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臨月になると、動くのがおっくうになる。しかも冬。家に籠もることが多かった。 その日もひとりで絵を描いていた。紙の上で鉛筆を動かしていると、いつのまにか現れたのは、赤ちゃんの顔だった。夢によく出てくる男の子に似ている。 夜、夫にその絵を見せた。いつもは冗談を言って笑わせてくれるのに、ひとめ見て黙り、それからすこし引きつった顔で言った。 「これ、似てるよ。あの子に」 その二年前、私と夫の最初の子どもは、生まれる前に死んだ。九ヶ月に入ったころだ。 さらにその数ヶ