かわいいって言われたい

昔から女の武器を最大限に活用している女の子が好きだった。それに自分もそうなりたいと思っていた。

らんま1/2やセーラームーンなどのアニメを幼少期は見ていたのだけど、一番好きなキャラはシャンプーや美奈子ちゃんだった。

みんなから可愛いと言われる、誰しもが認める美貌を持つ存在。そしてそれに価値があると分かっている彼女たちがとっても魅力的だった。

らんま1/2のヒロインのあかねは、勝ち気でちょっと男勝りだけど、たまに見せる女らしさが魅力だった。ただ、そういうキャラだから、らんまとはいっぱいケンカしてたし、らんまに「かわいくねーな」みたいなことたくさん言われていたと思う。(アニメの中では照れ隠しみたいな使い方もたくさんあったけど)
シャンプーはらんまに振り向いてもらえない、アニメの中だと当て馬的なキャラクターだけど、らんま以外の男たちからはかわいいかわいいと常にちやほやされていた。

私は「かわいくない」とか冗談でも言われるヒロインより、当て馬でもいいから皆からかわいいって絶賛される方がよかった。

誰もが可愛いと思う見た目、表情、服装、仕草で、みんなの心を奪いたい。
虜になって、私に強くものを言える人が現れないくらいに、完全な”かわいい”になりたい。
相手を下げた物言いをして笑いを取る人たちがいるけど、そんなくだらない笑いのネタにならないくらいに完璧に”かわいく”なりたい。

かわいい女を武器にしたい。
スポーツや勉強、音楽や芸術、特別何かがで秀でてできる訳じゃないけど、
”かわいい”は私でも努力すれば武器にできると思った。

私の”かわいい”の基準は他人にある。自分だけがかわいいって思っていても意味がない。周りにかわいいと認められることが大事。
特に私は男の子にかわいいって言って褒めてほしかった。同性よりも異性からのかわいいの方が価値のあるものに感じていた。
実際恋愛するようになって、男性からのかわいいはすごく心も身体もを満たしてくれることに気づいた。
自分の存在肯定だと思う。私のことかわいいって言って、価値を見出してくれる人がいるっていうことがすごく安心感に繋がった。

昔からそういう考えだったから、小学校の頃は特に女の子たちに嫌われてしまった。小学生女子って、私の時代はかもしれないけど、男に媚びないのが主流だったから。媚びてると、男好き、ぶりっ子って言われた。しょうがないじゃん、男の子にちやほやされてかわいいって言われたいんだから。
歳を重ねるごとにかわいいっていってもらえる容姿とか、話し方とか、甘え方とかだんだん分かってくるようになった。
そのためには顔や体の手入れだってかかさないし、もっと好かれる話し方や仕草も研究した。女の子の前でも嫌われない程度のかわいさっていうのも少しずつ分かってきたようにも思う。

今まで男の人に好きって言ってもらえることもあった。遊び感覚のヒトもたくさんいたと思うけど、その時かわいいって言ってくれるなら私はそれでよかった。
私にとって前向きな恋愛は、相手がすごくかわいいって私のことを溺愛してくれて、それに応えられるように私ももっとかわいくなろうと頑張れるもの。
相手からのかわいいがなくなってくると、どうしてかわいいと言ってくれないの、私よりかわいい人でもいるのと相手をなじって、かわいくない自分が出てくる。そうなると私の恋愛はいつも終わってしまう。つまりは愛されたがりなんだな。自分は愛を返せてたかな、と冷静な時は思うけど、相手がいるとヒートアップしちゃってだめなんだこれが。

先にも書いたけど、私にとって一番嫌な言葉は、「かわいくないな」
本当に心が抉れるように感じる。
どうしてわざわざそんなことを言う必要があるのか、って思う。
だから女の子の容姿を馬鹿にして笑いを取るような人はとても嫌い。どんなに喧嘩をしていてもかわいくないは言ってほしくない。

良い歳して馬鹿みたいだって思われるだろうけど、かわいいに全振りして生きている。
ちやほやされてお姫様気分を全力で味わいたい。
かわいいって褒めてるだけでいいんだから、男側からしたら、単純でちょろい女なのかもしれないけれど、
そこに本当の愛はないのかもしれないけれど、
甘美な言葉で私を満たしてくれればそれでいい。

誰からもかわいいって言われなくなった時、それは私が死ぬ時。

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