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能登note2024 その1)輪島・金蔵 ~寺の渡り廊下カフェのオーナー 福井駅前で“能登丼”の店をオープン

能登半島地震から4か月。
甚大な被害を受けた人たちは、それにもめげず、立ち上がろうとしている。

2019年秋、能登を巡る旅で知り合った日向文恵さんもその一人だ。

日向文恵さん。

文恵さんは、輪島市町野町(まちのまち)の金蔵(かなくら)集落[※1]にある慶願寺(きょうがんじ)という寺の住職の妻。

慶願寺(きょうがんじ)の玄関   〔2019年9月3日撮影〕

同時に、
寺の渡り廊下を生かしたカフェ「木の音(こえ)」のオーナー
という顔も持っていた。

玄関のある建物と本堂をつなぐ渡り廊下。高低差を生かし、机と椅子を設え、カフェにした。
刳り抜かれた丸窓。緑がダイレクトに目に飛び込んでくる。爽やかで眩しい。


正面に見えるのが渡り廊下。ここにカフェがある。画面左、三角屋根の建物が本堂。画面右、見えないところに玄関がある。


カフェが、どんなに素晴らしいか

なぜ、寺にカフェを作ったのか

わずか100人ほどの小さな集落・金蔵[※1]が、いかに結束力が強いか

については、当時、Facebookに書いた記事をご覧いただきたい。


あれから5年。今年の元日、能登を襲った大地震

先月下旬、文恵さんと、電話でお話しすることが出来た。

カフェに使われていた渡り廊下は潰れずに済んだが、寺にとっていちばん大事な肝心の本堂の損傷が激しく、また、カフェの厨房も毀損が著しいという。

カフェの再開は決して簡単ではないことは、文恵さんのお話や写真で、よくわかった。

玄関は完全に潰れてしまった。その奥の住居は増築した部分で、築年数が比較的、新しかったことから、被害は少なかった。
山門の上の部分が無くなってしまった。

「やはり、そうか」と、暗澹たる気持ちでいたが、嬉しいニュースが文恵さんから届いた。

4月19日から、福井駅で、能登丼(のとどん)という丼を売り始めたという。

能登丼は、石川県奥能登地域の肉や野菜をふんだんに使ったご当地グルメ

実は日向さん、地震の前から、能登丼で地域の活性化を図る組合(能登丼事業協同組合)の理事長を務めていた。

「木の音(こえ)」でも、能登丼を提供していて、5年前、妻が注文していた。僕も一口、いただいた。美味しかった。

妻が頼んだ能登丼。これは、『木の音(こえ)』の能登丼。一定の要件を満たせば、ディテイルは、店によって違って良い。

今回、文恵さんたちが能登丼の店を出したのは、隣りの県、福井駅前の再開発ビル。ビルの1,2階で3月16日に開業した食の複合施設「MINIE(ミニエ)」から、「復興(=飲食店の再建や食材などを提供する事業者の支援)につながれば」と誘いがあり、出店を決めたという。

福井駅で能登丼の店がオープンしたという話題は、NHKを始め、地元のテレビ局や新聞で、大きく取り上げられた。

「とてもとてもめまぐるしい毎日ですが、ようやく一歩
進む事ができました」。

文恵さんからのメッセージには、そう書き添えられていた。

ようやく一歩…

短いけれども、重みのある言葉…。


食材をどう調達するのか?

店の運転資金をどうまかなうのか?

何より、渡り廊下のカフェは再建できるのか?

課題は山積みだ。

けれども、やれることからやるしかない…

そんな思いを感じる。

福井駅での店のオープンに合わせ、文恵さんたち、能登丼事業協同組合ではクラウドファンディングも始めた。

よければ、ぜひ、クラウドファンディングに参加してください。

もちろん、参加を強要するつもりは毛頭ない。

支援の方法は、人それぞれ違って良いと思う。

金蔵集落を忘れない

寺の渡り廊下を使った、とても素敵なカフェのことを忘れない


それだけでも立派な支援だと思う。


[※1] 
金蔵は、58世帯112人の小さな集落(2020年10月1日現在)。

5年前、カフェ「木の音(こえ)」を訪ねたときは、能登半島の西側を海沿いに北上。輪島市の中心部を過ぎ、千枚田を越え、しばらく行ったところで右に折れ、山道へ。対面車が来たら厄介な細い道を5分ほど走ると、慶願寺(きょうがんじ)に到着した。

だが、この山道(石川県道277号柳田里線)も地震で激しく損傷。グーグルマップを見る限り、今も通行不能で、回り道を余儀なくされるようだ。

一日も早い復旧を望みたい。




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