IBM調査:AI倫理の責任は、IT部門からより経営幹部層全般に移行 (2022/6/8、ニュースリリース)

※米国IBMからニュースリリースが来ました!

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IBM調査:AI倫理の責任は、IT部門からより経営幹部層全般に移行
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・2018年の15%に対し、今回の回答者の80%が、非技術部門の幹部もAI倫理の主要提唱者との見解
・調査対象のCEOの79%が、AI倫理に向けた準備を進めているが、実際に行動している組織は4分の1未満
・68%の企業が、AIの先入観(バイアス)を軽減するために多様性が重要であることを認識している一方で、自社のAIチームにおける女性の割合が他部門と比較し5.5倍、LGBTなどの割合が4倍、人種的な割合が1.7倍低いと回答

IBMは、AI倫理に関する調査レポート「AI倫理の実践 – 信頼できるAI実現へ、全社的取り組みを」 <https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/ai-ethics-in-action> の日本語版を発表しました。本調査レポートは、IBMのシンクタンクであるIBM Institute for Business Value (IBV)がオックスフォード・エコノミクス社の協力のもと、2021年の5月から7月までを調査期間とし、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ、アジアを含む22カ国を拠点とする組織の1,200人の経営層と、22以上の業種にわたる、事業・技術部門の16役職に対して、経営者がAI倫理の重要性についてどのように考え、また組織がそれをどのように運用しているか、調査を実施したものです。

本調査の全内容は、「AI 倫理の実践:信頼できるAI実現へ全社的取り組みを(日本語PDF)」 <https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/ai-ethics-in-action> でご覧いただけます。

今回の調査結果では、組織におけるAI倫理の指導と維持に責任を持つ役割の根本的な変化が明らかになりました。 回答者の80%がAI倫理について責任を負うべき主な職務を問われた際、CEOなどの非技術部門のリーダーをAI倫理の責任者、推進者として挙げ、2018年時の15%から急上昇した結果となりました。また、世界規模の調査では、サステナビリティー、社会的責任、ダイバーシティーとインクルージョンの面で同業他社と比較して優れたパフォーマンスを発揮するなど、信頼できるAIを推進することが強く求められているにもかかわらず、リーダーの意図と有意義な行動の間にギャップがあることも浮き彫りになりました。その結果、以下のことが明らかになりました。

管理職がAI倫理の推進役として認識
•CEO (28%)、取締役会(10%)、法律顧問(10%)、プライバシー担当役員(8%)、リスクおよびコンプライアンス担当役員(6%)は、AI倫理に最も責任があると見られていることが、調査対象者によって示唆
•回答者の66%は、組織の倫理戦略に強い影響力を持つ者として、CEOやその他の役員を挙げるほか、半数以上が取締役会の指示(58%)と株主コミュニティー(53%)も列挙

信頼できるAIの構築は戦略的差別化要因として認識され、組織はAI倫理メカニズムを導入開始
•調査対象のビジネスリーダーの4分の3以上が、AI倫理が組織にとって重要であることに同意しており、2018年時の約50%から上昇
•同時に75%の回答者が倫理を競争上の差別化要因になると考え、67%以上の回答者がAIならびにAI倫理を重要視していることから、サステナビリティー、社会的責任、ダイバーシティーとインクルージョンの面で他社をしのぐであろうと回答
•多くの企業が前進し始め、実際に回答者の半数以上がAI倫理をビジネス倫理への既存のアプローチに組み込むための対策を講じたと回答
•回答者の45%以上がAIプロジェクトのリスク・アセスメント・フレームワークや監査/レビュー・プロセスなどAIに特化した倫理メカニズムを作成したと回答

AIソリューションに倫理原則を担保し組み込むことは組織にとって急務だが、進捗状況に遅れ
•より多くの調査対象のCEO(79%)が、2018 年の20%からAIの実践にAI倫理に取り組む準備を整え、また、回答した組織の半数以上がAI倫理に関する共通原則を公に支持
•ところが回答した組織の4分の1未満しかAI倫理を運用可能にしておらず、さらに自社の慣行や行動が既定された原則や価値観と一致する(あるいは上回る)ことに強く同意した回答者はわずか20%未満
•調査対象となった組織の68%は、AIにおけるバイアスを軽減するためには多様かつ開放的な職場環境を持つことが重要であることを認識していますが、調査結果によるとAIチームは実質的に多様性が他の組織より依然低く、女性の割合が5.5倍、LGBTなどの割合が4倍、人種的な割合が1.7倍低いことを示唆

IBMコンサルティングのグローバル・マネージング・パートナーであるへスス・マンタス(Jesus Mantas)は次のように述べています。「現在多くの企業がAIアルゴリズムをビジネス全体で使用しているため、これらのアルゴリズムが公正、安全、かつ信頼できるものとなるよう設計するという内外の要求に直面する可能性がありますが、AI倫理の実践への組み込みについては業界全体でほとんど進展していません。IBVの調査結果によると、信頼できるAIの構築は、単なるコンプライアンスの問題ではなく、ビジネス上の必須条件であり、社会的にも期待されていることを示しています。そのため、企業はガバナンス・モデルを導入し、AIライフサイクル全体にわたって倫理原則を組み込むことができます」

今こそ企業は行動を起こす時です。本調査データによると、広範なAI倫理戦略を事業単位全体にわたって実施する組織は、今後競争優位を持つ可能性があることが示唆されています。本調査では、以下のようなビジネスリーダー向けの推奨アクションを提言しています。

•部門を超えたコラボレーション・アプローチの実行: 倫理的なAIには、包括的なアプローチとAI倫理プロセスに関与するすべての利害関係者にわたる総合的なスキルセットが必要であり、信頼できるAIの実装において、経営幹部、設計者、行動科学者、データサイエンティスト、AIエンジニアそれぞれが明確な役割を果たすことが重要。
•組織とAI双方のライフサイクル・ガバナンスを確立し、運用可能なAI倫理の規律を実現: 責任あるAI育成のための適切な文化の確立から、製品に対するプラクティスとポリシーに至るまで、AIのライフサイクル全般にわたってAIソリューションのインセンティブ、管理、およびガバナンスを構築するための総合的なアプローチの採択を推進。
•組織の枠を超えたパートナーシップの構築: AIに重点を置いた主要なテクノロジー・パートナー、学術機関、スタートアップおよびその他のエコシステム・パートナーを特定し広く関わることで、「倫理的な相互運用性」を確立。

IBM Institute for Business Valueについて
20年間にわたり、IBM Institute for Business ValueはIBMのソート・リーダーシップ・シンクタンクとしての役割を果たしてきました。 私たちの目的は、リーダーがより賢明なビジネス上の意思決定を行うのに役立つ、研究に裏付けられた、テクノロジーに関する戦略的インサイトを生み出すことです。ビジネス、テクノロジー、社会との当社独自の立場から、毎年何千人ものエグゼクティブ、消費者、および専門家を対象に調査し、インタビューすることで、彼らの視点を、信頼性が高く、刺激的かつ実行可能な洞察として、提供しています。
最新の調査や分析は、IBVのWebサイト <https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja> で、IBVのEメール・ニュースレター(英語での配信)に登録 <https://www.ibm.com/account/reg/jp-ja/subscribe?formid=urx-43376> することで、いち早い入手が可能です。Twitterで@IBMIBVをフォローすることも、LinkedIn ( https://ibm.co/ibv-linkedin <https://ibm.co/ibv-linkedin> )で検索することもできます。

当報道資料は、2022年4月14日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2022-04-14-Responsibility-for-AI-Ethics-Shifts-from-Tech-Silo-to-Broader-Executive-Champions,-says-IBM-Study <https://newsroom.ibm.com/2022-04-14-Responsibility-for-AI-Ethics-Shifts-from-Tech-Silo-to-Broader-Executive-Champions,-says-IBM-Study>

以上

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