見出し画像

初めてのジャズそしてBLUE NOTE TOKYO 終わって

15歳の時、仙台にて高校生でタップを始めた僕は漠然とジャズという音楽にも興味を持ったのですが何を聴いたら良いかもわからず、学校帰りに近所にあった『JAZZ AND NOW』という今はないジャズ喫茶に背伸びをして制服を着たまま行ってみました。このお店は後々に知る人ぞ知るフリージャズの名店だったと大人になって知ったのですが、店内では爆音でフリージャズの音楽がガンガンに流れていました。
高校生の僕にはイメージしていたジャズの雰囲気とは違ったのですが、お店のおばさんがとても優しくて、次々と違うフリージャズの演奏を爆音で聞かせてくれて笑 何かはわからないけども、コーヒーを飲みながら興味深くそのスピーカーから流れる獣の鳴き声のような爆音に静かに耳を傾けていました笑 

そのうちにおばさんと仲良くなり、僕はジャズをあまり聴いたことがないので、初めて聴く僕におすすめのアルバムを一枚教えて欲しいとお願いしました。その時、買って帰った初めてのジャズの一枚がErroll GarnerというピアニストのConcert By The Seaというアルバムです。
今でもたまに聴くのですが、このアルバムはすごく聴きやすくて、美しいアルバムです。
それからしばらくして、店が移転になるということで、おばさんが店に飾っていた絵を僕にくれました。先日、ちょうどBluenoteに出演する前日にそれがたまたま実家の引き出しから出てきて、なんだかすごく嬉しい気持ちになりました。あの時、背伸びして仙台で制服着たままお店でじっくり聴いた音が流れてくるようなそんな気持ちになったのです。

時が流れて、僕はタップダンサーとなり様々な国内外のジャズミュージシャンと共演する機会を得ることができたことを不思議に思いました。あの時の強烈な原体験というのは、今も自分の中に生きているような気がします。

BLUENOTEは上原ひろみちゃんとのDUOで初めて出てから10年以上もう経ちますが、今回のBLUENOTEでは自分も入れたクインテットという編成に、ボーカルゲストで中村佳穂さんに参加していただきました。昔からの友人のベーシストの岩見継吾君とは昔からの付き合いで、20数年前にはよく渋谷のトンネルの下でストリートをやっていた仲です。
一曲目はEnlightenmentという自分がNYで創った7拍子のオリジナル曲でしたが、みんなで音を出せることが本当に嬉しかったです。佳穂ちゃんはどこまでも自由で、それでいて歌のグルーヴ感と、そこにこもっている感情がとても豊かに感じます。昨年の自分の公演にも出ていただき、その後に北海道の阿寒でも奇跡のようなアイヌの方々とのセッションでもご一緒しました。本当に素晴らしいアーティストです。

いつもBLUENOTEでの時間はスタッフの皆さんのホスピタリティも細やかでとても幸せに感じます。
ここにJAZZ&NOWのおばさんも来てくれたらきっと喜んでくれただろうなとふと思いました。あの時の僕にジャズの音楽への愛情を教えてくれたことに感謝しています。JAZZとTAPというルーツを共にする文化がこれからも絶えずに続いていくように願っています。

おばさんが閉店する時にくれた絵


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?