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Dual Residence:サくら&りんゴ #21

7月1日 カナダデーである
Erikたちが遊びに来てくれた

せっかくなので久しぶりにナチョスを作る。

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コーンのトリトス
炒めた玉ねぎとビーフ
リフライドビーンズ
サワークリーム
そしてチーズを層に重ねていく。
ブッラックオリーブ、ハルペーニョ、シラントロも忘れずに。
最後にもう一度チーズを散らしてオーブンで15分。

夫が教えてくれたレシピの中で私が気に入っている物のひとつである。

さて、先日たまたまYoutubeでカナダの歴史シリーズを見つけた。
そして小学1年生並みにいろいろ学ぶこととなった。

まずはその名前。
CanadaはもともとKanataという名前からきたとのこと。
ファーストネーションズと呼ばれる先住民の言葉で、ヴィレッジを意味するらしい。
英語発音のキャナダより日本語の、それも関西弁のカダに音が近いではなか。

以前にも書いたが、カナダ先住民由来の地名の音が、なぜか私を魅了する。
例えば
サスカチュアン 
オシュワ
なんて素敵な音!

彼らは主にモンゴロイドと言うから、日本人である私の深いところでつながっていて、何か郷愁を引き起こすのかもしれないと、
勝手に思っている。

さてこのカナダの歴史でさらに知ったことは、ヨーロッパからの初の入植者がフランス人で、まずケベックとう町が出来たということ。
いやはや、そう言うことであったか。
カナダに移り住んでしばらくして、このフランス語圏のケベック州の特別感は何だろうと思っていたのだ。
なんせイギリス連邦の一員のカナダであるから、イギリス人がやって来たあとにフランスからも今のケベックに移住者があったのだろう、くらいにしか考えていなかったのだ。
だからカナダの公用語が英語とこのケベックだけのために(?)フランス語の二つというのはなんとも効率が悪いと思っていたのだ。
例えば公的な文書、政府発表などは英語とフランス語の両方で書かれている。ということはすべての文書は公用語がひとつの場合の二倍を要するわけである。スピーチやアナウンスも両方の言語が使われるので、つまり時間は二倍かかるし、同時通訳、手話等に要する人員も二倍となる。電話でも両方の言語でまずアナウンスが流れ、英語の場合は1を押して・・などの手順がある。商品のパッケージも英語フランス語の両方表示であるから、ちいさなパッケージなどはその限られたスペースに二か国語の表記。それは老眼鏡の上に虫眼鏡が必要な小ささを強いられている。そして記載できる情報量は半分に制限されるのだ。

単一言語のほぼ単一民族の日本で生まれ育った私の 浅はかな考えであった。

その後ケベックは、やって来た英国軍に占領され英国の支配下におかれることとなった。しかし人々は自分たちの言語と宗教を死守したのである。硬い決意をもって。
公用語が二つあると効率が悪い。そんな効率の良さだけで物事を考えていたことに気づかされる。
世の中には効率がいいことより、もっと大事なことがあるのだ。

自分では差別をしていないつもりでも無知が原因で差別になっていることがある。知らなかっただけではすまされない。

無知である事は時として恐ろしい

さてもう一つ分かったのはカナダにとってのビーバー。
5¢コインに掘られていてずっと疑問であった。

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ビーバーが国の動物ってなんだかしょぼくない?

しかしそのビーバーの毛皮のおかげでカナダはヨーロッパとの交易を果たし、国が成り立って行ったらしい。

ビーバーの皮はすごく分厚いんだ。ディアなんて薄いもんさ。

Erikは夫とハンティングを共にして来ただけあってその辺のことは詳しい。

この地で、川の中にダムを作って冬を過ごすのだから相当な防寒着が必要にちがいない。納得である。
ごめんね、ビーバーさん。
あなたがそんなに大切な存在だったとは。

そういえば2017年のカナダデーの事である。
その年は建国150年(若っ!)で、夫と一緒に近くのライブラリーで行われている催しに出かけた。夫はせっかくだからと、特別なジャケットを引っ張り出してきた。
それは古いジージャンで背中の部分に大きく花の刺繍が施されている。
建国記念日に着る特別なジャケット。なんせファーストネーションズの文化に関わって来た夫。ここよりずっと北にあるSalluitという村まで旅し、そこで出会ったある人物と深い友情を交わしたと話してくれたことがある。このジャケットもそれに関連しているに違いない。

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そうずっと勝手に思っていたら
Erikに
ヒッピー時代のじゃないの?
と一笑された。
何か由来を知っているかと聞いたのである。

そう言えば
夫も自身でヒッピーだったと言っていて その当時のものらしい写真が一枚だけ残されている。
生まれ故郷バァモントの田舎町に、新しいシステムのコミュニティカレッジを設立しようと奮闘していた頃のものらしい。デスクに座り真剣なまなざしで書類を持っているのは、ドレッドヘアにピアスの男である。
仲間と一緒にウエスタンブーツにぼろぼろジーンズのいでたちで、町のオフィスに出向いたがスクールの申請は却下されたらしい。
そりゃそうだろうと、日本人的思考の私は思ったものだ。
子どもの頃騒がれていたヒッピーとそのファッションをぼんやりと把握はしている。が、今もって
彼らはヒッピーで(現在の状態として)とか、
あそこに住んでいるヒッピーたちが、
という表現を聞くので、いまひとつ意味が分かっていない私である。

さて、午後も遅くなってきた湖畔。
しかしカナダデーの今日ばかりは、あっちこっちの木陰が人々に占拠されたままである。
そろそろ私たちの時間のはずなのに、と思っているかどうか知らないが、例のダックの家族がやって来た。
人々の中を、何の警戒もなく泳いで来る。
水際で足をひらひら動かすと、そろそろ幼稚園を卒業しそうなくらいのわんぱくダックたちが近づいてきた。

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親鳥は後ろから見ているだけである。

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あれ、あの親鳥、mallardのオスのような色をしているなあ。子供たちはblack duckなのに

そう言ってすぐにググっているのはErikである。
ダックの場合、メス鳥がことどもたちを見るのがふつうである。
何の目的か、人工的に交配し放たれているダックもあるという。
彼は、解禁になったらこの湖でダックハンティングをしようと企てているのだ。

どれだけ年齢を重ねようと、世の中には知らない事ばかりがある。
どんな小さなことでも、新しい発見に出会うと心が躍る。
この地に住むもうひとつの理由がここにあった。
毎日が新しい発見の連続である。


規制が緩むまで、ビーチクラブによるカナダデーの花火もBBQも延期である。8時を過ぎると一旦人々が引けた。9時を過ぎてもまだ明るいこの時期、花火の時間まではしばらくかかりそうである。暗くなったら湖岸のあちこちで、個人的な花火が始まるに違いない。
派手な花火がなくても、夕暮れ時の風景はずっと見ていて飽きることがない。

空と湖は刻々と表情を変える
空は新しい色を次々と生み出し
再び同じ色に戻ることはない
湖はそれに従って自らの色を創造し
そしてある次の瞬間それらはともに
息をのむ美しさとなる

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Erikの横に4歳になる娘がぴったりくっついて座っている。
透き通るような白い肌がオレンジピンクに染まっている。
ああ彼女もこの美しい自然の色を見ることができたらなと思う。

彼女は生まれながらの盲目である。


日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。