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~Hands of Time~

今回の個展『Hands of Time』を振り返って。

まず初めに、ゴールデンウィークの貴重な時間を使ってきてくださった方々、たくさん写真を撮って帰り、SNSなどで紹介してくれた方々、Tシャツ含め僕の作品をご購入してくださった方々、お祝いの品を送ってくださった落合さん、西川さん、善方さん、イベントのために協力してくださった須田さんと芦田さん、そして何より、大切なお店で共に個展を開いてくださった三宅さん、

本当にありがとうございました。

自分が思っていた以上に、意味のあり、楽しい良い個展になりました。

今回は日本最後ということでかなり力を入れました。その思いのたけを三宅さんと話し、忙しいゴールデンウィークの営業にもかかわらずcheri全面協力の下で、一緒にやろうと言ってくれました。

僕は6歳から書道をやってきて、今までの展示のほとんどは和歌山の高野山だったりとか、新聞社だったりなど、なかなか知ってる人に見られる、ということはありませんでした。今考えると、僕自身自分の作品だけでやる、ということに納得できるだけの表現力を持ってなかったのかもしれません。

しかし、いろいろな所に住み、いろいろな分野の人と出会い、いろいろな世界を知る中で、僕の書いたものを欲しいという人が出てきて、それを使ってデザインしてほしいという人も出てきて,『道』として、書が僕の中で生まれました。

今回の作品の中で、様々な感想を聞いて、一番面白かったのは『令和』です。同じ筆、同じ墨、同じ紙に、僕の書ける全書体で書く。同じ文字を見ているのに皆それぞれ思っていることも違えば、気に入った書体も違う。新しい時代のイメージや希望だったりとかは、それぞれの今までの経験や人生から変わってくるんだな、ということをとても強く実感しました。令和ポーズは皆やってみたかったみたいで、多くの人がやって帰りましたw


そして今回の新しい感覚は、人と一緒に物を作る、という感覚でした。三宅さんと何度も打ち合わせ、昨日作った作品は、今日には別のものに変わっている、その流動性は僕にとってはとても新鮮でした。様々なことについて話しながら、いろんな世界をイメージしてお互いを確認し合い、作品を作る。手で考えて、頭でしゃべる、それが僕らの製作スタイル。職人としての手は、同じものを持っているということをとても強く感じました。それと同時に、心の奥底にある、普段人には言いづらい思いも本音であり、その考えが理解し合える関係、またそれを確認する具体的な時間が必要ということを、三宅さんと二人で強く感じました。


文字は人を表す。

僕にとっての書へのイメージは変わらずこれです。

僕が文字を書く時、今からこれの持ち主になる人を考えるとき、僕の中での最大限のその人のイメージを書に表現します。人が文字を見て何かを思うとき、何かしらのタイミングで文字が頭に浮かぶとき、それはフォントとしての文字ではなく、一番強い印象でその文字を見たときの絵がレイアウトとして浮かびます。

僕はいつも、その人のそれが自分の書いたものになればいいなという思いで書いています。

部屋に置くとかっこいいから、その文字に惚れたから、全体図がかっこいいから、買ってくださった方の中には様々な思いがあると思います。しかし、理由はどうあれ、僕はその人にその作品でそれが訴えかけることができ、その人にとってのイメージが僕の作品になってくれたらうれしいです。

地方から来てくれた人、海外からわざわざ来てくれた人、いろんな友達を連れて毎日のように来てくれた人、本当にいろいろな人が来てくれました。文字を見て、文字への思いを聞く話すことで心の奥にある熱い思いを抑えきれなくなり涙を流す人もいました。言葉のない思いというものは形容できず、逆に文字にできる思いというのは、視覚からでも突き刺さります。個展が終わっても、あの時は買わなかったが、自分のずっと大切にしている文字があるからそれを書いてほしいという人が何人もいます。皆それぞれ言葉を大切にしていることを、とても強く感じさせられました。もしあればいつでもかきますよ!

一つの空間でミュージシャンの生演奏を聴いて、皆で持ち寄ったものを食べ、芸術鑑賞をする

これができる間は幸せな証拠ですよね


僕はこれから7年、日本を離れ、EUで医学を学びます。今とは全く違った生活、今とは全く異なる文化、その中で見えるものは何か、その中に身を置くことで日本はどう見えるか、

こういった意識の中で生きてみたいと思います。

人は自分に余裕がないとき、他人のことを考えれない。人のことを考えて誰かといるためにも、どんなにきつくても自分のことぐらい一人のうちにこなしておく。それでもって、何事もなかったかのような顔をして人前じゃ余裕な顔して過ごす。

僕のモットーです。

時にこれのせいで、すぐに何でもできる天才肌、こいつだから人とは違うから、嘘なんじゃないか詐欺なんじゃないか、と離れていく人もいます。離れたところから否定してくる人もたくさんいます。

でもたぶん僕はこれからもこの生き方でしか生きていけないと思います。信じてくれる人だけを信じ、自分のことを嫌いな人の人数なんか数えない。

愛してくれる人だけの人数を再確認するいい機会としてもこの個展はやってよかったと思ってます。

長くなりましたがこの機会にこれからの異国での生活への思いも書きました。

日本での最後のnoteです。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。


   2019.5.7                光井 一輝

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