのは、基本的には私だ。根拠となるデータはすべて私が集めた。草稿も私が書いた。自己校正もした。

ただ、私のスキルには限界がある。できる限り文章の完成度を上げたかった。最後の校正で、堀元氏の知恵を拝借した。

堀元見 氏について

堀元氏は、著名なインターネット芸人である。彼は、簡単に言えば「悪口師」だ。人の悪口を書いて生計を立てている。これだ。

彼の卓越した教養に裏付けられた悪口は、芸術の域に達している。上記の悪口noteは実際に売れているし、今回の「教養悪口本」も、Amazonの総合ランキング5位に入ったそうだ。版元の光文社がプレスリリースまで出している。

彼から発せられる悪口は、基本的に有料である。前述の私の記事への校正についても、一般的な校正の相場観よりも大きな金額のお金を払い、「悪口のお仕事」として受けて頂いた。

まだ彼の名が世に知られていない頃に書かれた文章の中には、無料で読むことができるものもある。代表的なものは下記だろう。

なお、文の主題に落合陽一先生が絡んでいるが、堀元氏は落合先生の知性には強い尊敬を持っているようなので、誤読しないようにお気をつけ頂きたい。

堀元氏は、冒頭に挙げた私の記事をしっかりと磨いてくれた。そして、その記事はインターネット上で一定の力を持った。

その彼が、初の著書を出した。買わねばなるまい。

私は届いた本を読み進めた。大変に楽しく、2リットルのミネラルウオーターをゴクゴクと飲み干すように、一気読みした。

そして、本の最後に「ぜひ明日、すぐにインテリ悪口を使ってみてほしい。」と書いてあった。

彼の指示なら、従わねばなるまい。

私は実際、レコメンドウィジェット広告業界に対してイライラしている。そこに、恩ある堀元氏の指示が出た。仕方がない。私もこの教養悪口本を引用しながら、堀元氏の指示に基づき、レコメンドウィジェット広告業界に対して悪口を書く。

なお、引用した部分には[教養悪口本 P14]のように、教養悪口本のページ数を記す。

レコメンドウィジェット広告業界への悪口

ゲノム解析されていそう

レコメンドウィジェット広告業界の技術者は、ゲノム解析[教養悪口本 P14]のサンプルとして良さそうだ。

彼らはアドテクなどと称してイケてる雰囲気を醸し出している。確かに、新入社員研修を受けた程度の技術力はあるのだろう。

しかし、次々に現れる違法広告に対しては対処が行われない。消費者庁から行政処分を受けた会社の広告も、とめどなく流れてくる。

おそらく、indexOf関数やLIKE演算子などの基本的な知識がないのだろうと思う。技術者としては、ゲノム解析候補の筆頭と言える。

もしくは、ダチョウなのだと思う。ダチョウアルゴリズムについては堀元氏のYouTubeチャンネルで解説されているので参照されたい。

オーストラリアでイノベーション特許が取れる

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、オーストラリアに生まれていればイノベーション特許を取りまくっているだろう。

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、新語を作るのが大好きだ。ほぼ何も変わっていなくても、ちょっと機能や性能を変えたものを作ると、新しい概念として、おごそかに提唱する。

仮にオーストラリアであれば、イノベーション特許くらいは取れる[教養悪口本 P28]かもしれない。しかし、残念ながらここは日本だ。彼らの造語には、あまり意味がない。

アナニアとサッピラではない

この段落では、レコメンドウィジェット広告業界の人たちを褒めようと思う。

彼らは、強心臓だ。誰もが見ることができるインターネット上で違法行為を繰り返している。これは、度胸がないとできない。

アナニアとサッピラ[教養悪口本 P35]なら、一瞬で死んでしまうだろう。レコメンドウィジェット広告業界の中におらずとも、ネットユーザーとして広告を見たときの共感性羞恥だけでポックリといきそうだ。

しかし彼らは強く生きている。生きていくのは良いことだ。

論理療法で論駁されたほうがいい

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、がめつい。どんなに叩かれようとも、違法広告を表示し続けてカネを稼いでいる。

たぶん、「カネを稼がねばならない」というイラショナル・ビリーフ[教養悪口本 P42]が強固なのだと思う。そうであるなら、論理療法で論駁された方がいい[教養悪口本 P39]

レコメンドウィジェット広告業界の人たちには、ぜひ、堀元氏が募ったクラウドファンディング「生きたい!」を見て頂きたい。意外とカネは貰える、ということも、堀元氏が示してくれた。

もしクラファンを立ててくれたら、私も15万円くらいは出そう。それでレコメンドウィジェット広告が消滅するなら安いものだ。

「重さがマイナス」とか言い出しそう

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、自説を曲げない。彼らは、レコメンドウィジェット広告を「ユーザー体験を損なわない新しい形のデジタル広告」だと言い張っている。

この12月、ニベアとパインアメの画像を無断盗用した広告が話題になり、レコメンドウィジェット広告はネットユーザの怒りを買った。私もいくつかのマスコミ媒体に駆り出された。

それを経た今でも、彼らは「ユーザー体験を損なわない新しい形のデジタル広告」だと言い続けている。

彼らはフロギストン説[教養悪口本 P45]を信じ続けるタイプなのだろう。いずれ、重さがマイナス[教養悪口本 P44]だと主張すると思う。

パリティビットが意味をなさない品質

レコメンドウィジェットに表示されている広告は、嘘だらけだ。

ニベア問題の際、日テレ「news zero」の記者が、違法広告の制作会社の社長にインタビューをした。

記者は、「この広告の中で、根拠がある部分はどこ?」と聞いた。制作会社社長は答えを返せなかったようだ。

根拠がある部分がない。パリティビットが意味をなさない品質[教養悪口本 P49]と言える。

ヴァレンヌ逃亡事件じゃないんだから

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、極めて楽天的である。

現在、消費者庁がレコメンドウィジェット広告業界を問題視し、検討会を開いている。結論は、この年末年始のどこかで公開されるはずだ。

その状況でもなお、レコメンドウィジェットには違法広告が表示され続けている。楽天的であり、呑気だ。ヴァレンヌ逃亡事件[教養悪口本 P72]の光景がここにある。

レコメンドウィジェット広告業界の人たちは、ルイ16世[教養悪口本 P75]の生まれ変わりなのかもしれない。

ここから先、めんどくさいので適当

駄文に時間をかけるのもアホらしくなってきた。ここから先は雑に済ます。

個体の能力を犠牲にする戦略

レコメンドウィジェット広告の会社は、意味が薄いプレスリリースを乱発する。「やってる感」を出すためなんだろうと思う。個体の能力を犠牲にする戦略[教養悪口本 P77]だ。

最終的に石になる感じ

レコメンドウィジェット広告の会社は、広告において「selling」のみしかしておらず、「branding」への意識がない。広告を学問として体系的に学んでいないのだろうと思う。

それでいてデジマとか言ってイキり、それが広告の全てであるかのように振舞う。思慮が浅い。

彼らはニオベ[教養悪口本 P116]と同じ生き方をしている。最終的に石になる感じ[教養悪口本 P112]だ。

道徳貯金が前澤友作

また彼らを褒める場面が来てしまった。レコメンドウィジェット広告の会社は、インターネットを介して、違法行為をとめどなく行っている。

それに伴い、彼らの道徳貯金[教養悪口本 P129]は、前澤友作さんレベルの黒字になっていると思われる。たぶん、会社の外に出た彼らは凄まじい善人なのだろう。

mp3が定着したのは君のおかげだよ

また褒めなきゃいけないのか。レコメンドウィジェット広告業界は、違法広告を通して「違法だけれど売れる広告」を開陳し続けている。

mp3[教養悪口本 P155]が広まったように、彼らは「売れる広告」の実例を広めている。広告コンテンツの技術を広めることには貢献しているのかもしれない。

世界で一番大きな花だね!

最後の悪口くらい、多少、真面目に書こう。

レコメンドウィジェット広告業界は、インターネット空間の信頼性を換金している。レコメンドウィジェット広告業界が儲かるたびに、インターネット空間の信頼性は吸い取られ、消える。レコメンドウィジェット広告は、世界で一番大きな花[教養悪口本 P204]だ。

今年、その象徴と言えるできごとがあった。GMOが用賀駅直結のビルを買い、「GMO TOWER」と名付けたのだ。

GMOのレコメンドウィジェットである「taxel」には、みんなが大嫌いな角栓広告がたくさん表示されている。GMOは、この広告で儲けている。

taxel by GMO の角栓広告

GMOは、インターネット空間の信頼性を大量に吸い上げ、消滅させ、自分たちのカネとして換金した。そしてビルを買った。

GMO TOWERは、「角栓TOWER」と呼ぶのがふさわしい。用賀駅の副名称は、残念ながら「角栓TOWER前」になるだろう。ここだけは、私のオリジナル悪口だ。

悪口スキル

ここまで書いて、堀元氏の悪口スキルの高さを改めて思い知った。悪口を書くことは、たいへん疲れる。

堀元氏は、いとも簡単に、芸術的な悪口を美しく奏でる。

どんなことでも、見ているのと実際にやるのとでは全く違う。悪口は難しい。

爪痕

確か、堀元氏は「悪口で世界を変える」というようなことを言ったことがある。冗談めかしていたが、半分は本気なのだろう。

彼は、創作で世の中に爪痕を残したい、という感情を持っているのだろうと思う。今は、その創作の対象が「悪口」なのだ。

私も、活動の場は違うけれど、同じ感覚を持っている。私はプログラマーだ。自分が創作したプログラムで、この世に爪痕を残したい、と思っている。

レコメンドウィジェット広告運営会社で働く人も、「爪痕」への欲求があるのだろうか。もしあるなら、どんな「爪痕」を求めているのだろう。

価値観が違う人たちだ。そういう類の話をしても噛み合わないだろうけれど、聞いてみたくはなる。あなたたちは何のためにそれをやっているのですか、と。

たぶん、そんな機会は来ないだろう。私は老いたから、諦めることには慣れている。

心を寄せたいという考えはある。けれど、事務的に殴り合う覚悟はつけている。

<終わり>


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