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YOU ARE THE ARTiST

今日でKAZ TAP STUDIOでのレッスンが一区切りしました。
昨日はJames Brownの音楽を使ってとにかく自分を解放すること、そしてFUNKという音楽の背景の話などをしました。(これについてはまたゆっくり書こうと思います)。

この数ヶ月、じっくり仙台に腰を落ち着けてスタジオでレッスンすることができて皆さんの変化も感じることができて自分にとっても良い時間になりました。レッスンにおいて大事なことは、僕自身もそこで学びを得て、それを響き合わせていくことだと思います。
コロナになってオンラインの機会も増えましたが、やはり同じ空間を共有するなかでいかにコミュニケーションをとって響き合っていくか。そこでは心を開き、ポジティブであることがまずはとても大切なことだと感じます。

時にタップダンスを踊ること(タップに限らず何か習得すること)はとても困難と感じて続かなかったり嫌になってしまうことも多いと思います。それで辞めていってしまった人達がどれだけいるでしょうか。
ある時、一人の生徒が『レッスンのあと、出来なすぎてぜんぜん眠れなかった。』と言いました。
確かにタップダンスは、それに命をかけて先人たちが繋いでくれた文化で、タップシューズを履いた瞬間にその文化の中へと足を踏み入れていくことだと思います。僕も教えるにあたっては本気で想いを伝えたいと思っています。
しかしながら、タップを通して、音を通して自分自身を表現していくということは、本来誰もが自分の声を発生するくらい自然にみんなができることだと思うのです。本来最高に楽しくて気持ちいいはずのタップを踊っていて苦しいと感じてしまうことには、考え方の段階で複雑になってしまっている何かがあるのだと思い、それを紐解きたいとおもいました。

今日のレッスンでは、まず自分の音をじっくり『聴くこと』からはじめました。レッスンのなかで、何人かで一緒に難しいステップを踏んでいたら自分の音を聴く余裕なんかないのです。(ただでさえストレスフルな世の中ですから)
まずはスペース(静寂)があるから音が聞こえる。(心のスペースもしかり)そこには自分だけにしか聴こえない音もあります。実際に生徒の皆さんにはヘッドホンでマイクを通したタップの音を聴いてもらいました。自分の音だけに耳を傾けてステップを踏むと驚くほどにリズムが変わっていきます。
みんなでメトロノームでタイムを外さずにタップを踏む練習がありますが、実は本当に聴かなくてはいけないのは自分の音が先のような気がします。音の強弱にも繊細になります。音が大きく出せれば良いわけではなく、小さな音があるからこそそこにダイナミクスが生まれてきます。そして音数がたくさんあれば良いわけではなく、自分の呼吸を感じるようにスペースを感じることでリズムが生まれてきます。
通常レッスンではお手本があり、それをコピーすることで記憶できれば良しとされてしまいます。(学校での授業のように)しかし、それでは本当の自分の声、自分の歌い方に出会うことはずっとできず『できない』という思いだけが残ってしまうのです。本来持っていた足を踏みならしていた喜びもいつのまにか消えていってしまいます。
僕たちがレッスンにおいてできることは、ただ手法を渡すことではなく(自分のように踊れるようになんてもっての他で)その人たちそれぞれが持っている『声』や『表現』することの喜びを共有することではないでしょうか。

僕は幸運にも、偉大なるマスター達と同じ空間を共有する機会がありました。バスターブラウン、ハロルドクローマー、ジミースライド、テッドリービー、グレゴリーハインズ。グレゴリーハインズとはFAZIL`Sというダンススタジオで何度か一緒に練習する(!!)機会がありました。一度は二人だけで、2時間くらいぶっ通しで踊り続けたことがあります。タップで会話していくなかで僕が受け取ったメッセージは本質的には共通しています。
自分だけの『声』や歌い方を大事にすることということです。

それは即興的表現であり、ジャズ同様のアドリブから生まれます。そしていつでも、自分を恐れず表現することを励まし続けてくれたのです。そしてそれは今でもずっと自分が探し続けていることなのです。

タップダンスに限らず、何かを自分のものにして表現していくことは、もちろん簡単ではなく、一生をかけて何かを見つけていくプロセスだと思うのです。でも、そのプロセスの中で『今』という瞬間はいつだって楽しむことができるし、自分の内なる声を表現することができる。何かに本気で向き合って、自分に向き合って学んでいく人達全てがアーティストなのだと思います。機械ではない、人間だからこそできる自分の感情を表し、時にはクレイジーに思い切って何かの形で表現していくこと。こんな大変な世の中だからこそ、踊るときくらい自分を解放して一生懸命に楽しんでいきましょう。
上手い下手なんてことは関係なくそれはとても素敵な生き方だと心からおもうのです。

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