実情がなかなか聞けない海外不動産
自分で購入した不動産の状況
今所有している、フィリピンのレジデンス(コンドミニアム)を少し振り返ってみたいと思います。
<50F建てコンドミニアム 最上階・2BD/90㎡>
■購入時:13,880,000ペソ(27,898,800円)
■売出価格:27,577,856ペソ(60,275,639円)
■売却益:13,697,856ペソ(32,376,839円)
■合計リターン率:+116%
(物件価格上昇率:+98.687% 為替上昇率:+8.955%)
2012年にプレビルドで購入し、8年経過しました。昨年(2019年)、フィリピン、UK、香港の評価において5スターを獲得した物件。
投資的には年率換算で14.5%の上昇です。数字は仮に今売却したら…という場合のお話です。現在は月22万円で賃貸してますので、年間264万円の家賃収入(年間利回り9.46%)があります。
(情報)Makatiの賃貸相場は1,080ペソ/㎡です
マニラのAyala Street沿いにある物件で、東京で言えば…大手町とかそんな感じの街に物件が建っている感覚です。
最上階の部屋から、発展しているマニラを一望できるビューは圧巻で、私が極度の高所恐怖症でなければ自分で住んでも良いと思っていたほどです。高いところはダメなんですよね…
購入から8年で倍になっているので、売っても良いかなぁと思っているところです。
ただ、コンドミニアム内にレストラン8軒(和食あり)、クリニックや美容室、ジムやプール、テニスコート、シガーバー、シアタールーム、3Dゴルフシミュレーションなど3フロア分がクラブハウスになっていまして、これがフィリピンでは富裕層のステータスになっているんです。マニラのポロクラブなんて、会員権を持っているのは富裕層ばかりですからね。
この付加価値が、部屋そのものよりもかなり大きい差別化なのです。
日本人が海外不動産投資に失敗する理由
日本以外のアジア、特に新興国で不動産投資をした日本人が成功する確率は…私が知る限り5%以下だと思います。
ほとんどの人が大きく勘違いしている点が2点あります。ドキッとしてください。あくまでも投資用不動産です、住居用ではなく。
①ついつい「予算的に買える不動産」を買ってしまう
②値上がり=転売可能価格と思ってしまう
この2つの「しまう」がある限り、日本人が特に東南アジアにおいて素晴らしい不動産投資の成果を収めることは非常に困難です。
①は大前提です。「予算が1,000万円だから…その1,000万円で買える不動産がいいです」という投資家がいたら、「おとといきやがれ!」と私なら言いたいです。ところが不動産業者はそんな優しいことは言いません。売れれば良いので。
もし高値転売を狙うなら、物件選定の第1条件は「買える不動産を買うな、売れる不動産を買え」です。
買っても売れない不動産がゴロゴロしているのをご存知でしょうか。特に新興国でプレビルドがバンバン建設されているような地域では、どうでもいい安い物件などいち早く値崩れします。自分の予算目線で選定するのではなく、買い手の目線で選定しなければなりません。
よって、「売れる不動産」とは何か。フィリピンではメイドさんの文化があるため、出来ればメイドさんが滞在できる部屋があったり、広い部屋がないと買い手のお眼鏡にかなうことはないでしょう。予算目線で買った結果、賃貸もつかずに塩付け…という不動産はかなりあります。日本人が手を出しそうなところは特に多いです(マレーシア・ジョホールバルなど)。
値上がりしたら売れるのか
②は99%の日本人が勘違いしているというか、良くマーケットを知らないことで起きている神話です。例えば私の物件で話をしましょう。
2,800万円で購入し、6,000万円に値上がりしている
あなたが買い手(バイヤー)として、フィリピンで不動産投資をする!と仮定しましょう。あなたの予算は6,000万円です。出来れば賃貸をしつつ、値上がりしたら転売してキャピタルゲインを得たいと思っています。
あなたは、フィリピン不動産を調べると、プレビルドで3,000万円の物件Aがありました。不動産屋から提案された私の6,000万円の物件Bも確かに良いのですが、8年経過して値上がりしてしまっている。
さぁ、あなたは物件Aと物件B、どちらを購入しますか?
99%の投資家が、プレビルドの物件Aを購入し、余った予算でもう1軒のプレビルドを購入するでしょう。
何を理解すべきか
新興国で、かつ、プレビルドがバンバン建設されているような新興国では、値上がりした不動産を買うバイヤーはほぼいません。理由が投資なら尚更です。自分だってキャピタルゲインが欲しい。
バイヤーの気持ちに立って考えれば分かることです。
私の物件も、机上の計算では約6,000万円に値上がりしています。ただ、6,000万円でバイヤーが現れるかどうか、これはまた別の話です。
新興国では不動産価値はほぼ間違いなく上がるでしょう。そこでEXIT出来るかどうかは、セカンダリーマーケット(中古不動産市場)のバイヤー層が増えるまで待つしか無いのです。土地が飽和して、供給より需要が上回るまで。これには相当時間がかかりますよ。
①と②から理解しなければならないことは、出来るだけ差別化された「売れる物件」を購入すること。セカンダリーマーケットが育たなくても、「絶対ココが買いたい!」と思うほど魅力的な「売れる物件」だったら理想的です。立地だったり、部屋のグレードだったり、レジデンス内の設備だったり。
そうでなければ、賃貸しつつ転売の機会を待つしかありません。
こういう投資の実態を、自らの実体験を通してアドバイスしてくれるアドバイザーが日本にもなかなかいないですよね。不動産業者は売れればいいので、「やめたほうがいいですよ」とはなかなか言えません。
人は上昇を期待して購入に導くアドバイスに対して(業者に)報酬を払いはしても、リスクを諭して購入しないことを導いたことに対して報酬は払いません。前者は結果的に損をしても払い済みの報酬は戻ってきません。逆に後者は結果的に損失を防いでいる可能性があるので、報酬はあって然るべきだと思いますが、なかなかそうも行かない世の中ですねぇ。
あとは、海外不動産を活用した加速度減価償却は令和3年以降使えなくなりますのでご注意を。※昨年12月に税制改正大綱が閣議決定
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