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ニューヨーク1周5時間の観光バス


けっきょく乗れなかったバス、行けなかった旅行の話だ。
目覚めた瞬間には思い出せなかったのに、しばらくしたらだんだん思い出してきた。こういうことは、めずらしい。

場面は支離滅裂に複数映像が残っている。

・高校の海の寮みたいな木造の建物。昭和時代の小学校の校舎みたいな茶色の木材でできている。5階建てぐらいで、私達(臨海学校コーチの仲間たちがいた)は3階か4階にいる。5階には家族連れがいる。

・外の道路。かなり広範囲に自動車かバスで移動していたようだが、何のためか不明。早く戻らないと、ニューヨーク周遊バスに乗り遅れる、ということはわかっていて、少しあせっていたが、そもそもそのバスが何時に出発するのか知らない。午後出て夜もどることになっていたようだが。
 行って帰るのに5時間ぐらいかかる、というのだが、いた場所は日本のはずだった。でも行き先はニューヨーク、ってことになっている。

・その日に私は自宅へもどることになっていた。その予定を変更してニューヨーク周遊観光へ行く人達に加わる決断をしていた。スケジュールを確かめると、予定を延ばしても影響ない。帰宅日が1日遅れると、休むヒマなく翌日予定が入っているが、なんとかなる、と考えている。

・外出先からバス(…と思っていたらトラックだ!)で途中まで戻ったところで降ろされる。コンテナみたいな金属製の荷台から降りようとするが、扉が30度ぐらいしか開いていなくて、その隙間からやっとのことで出る。運転手が荷台の扉を閉めようとしたとき、中にぬいぐるみがあるのに気づく。「待って」と叫んでぬいぐるみを引っ張り出す。誰のものかわからないが、やせてちっぽけでかわいそうだった。あわやのところで取り残されそうだったのを救出できてホッとする。

・途中、同行者の女性ふたりと、道路脇に設置されたテーブルで、食事を始める。すでに用意されていたようで、ケータリングかもしれないが、大きなボウルに氷と何か食べ物が入っており、それを自分で取って食べる方式だ。色のうすいソースが別のプラスチック容器に入っている。
「これすっぱいね」と、同行者が言う。東南アジアの食べ物のように思えた。不味くはない。

・そこから寮に戻るはずなのだが…、いつのまにか同行者の女性が運転する乗用車に乗っている。
 両脇が植木で、カーブしている細い道へと車で入っていく。前方が見えない。すれちがえない幅なので、車がくると困る。
 安全確保のためしばらく停止して様子をうかがっていると、突然、カーブしている先までくっきりと見える。(特殊なミラーでも使ったのか、と思うがわからない。)前方に車は来ていない。
 今だ! と動き始めたとのとき。道の終わりあたりからクリーム色の小型バンがこちらに向かって小道に入ってくるのが見えた。このままでは互いにすれちがえないため立ち往生になりそうだ。相手は気づくか……と心配していると、すぐに左側の農家のような家の庭へと入っていった。私達の車はそのまま進む。するとバンはUターンしてまた小道に出てこようとする。邪魔じゃないか、とムッとする。

・なんとか寮に戻れた。3階も2階も1階も、大掃除中の学校の校舎みたいに雑然としている。しかも暗い。私はとても眠い。同行するはずの二人の姿がない。置いてきぼりにされたのかとあせる。
 探しているうちに5階に紛れ込むと、家族連れの幼稚園くらいの女の子たちがテーブルに色とりどりのプラスチックのおもちゃをならべて遊んでいる。まちがえたのですぐに3階に降りる。
 のどが渇いた…と思っていると、透明のプラスチック(3センチくらい)の容器に入った飲料水がみつかったのでそれを1個とる。セロファンのようなふたを1センチくらい空けて飲もうとしたところ、口に何か入ったような違和感を感じる。見ると、その容器の蓋には短い毛が何本も張り付いている。きもちわるい。誰の毛かわからないし、どうしてそんなに毛が付着したのか。飲む気がしなくなるが、喉が乾いているのでなんとか毛を取り除こうと、服でこすったり手でこすったりする。

・そういえば、ニューヨークへ行くんじゃなかったのか。もう午後だし、戻ってくるのが夜中になってしまうんじゃないか。それでもいいのか。明日ゆっくり起きて、そして私はバスで自宅に帰ればいいか。
 東京方面まで行くバスの時刻表について、後輩に尋ねると、何本もあるから大丈夫そうだ。
 それにしても、ニューヨークへ行くバスは予約もまだしていないようだし、本当に行けるんだろうか。建物の整理のような作業をするため、きたないTシャツ・短パンみたいな格好だ。着替えないと。旅行に行くような服はもっていただろうか。ほんとうに、予定を変更してこんな遅い時間にニューヨークなんか行ってて大丈夫なのか……

よくわからないまま終わる。


 

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