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リスクをとる勇気:人間固有の能力

今年は17年に一度のセミの大発生のシーズンをシカゴで迎えている。朝早く、私の裏庭では多くのセミが土の中から這い出て、家の外壁、木、フェンスをよじ登り群がっている。我が家にお泊りに来る犬たちの中には、そのセミを食べて楽しむ子もいる。特に中型犬のエミーはセミに興味津々で、裏庭で遊んでいる間にたくさん食べたようだ。案の定、その夜から彼女はお腹を壊してしまった。その経験からか、彼女は一切セミを口にしなくなった。

同じようなことが、以前飼っていた大型犬のラブラドール、モモにも見られた。彼女は1歳の頃までテーブルの上のものを盗み食いする癖があった。ある日、彼女はテーブルの上にあった買ったばかりの食パン一斤を丸ごと食べてしまい、エミーとは逆にひどい便秘に悩まされてしまった。非常に苦しそうであったが、その後14歳で亡くなるまで、決してテーブルのものを食べなくなった。

しかし、人間というのは時として困難に直面するとそれを回避するのではなく、解決してしまう人が存在する。私の実家がある下関市はフグで有名である。フグには危険な神経毒(テトロドトキシン)が含まれているが、特に卵巣と肝臓を避ければ安全に食べることができる。しかし、どうやって昔の人々がそれを見つけ出したのかは不思議である。彼らはフグの毒によって命を落とす人を目の当たりにしながらも、毒のある部位を特定し、食用にすることに成功した。それはただただ尊敬に値する。

新しい技術や文明の進歩は、リスクを率先して受け入れた先人たちのおかげで成し遂げられた。私たちはその恩恵で快適に生活できている。この特殊な能力が、私たち人間を他の生物から区別し、文化や科学の境界を拡張してきた。リスクの存在する場所には、常に大きなチャンスも潜んでいるはず。



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