見出し画像

サくら&りんゴ #87 縦書きのクリスマスプレゼント

ふと気づくと東京に引っ越して40年近い。その間、府中→調布→豊島区→板橋区→杉並区と結構な住所変遷があった。

その二番目の場所、調布市の深大寺からの友人がいる。

七つ年上のたえちゃん

いわゆる子供の公園デビューでママ友として知り合った。しかし当時一般的だったOOちゃんのママと呼ぶのではなくそれぞれの名前を呼び合おうと決めて、当時からそして今も彼女のことをたえちゃんと呼んでいる。


公園で知り合ったとき、たえちゃんはすでに二人の娘がいるベテランママさん。そのたえちゃんちの三番目は男の子でうちの娘とひと月違いの同級生。その後はうちの息子も加わって、4年近い調布時代、半端ない時間を子供たち含めた家族で共に過ごした。


何がきっかけだったろう。

両家の子どもたちが中心だったクリスマスの集いに、私たちの間だけのクリスマスプレゼント交換をしようと思い立ったのは。

ふたりとも小物好きで、彼女からのプレゼントの中には、ちょっとした小さな日常品やクリスマスのお菓子、そして好きな絵本の一場面が抜粋されたクリスマスカードが決まって添えられていた。それは私も子供たちも大好きだった林明子さんの絵本からだったり、定番ぐりとぐらだったり、ムーミンだったり。

私が国外にいてプレゼント交換が叶わない年もあった。
夫の事でいっぱいいっぱいで本当はそんな気分でない年もあった。

でも今年は私も無事一時帰国を果たして


じゃあ吉祥寺でね


そんなlineを交わすことができた。
吉祥寺のいつもの待ち合わせ場所で。


ところで、吉祥寺駅もすっかり変わってしまった。けれど、こっちに行けば井の頭公園、このままいけばロンロン(アトレになってしまったけれど)。あっちに行けばサンロード。ここに来るとたえちゃんと小さな子供たちと共に過ごした調布時代がなつかしい。
この地域に残る23区内とは違った武蔵野の色が私はかなり好きである。


さて、たえちゃんサンタからのプレゼントには一冊の本が添えられていた。

私がカナダと行き来するようになった後にも一度クリスマスのプレゼント交換をすることができて、そのときもらったのは

小川糸さんのミ・ト・ン
私はそれをスーツケースに入れてカナダに持ち帰り大事に読んだ。

そして今年は

プラテーロとわたし
ヒネメスの詩と山本容子さんの版画

私が山本容子さんの版画ファンだと知っての事である(クリスマスカードも)
本屋さんで働いていたこともあるたえちゃんは、私が好きそうな本に精通している。

ところで本好きだった私は数十年前L.A.にいて日本語の活字に飢えた。日本食よりとにかく日本語を読みたい!
それも今ではネットを通じて、どこにいても日本語を読むことができる。
ありがたいことである。

しか~し

暖かい紅茶を準備して、もみの木のそばのソファーで、プラテーロとわたしを開いた私の頭はくらりとした。

縦書きであることを忘れていたのである。

考えると先のたえちゃんからのプレゼントミ・ト・ン以来、縦書き日本語を読んでいなかったかもしれない。
やばーい

ところで、英語圏のモンテソーリのワークを作るときや準備をするとき、あるルールがあった。それは子供たちがそのワークをするにあたって、左から右へと視線が流れるように設置すること。

それはもちろん英文が左から右へと進んで行くからである。

目の動きなんてそんなに重要なの?と半信半疑だった私であるが、それは確かに頭の働きと密接に関係している。

縦書き日本語が読みにくくてすらすら頭に入ってこない!

クリスマスの次の朝
東京は快晴
縦書き日本語プラテーロとわたしと奮闘中の
カナダオンターリオ田舎帰りのわたしであった。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。