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【今日のコバコ】マメィ

ひさしぶりに書きますが、あいかわらず好きな小箱を淡々と紹介していきます。やざわさんという日本有数の優れたボードゲームデザイナーの作品です。決して家がご近所だから持ち上げてるわけじゃありません(台無し)(三軒隣というほどではない)

ゲーム自体は、豆カードを場に3つある畑の1つから収穫して、手札に集めてセットにして得点化するっていうオーソドックスなもので、見所はまず畑に豆をまいて収穫するときの仕組みです。ウィンストンドラフトっていう用語を私はこのゲームで初めて聞いたんですけど、豆まいた後にまず畑1を見ます。ほしかったらそれを全部穫る。要らなければ戻して畑2を見て、以下同様。需要のない畑にはカードが増えていくので収穫のモチベが上がるし、ほしい畑でストップすると後ろの畑が見られないジレンマもあって、この仕組みをあえて地味なセットコレクションと組み合わせることで、カードドラフトにフォーカスさせるシステム上の配慮が上手いと思います。緩急の組み立てに気を配っている、みたいな感じ。

セットコレクションも地味とは言いつつも一工夫あって、市場のボードがあるんです。ボードの表の縦軸がセットの種類、横軸がカード枚数で、そこに自分のコマを早いもの勝ちで置くことで点数が入ります。だから同じ組合せで何度もは得点できないし、相手に得点された組合せは手札にあっても使えなくなる。ただのセットコレクションでもボード上での早取りを導入することでプレイの立体感が生まれて、相手の手札枚数とかも見るようになります。小箱でこの目配りは独自性が高い。

アートとグラフィックは井上磨さんの力作で、可愛いし雰囲気があります。ハーフサイズカードのウラ面も華やかで、見栄えと透け防止を両立させている。あと記事を書くにあたってボードの色覚対応がふと気になってチェックしてみたら、完璧でした。コマの色も当然色覚対応しています。細かい点が丁寧なので全体のプレイアビリティも良いです。

初見でのカードの視認性だけが唯一気になるところで、カード肩の数字がウェイト太めのポップな書体で可愛いのですが、初回プレイだとこれを1~5の数字だと認識するのに慣れが必要な印象です(慣れたら気になりません)。豆のアイコンも、カードイラストが華やかなだけに、若干混ざって見えるときがあります。ただこれは特に同人では、アートとUIのどっちにどの程度振るかの裁量の問題でもあって、そこを(商業よりもすこし自由に)可愛さ、ポップさの方向に振ることは、個人的には決して悪いことじゃないと思っていますし、これはゲームの個性でもあります。

4人と2人で遊びましたが、私は窮屈にならない2人戦のほうが好きです。カードやボードのサイズの関係もありますが、ラミーのメカニクスはそもそも少人数向きな気がするんですね。デッキ枚数を少なめに絞っているのでゲームバランスはややキツめです。中盤から後半に入るあたりでほんの一瞬ゲームが緩んでしまう気配があるものの、最終得点計算まで勝敗は読みきれないので終わったあとはとても楽しいし、なによりプレイ感がとても新鮮です。

ちなみに、やざわさんの作品ってだいたい豆推しな印象なんですけど、だいぶ前にゲーム会のあとで飲みに行ったときも枝豆ばっかりバリボリ食ってたわけじゃないんですよね。なんで豆なのか今度聞いときます。

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