シリーズ「今こそ民藝」❹佐藤酒造店

柳達の民藝運動に連動するように、1950年代後半から70年代にかけて
「民藝ブーム」と呼ばれる現象が起きます。
日本が高度経済成長に入ったこの時代、
伝統文化やその背景にある
山村の風景などが失われて行く一方、
そうした文化や風景が注目されていき、
その中で気軽に消費して楽しめるのが「
民藝」でした。


現在「民藝」という言葉を聞くと、
「おみやげ」とか「ダサい」
とかいうイメージがあるのは、
この時期に、ただ日常の道具を作っていた
生産者達がこぞって「民藝」作りをしてしまった結果、
それ「風」(ふう)の物が増えたり、
またブームが去ってもいつまでも同じように
お店に並んでいたため、
なんとなく民藝という言葉が俗化、
陳腐化してしまったためでしょう。

こうした背景や民藝運動自体の複雑化もあり、
徐々に世間の目が遠のいていきます。元記事
柳は、何も美しいものはすべて民藝品であるとか、
民藝品でなければ美しくないといっているのではない。
ただ、自由で健康な美が、最も豊かに民藝品に表れているという事実を見定め、そして、そういった美しさこそ美の本流ではないのかということを、人々に知らせようとしたのである。

そして、民衆の暮らしから生まれた手仕事の文化を正しく守り育てることが、我々の生活をより豊かにするのだと主張したかったのである。
元記事

弘化元年1844創業の埼玉県越生町の老舗酒蔵の
佐藤麻里子 杜氏が、

26歳から「自分の目が届く範囲で」
「最新の機械化設備もやりながら」
「その分出来た時間。杜氏として
最大の手間隙をかける」と言う

佐藤麻里子 杜氏の世界は、
まさに「民藝」の理念なのだと思っています。

大手の酒造会社の従業員は単なるサラリーマンです。
全て機械化され、「酒造りなどしない」のですから。
スーツを着て、酒の知識も酒米の具合も
美味しいお酒への追及も、仲間との闘いや葛藤も
なにもない。
「従業員の代わりが誰でも良い」世界。

それは大手酒造メーカーだけでなく
小売業でも、流通業でも、その他の企業でも
「クリエイターが息苦しい世界」でもあります。

「話題性だけが有れば、使い」
「使い捨てて、また、話題性のあるものを追っかけて」
「使い捨てる」

そんな生活様式…

「今こそ民藝」

と天ぷら屋のオッチャンの単なる想いですが。

手仕事への尊敬
は、僕の天ぷらを揚げる手にも
感じています。

民藝の求める美しさ

自由で健康な美が、
最も豊かに民藝品に表れているという事実

クリエイターの本質そのものです。

「その人の手仕事が息づいている美」


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