102名全員が社長さんの集まりの中で、銃爪を歌った夜
ついにこの日が来た。緊張が止まらない。
100名を超える大人の方たちの集まりに参加させて頂くことになった。
しかもただの100名ではない。全員社長である。
参加条件は、自分が社長であること。
私は会社を持っていないが、個人事業主ではあるので一応形としては代表となる。
集まりの趣旨は、お互いがお互いに助け合い、お仕事を循環させて経済を回し、皆が皆HAPPYになることだ。
A社長はB社長の飲食店へ行き、B社長はC社長の服屋さんで服を買い、C社長はA社長のゴルフ屋さんでクラブを買う。
その3人でホールを回る。そんな感じ。
「一馬くんの流しは絶対みんな喜ぶから、ぜひ参加したほうがいいよ!!ギター持っておいで。」
100名全員が社長の集まりなんて未知数すぎて話が大きすぎて、当日になっても脳も心も追いつかなかった。
だけど私を紹介してくれた方々がすごく熱くそう言ってくれたので、私は参加を決めた。
無駄にするわけにはいかない。手ぶらで帰るわけにはいかない。だからと言って慣れないことをすると逆効果になりかねない。
いつもの流しの衣装に少し大人びたジャケットを羽織った。スーツは着ない。
背筋を伸ばし気を引き締め、ついに会場へと到着した。
すごい人数だ。そして全員社長なのか。
心が揺れているのがわかった。
だけど力まない。焦らない。いつも通りだいつも通り。私は私。そのままでいい。
売り込まない。売り込もうとしない。昔何度も失敗をした。売り込んではいけない。
売り込むのではない。惹きつけるのだ。興味を持ってもらうのだ。押すのではなく、引くのだ。
徐かなること林の如く、動かざること山の如し。
最初は何も動じず、ただ静かに集まりの様子を見ていた。
全員へ自己紹介をさせて頂く機会があった。初めての参加者へと、特別に設けられた唯一PRできる場だ。
私以外にも何人かいた。与えられた時間は30秒。
「せっかくなので何か1曲歌いなよ!!そこでドカンとアピールしよう。」
紹介してくれた方がそう言ってくれた。
迷った。歌なんていいのか。誰もやっていないし。
誰もやってないからいいのである。そこに印象が生まれる。今まで読んだどの本にも書いてあったことだ。
やろう。やります。
せっかくギターを持ってきたし、ここでやらなければもう二度とチャンスは来ないかもしれない。
私の名前は後でいい。顔も後でいい。「流し」をやってる長髪がいる。それだけでも覚えてもらえたらいい。
私の出番が来た。
100名の方々が注目する大きな会場の中で、私はマイクを使わず生演奏で「銃爪(世良公則&ツイスト)」を歌った。
とんでもなく盛り上がった。さらに手拍子を頂けた。
30秒なんてとっくに忘れてしまっていた。何なら1分を超えたかもしれない。1番を全部歌ったからである。
ものすごい拍手だった。確かな手応えがそこにあった。
「めっちゃよかったよ!!一馬くんらしさが全面に出てた。」
本当に嬉しかった。今でもあの時を思い出せば、興奮がよみがえってくる。
二次会に参加した。
皆さん私のことを覚えてくれていて、たくさん話しかけてもらい、何なら二次会でも歌った。
そっから勢いで三次会にも行き、家に着いたのが夜中の2時。
すごい世界を見た。本当に行ってよかった。
本気の言葉をたくさん頂いたし、全員が全員、自分の仕事に誇りを持っていて今を生きている姿が本当にカッコいいと思った。
私もそうなりたいと思った。そんな大人になりたいと本気で思った。
つい数時間前の話だが、一人の社長さんから早速明日お店に歌いに来ないかとご連絡を頂いた。
すごい、行動が早すぎる。スケジュールを調整し、明日は新しいお店へ行くことに。
他にも飲食店を経営されてる社長さんが何人もいて、皆さんいつでも歌いにおいでと言ってもらえた。
感謝しかない。
一番は何より、この場を紹介してくれた方々です。本当にありがとうございました。
ここからスタートだ。今から始まる。めちゃめちゃ楽しくなってきた。
立ち止まっている暇はない。私には夢があるのだ。
これからもぶっ飛ばします。良かったらぜひ!