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アスリートには"素材"がある——。『マイナースポーツの心得』

SNSを利用したスポーツのStorytellingや、アスリートのBrandingに関して、危機感をもって必要としているのは、日本でいうメジャースポーツの野球やサッカーではなく、それ以外のマイナースポーツであると言えると思います。

日本の場合、野球やサッカーなどのプロ選手は、自身のアスリートキャリアに対するStorytellingあるいはBrandingに対して「斜に構えている」印象がありますが、マイナースポーツを行うアスリートにとって、それは「アスリートキャリアの一部」であり、アスリートである自分を"守る"術であると言って良い。自分が競技で出した成績が、誰の目にも触れずに情報の川に流れていってしまうのは、自身の競技成績に対する裏切りであると言っていいと思います。

プロスポーツはON COURTだけでは決して完結しないゲームです。小説が誰かに読まれて初めて完成するように、"プロ"スポーツも誰かに見られて初めて完成します。



マイナースポーツの心得

これまで全く目もくれなかったのに、ソーシャルメディアでそれを目にしてから(少なくとも)興味が湧いた、という経験はスポーツに限らず現代社会に生きる私たちが日々経験していることだと思います。

1つマイナースポーツにおける好例を出しながら、そのクリエイティブやブランディングについて考察していきたいと思います。マイナースポーツ(本当はメジャースポーツもですが)の心得的なものがまとまると思います。


1.競技自体の画力

それぞれのスポーツには、ひとつ残らず、「必ず」、その競技にしかない「画力」のようなものがあると思います。インパクトやダイナミズムと言い換えてもいいです。あるいは(絵的な)「かっこよさ」や「美しさ」とも言えるでしょう。余計なことは考えずに、スポーツは、あらゆるクリエティブ表現を使ってここを武器にするべきです。

全スポーツには、すでにその「画力」が備わっています。

上に載せたやり投げ選手の映像ですが、後ろに山々が見える広大な競技場で、スローモーションとBGMをうまく利用し、やり投げのスケールの大きさと、その美しさを端的に伝えています。1投目はすぐに手元からやりが離れ、2投目は投げるプロセスをもう少し味わうように構成されています。投げた後のやりの放物線を目で追ってしまう。ほんの10秒の映像ですが、このスポーツの「画力」が詰まっています。


2.クリエイティブの質と美

次に、この1枚の写真ですが、まるで絵画のような雰囲気を纏っています。これがスポーツ自体の美しさであるとも言えるし、

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スポーツを題材としたクリエイティブやデザイン、ブランディングやキャンペーンなどの中から印象に残ったものを選択し、それらについて考察や感想を…

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