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スピーカーワークショップレジュメinデカい穴(京都市)2022.02.21

このレジュメについて

このレジュメは2022.02.21に行われたスピーカー作りワークショップで使ったレジュメである。原文そのまま。

■しかしなぜ、スピーカーを作るのか

 私たちが良い音で音楽を聴こうと思ったとき、電気店かアマゾンかなにかで出来あいのものを買うしかない。そのように思っている。しかし、これはおかしい。おかしいと思うから、スピーカーを作る。これが理由である。
 これは何も、スピーカーのことだけではない。私たちは何かを欲しいと思ったとき、どこかから買わなければならないと思っている。たとえば服がそうだ。服が欲しいと思ったとき、ユニクロだかGUだかに行って買う、これしかないとだいたいの人は思っている。ユニクロだかGUだかをはじめとする既製服のお店というのは、およそ万人に売る必要がある。どんな奴がきても大体似合う感じの服。だから、万人に合うパターンを作り、それを販売する。パターンというのは布の切り出し方を指示するもので、それ通りに工場で布を切って縫い合わせる。これが既製服である 。だれにでも合う服を作り、それを売るという商売をしているのがユニクロだかなんだかである。ゆえに、微妙なシルエットの服だけが売っている 。
 このことに気が付き、自分で服を作ろうと思った。しかしそのように考えると、アルマーニだかなんだかというハイブランドもだいたい一緒である。ターゲットが小さいだけで、自分じゃないやつが勝手に作って、それを良いと思いこまされているという時点でなんか気持ち悪い 。自分で作っていないから、他人が考えたこれがきれいだとかなんとかというものに支配されている感じがする。
 服を作っていたときに知ったのは、そもそもパターンというのはそのもとになる「原型」というのがあり、これが男女に分かれているということだった。なんとか式原型(男)と、なんとか式原型(女)である。なんとかとかいう流派とそれに対抗してつくられたなんとかとかいう流派とその分派がたくさんあるらしい。とはいえどれも一緒で、服を作る一番スタート地点から男女に分かれていて、そこからパターンというものが生じる。これが変だと思った。
 というより、山口式原型(山口和紀)というものがあり、それに従って服を作るべきだと思った。山口和紀は山口和紀であって、なんとか式原型(男)とは全然違うからである。原型もプロが頑張ったり、CADつかって計算させたりしたら、原型を山口和紀に近づけることはできるのだが、それではなんだか違うと思った。
 それで調べてみると、原型から作らずに人間から作るという方法があるらしい 。それで良いと思った。自分に布を当てて、自分用に作れば、自分が一番着やすい服が作れると思った。それでその方向で試行錯誤したが、現代は「原型」とか「パターン」とかというものから外れると、途端に情報がなくなる。それであまりにも情報がなさ過ぎて頓挫したが、ともかく「原型」だかなんだかを信用せずに、自分自身に沿って作るべきであると思った。ちなみに、和服というのは面白いことにこの自分勝手に作るという方向性である。布を人間に巻き付けて、勝手に自分なりに着る、という作戦を取る。これは面白いことだと思う。
 それはともかく、スピーカーを作るというのは、基本的にこうした方針にのっとった行為である。自分が自分用に作ったほうが良いものができるに決まっている、ということだ。スピーカーというのは簡単に言うと、コイルに電流を流して、そこで電流を空気の波に変換する装置である。スピーカーというものがどういうものか、というのを読むとそう書いてある。ただしスマホとかそうした音源から出てくる電流というのは極めて小さいので、それを大きな電流に変換する「アンプ」とかいう装置が要る。それだって電気をデカくしているだけであって、基本的には極めて単純な構造をしている。電気でかでか装置である。
 このアンプという装置も気に食わないので、今度作ろうと思うが、時間が足りないので放置している。だいたい四角の固い箱に入っているので、紅茶の入ってたやわらかい箱であるとか、おやつカルパス(ビッグ)の箱とかに入っていた方がかわいいと思う。それかマグカップに基盤を入れて、持ち手のところから入出力を出したい、という構想をしている。
 ともかく「だったら、自分で作ればよい」のである。私は基本的にこの方針で生きている。そういう風に生きると、自然と自分で作れるものが増える。ので面白い、と思う。

■どうやってつくるのか

 スピーカーというのは簡単な構造をしている。スピーカーユニットなるものがあり、アンプというのがあり、それをつなぐコードがある。スピーカーユニットは拾ってきたり、解体屋からもらったり、100均一からひっぺがしたりしたので、それがある。どれでも好きなものを選べば良い。アンプも既製品があるし、基盤買えば自分で作れる。ともかくあるものを使う。とすると、スピーカーをアンプにつなぐ線をはんだ付けして、適当な箱に入れたら良い、ということになる。

■売れと言われるが、しかし。

 スピーカーを作り始めてから、「売れ」と言われるようになった。しかし、いやだ。自分で自分用に作ったものを売るとか無理である。勝手にてめぇで作れ、である。私はあなたではなく、あなたも私ではないから、あなたの気に入るものは作れない。と思うがさすがにそんなこと言うと嫌われると思うので、言っていない。だが、こんな単純な装置くらい作れないなんてのはおかしいので、作れ、である。

■それでも売れというならば

(ここは追記20220225)。それでも売ってほしいならば、3万円(税込み)払ってもらったら作って売る。3万円(税込み)には次を含む。

1. ヒアリング(どんなところでどんな音楽を聴きたいのか。スピーカーの大きさ、形、色のイメージ)
2. 制作費
3. 材料費(デジタルアンプ・スピーカーユニット・段ボール・ケーブルなど)。
4. 工賃

商品とそれを作る手間からすれば3万円でも安すぎると思うが、別に儲けようということもないので、とにかく3万円くれたら作って売る。ただし、一度会ってみて、売りたいと思った人間にしか売らない。というより、好きじゃない人間には作る気がしないと思うというだけで、まぁたぶんだいたいの人には売れると思う。

撮った写真

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おわり


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