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ドラマ「大秦賦」の評価|始皇帝の真実

中国で秦の始皇帝を扱った国営中央テレビのドラマ「大秦賦」が、中国でも話題になってるようです。

豪華な俳優陣をキャスティングしたドラマなのですが、「暴君の礼賛」「歴史の美化」という古い価値観で批判されるむきもあるのです。

私が書いてきたように、過去の統治者を否定するため、新時代の王朝により編纂される史書は、自らに有利なストーリーに仕立てます。正当化するために、過去を「落とす」のです。

暴君の理由に挙げられる焚書坑儒も、そんなに酷い政策ではありません。

焚書坑儒の坑儒は、従わなかった者を穴埋めにしたわけですが、たった460人です。ジェノサイドとは言えません。

これからキングダムで描かれると思いますが、紀元前234年、趙の平陽・武城を攻めた桓騎は、趙兵10万人の首を斬りました。桓騎のほうが、始皇帝よりも何倍も残酷です。桓騎は君主ではないと言うのであれば、南朝宋の初代皇帝・劉裕(363~422年)のほうが暴君です。南燕の鮮卑人三千余りを穴埋めにしてます。始皇帝の坑儒の6.5倍殺してます。

なぜ始皇帝が暴君なのでしょう。

焚書坑儒は、実は儒家だけではなく諸生(学者)全般が対象。儒家だけを弾圧したわけではないのです。秦としては、700年もかけて中華統一を果たしたわけです、思想も統一していかないと、本当の意味での統一国家にはならないと考えた。これも変ではないと思います。

現に、秦が滅んだきっかけは、たった900人の農民蜂起(陳勝・呉広の乱)でした。少しのスキから、国家が滅ぶほどの時代。後世の思惑や、現代の価値観で判断してしまうことこそ危険なのです。

私は様々な文献を読み込んできましたが、始皇帝だけがとりわけ酷い暴君だったかというと、絶対にそうではないと思います。日本人のみならず、中国人(一部ですよ)でも始皇帝を暴君の最たるものとしていることについては、残念に思いますよね。色々分かってきたことが増えているので、再評価されても良いとは思います。仮にそこに少数民族の血が流れていたことに起因する差別があるとしたら、もっと良くないこと。

ドラマ「大秦賦」は、下記リンクから見れたのですが…アクセス制限がかけられたのか、今は見れなくなってます。

http://www.yzerc.org/guocanju/daqinfu/

YouTubeで一部見れるみたいです。中国語ですが…

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