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【今日のコバコ】考古学カードゲーム

Phil Walker-Harding(フィル・ウォーカー=ハーディング。フィル・ハーディングとも)『Archaeology: The Card Game(考古学カードゲーム)』。オーストラリアのデザイナーで、『スシゴー!』『イムホテプ』『クマ牧場』などなど、良作がたくさんあります。作風をひとことで言うと、手堅いゲーム作りをする人です。

こちらはそんなハーディングの初期作で、自分の見聞きする範囲ではわりと不当に低い評価を受けているんですが、面白いんですよこれ。いい小箱なんです。でも、なんで評価低いのかは分かるんです、なんとなく。私見ですが、大きな理由は2つあります。

(1) 本作は2人ベストです。対応人数がもともと2~4人だったのが、新版で2~5人になりました。そんなん普通4人ベストだと思うじゃないですか? 2人ベストです。同じこと2回言ったよーテストに出ますよー。

簡単に言うとこのゲームは「坊主めくりセットコレクション」で、手番の最初に1枚山札から引いて、あとは手札を場札と交換するか、手札の発掘品を品ごとに所定のレートで得点化するか、好きなように選べます。それだけのゲームです。

そんな単調さを一気にゲームにしてるのが「盗賊」「砂嵐」カードの存在で、「盗賊」はまあわかりますよね、相手の手札から1枚引きます。「砂嵐」は自分含む全員の手札を半分に減らします。沢山持ってると砂嵐のダメージがでかいんです。だからこそ交換を早めに行うか粘って突っ張るか、という選択に悩むことができます。

で、3~5人で遊ぶと砂嵐の枚数が減るんですよ。2人だと6枚なのに4人だと4枚。4人戦だと手番が減ってカード枚数も減るからこれは分かるんですが、プレイ感がどうしても単調になります。飛ばないから。あとシステム上単純に待ち時間も長くなるし、あまり4~5人に適したゲームではないと思ってます。2人戦の6枚って結構怖いし、シャッフル事故も減ります。

(2) 新版のバランス調整がムダに丸い。まず2人戦の盗賊が4枚に減りました。いかんですよ! 旧版で8枚もあって盗賊だらけの発掘現場だからこそ、理不尽なババ抜きが楽しいんじゃないですか! こういうゲームでバランスなんか取ってもしょうがないんですよ。これだから最近のユーロは!!

より重要なポイントとして、新版には「テント」などという甘えカードがつきました。砂嵐が来たときに一度だけ防御してくれます。いらん! こんなもんはいらん!! 砂嵐がガード不可能なリスクだからこそ低めで売るかどうかに真剣に悩めるんじゃないか、プレイヤーのお気持ちに配慮して余計なガードをつけるんじゃない!!!!!!!!!!!!!!!11

そのほかにも発掘品の枚数やレートに微妙な調整があったりしますが、新版でも
(A) 2人で遊ぶ
(B) 盗賊は人数にかかわらず8枚にする
(C) テントを使わない
(D) 遺跡タイルはピラミッドで、配分は3-5-7枚に変更する
これで、旧版と遊び方はほぼ同じになります。細かいレートの数値は見てないから厳密には違うかもだけど、バランスを細かく云々するゲームではないと思うので許して。

ゲームの作りが若干古いのは事実で、引き運も強めなんですけど、2人で遊ぶと欠点が少なく感じられて、荒っぽい遊び心地が長所に変わります。だから、言うほど悪いゲームじゃないと思うんです。自分はこれ大好きだし、微妙にチープな雰囲気がいい味出してるので、よかったら遊んでみてください。

ちなみにタイトルの『カードゲーム』の文言から察せられるとおり、元となったボードゲーム版の『Archaeology(考古学)』というのもあるらしいですが、今まで見たことがありません。たぶん日本で持ってる人ほとんどいないと思う。

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