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【今日のコバコ】ザ・クルー 第9惑星の探索
2020年のKdJに輝いたトリックテイキングです。これが賞を取らなくて何が取る、というくらいのゲームです。
これのどこがえらいって、変わったことはなにもしてないのにプレイ感が新しい、一番はそこに尽きます。普通のマストフォロー、普通の切り札あり、カードの特殊効果とかもない。タスクカードと通信チップという2つのギミックだけで、協力ゲームとしてちょうどいい塩梅にしてしまった。それがすごいと思います。同人でも十分に実現可能な内容で、コンポーネントやギミックに頼らずシステムだけでメイン部分の面白さを作ってしまったというのは、考えてみると悔しくもあるんですけど、まだやれるんだなと思わせてくれます。
この感じに似ているのは常時さんの『Cat in the Box』で、あれも非常にオーソドックスなシステムでいながらデッキ構成と中央ボードのおかげで抜群に面白くて、遊んだとき「やられた!」と思いました。
(余談ですが、日本では『トランプクルー』というのを考えたえらい人もいまして、オーヘルを協力型にしたものです。これも非常に面白い。私はどちらも大好きで、似て非なる魅力があると思います。こちらの本家クルーも代えがたい面白さがあります)
ところで、ルール自体はオーソドックスなトリテの本流そのものである『ザ・クルー』なんですが、トリテ初心者・初級者に勧められるものでもないのが、難しいところです。
一番きついのは、カードプレイを全員で追っていくから当たり前ですが、いわゆる戦犯が露骨に見えちゃうんですね。成功したときは要因が微妙に分かりにくいけど、大失敗は一瞬で明らかになる。手札の内訳を喋れないからプレイ前の奉行は起きない代わりに、失敗したときに相手を詰めることは普通に起きてしまう。ですから基本、これはファミリーゲームと考えておくのがいいです。
あと、多少はプレイングのお約束も知ってないとなかなか解けない。オークションの情報伝達は通信トークンが代わりになるのでハードルはだいぶ低いんですが(真ん中に置けばシングルトン、は特にいい工夫だと思うんです)、どのタイミングで通信を出すか、ボイドにしたらどうなるか、自分の手札がエスタブリッシュしたらどう動くか、みたいなことはぱっと計算できないと、やっぱりつらいゲームになるよな、と思います。そうした定石を教えるゲームではなく、ボイドやエスタブリッシュは知ったうえでゲームに臨むことが想定されていると思います。だからKdJなのであって、たとえば『イスタンブール』とはちょっと意味合いが違う。
これは中級へのステップアップに良い、というのが私の感想です。初級者として2つ3つトリテ慣れしたら2時間くらいのんびり回してみるとよいです。一度わかってくると、この上なくハマるゲームです。大好き。書いてると遊びたくなる。4人がちょうどいいですが、慣れてない人には少し簡単な3人がむしろ適していると思います。5人は……地獄だ(笑)。
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