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お江戸めぐり⑥

「タイ料理がたべたい」

妙にキッパリと姫がいい
タイ米をわっしわっしと頬張った
ふたり旅の出だし
食事のアタリはうれしい

アタリを引いたわたしたちは
機嫌よく次の場所へ馬車(地下鉄)を飛ばした
目指すは国立新美術館

はじめての六本木
はじめての国立新美術館
はじめてのマティス

建物フェチな姫と
曲線のガラスを見上げて興奮

ほんなら、出口でね

日曜日の閉館2時間前を目指して来たのは正解だった
ゆっくりじぶんのペースでマティスと会話

わたしがよく知るマティスは
晩年の作品だったんだな

ああなんだか
色紙を切り刻みたい

美術館を訪れると
創造力がむくむくと顔をだす
なんでもつくリ出せるような
気がしてしまう

わたしがすきなのは
この高揚感だ

静かに歩を進める
その場にいるひとの佇まいもすきだ
作品と
自らと
対話しているひとたちの
横顔と後ろ姿

マティス展を知ったのは
福岡空港を飛び立つ直前
思いつきで「会おう」と連絡したTちゃん(装幀作家)が教えてくれた

旅は
赴くのではなく導きだ

ほくほくした顔で
ほくほくした顔の姫を出口で拾う

気遣いがすぎる姫と
高慢で空気が読めない従者の旅

今回の旅のコンセプトは
「いやなことはしない」である

はじめてのふたり旅

特質もペースも抱える問題もちがう
互いに伝え合ってきたことも
いま実感する重みについては
本人にしか表現することはできない

したいことをするのではなく
したくないこと(望まないこと)は避けようと
ふたりで決めた

共にある安堵を大切にする旅

青く踊るマティスが
わたしたちをつれていく


暮れる美術館

#国立新美術館
#マティス展

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